2016-12-14から1日間の記事一覧

(巻十三)合掌のさま老い母も蜻蛉も(高山瑞恵)

12月13日火曜日 今日は3ヶ月に一度の検診でお休みをいただいた。検診の後北千住の東急ハンズで取り寄せをお願いしてある断熱アルミシートを受け取ることにしていた。北千住まで行くので足を延ばして荷風の「墨東綺譚」の玉の井を歩いてみることにした。…

「永井荷風 墨東綺譚」 30頁 *“ぼく”という変換字なしのため便宜“墨”

わたくしは脚下の暗くなるまで石の上に腰をかけていたが、土手下の窓々にも灯がついて、むさくるしい二階の内がすつかり見下されるやうになつたので、草の間に残つた人の足跡をつたつて土手を降りた。すると意外にも、其處はもう玉の井の盛場を斜めに貫く繁…

「永井荷風 墨東綺譚」 61頁 *“ぼく”という変換字なしのため便宜“墨”

わたくしの忍んで通ふ溝際(どぶぎは)の家が寺島町七丁目6六十何番地に在ることは既に識(しる)した。この番地のあたりはこの盛場では西北の隅に寄つたところで、目貫(めぬき)の場所ではない。仮に之を北里(ほくり)に譬へてみたら、京町一丁目も西河岸に近いは…