(巻二十三)警官と目の合ふ怖さ年の暮(吉田かずや)

f:id:nprtheeconomistworld:20190921080542j:plain


f:id:nprtheeconomistworld:20190921080521j:plain


(巻二十三)警官と目の合ふ怖さ年の暮(吉田かずや)

9月20日金曜日

本

古本屋が消えてさらに店頭から文庫本らしい文庫本が激減している。
つまり文庫はあるが出久根達郎氏が嘆き断りたがっているような文庫本ばかりが並んでいる状態である。

《 「古書高価買入」が古本屋の看板のきまり文句であるが、ちかごろは、「最近の本は不要」とただし書きする店がふえた。筆者の店もご多分に漏れぬ。いつから古本屋が客に注文をつけるようになったろう。
私の経験では、文庫本ブーム以後である。客が売りにくるもの、あるいは引き取り要請の品の大方が文庫本であった。文庫が好まれたのは住宅事情である。場所をとらない。しかしそのようなせせこましい住まいさえ、都内では次第に確保がむずかしくなった。郊外にひっこして、当然、通勤時間がかかる。車内読書に文庫はうってつけの軽便さである。》

あたしはここのところ古い文庫本に属する尾崎一雄の『暢気眼鏡他十三編(岩波文庫)』に巡り遇いたく神保町を歩いた。見つからなかった。
ネットに出ていることは承知していたが、ネットに手を出すことは古本屋さんへの背信になると我慢してきたところである。
しかし、本日あたくしはこの“戒め”を破った。
初めてのネットショッピングであり、うまく買えるか不安であったがなんとかできた。カードの番号を打ち込むのには抵抗を感じたが、これが現世だと言い聞かせて打った。

茸かりやあぶないことに夕時雨(芭蕉)

飛んでいくお金

午後はお暇をいただけたので休眠口座の解約にみずほ銀行の亀有支店にうかがった。通帳なし印鑑なしでもなんとか処置していただいた。休眠口座にはまあまあの金が残っていたのでこれをデビットカードに回してこれからの文庫本ネットショッピングの元手にいたそう。200冊くらいは購えそうだ。

しかし、世の中から現金が消えていく今、銀行の支店という空間に来るのは現金に未練のある人々であり、それらの人々は概ね高齢者である。そしてこの翁媼預金者に対応する行員もこの場末の支店では中高年のパートのおばちゃんである。人情味がありよい意味での世話焼きができて、詐欺の防犯に気が配れるのおばちゃんたちなのだろうとつかの間の相談応答で感じた。

この浜を知りつくしたる日焼けかな(山本素竹)

とじ傘

季節が良くなってきたので駅前まで曳舟川親水公園の遊歩道を歩いた。
元は運河だから一本道で単調ではある。人工であろうが造りものであろうが、少しでも自然らしくしてあるところを歩くのは気分がよい。

この道は一本道か秋の暮れ(深作欣二)

本

The kindness of strangers, The Economist May 4th 2019 人類の倫理観と社会性の起源(書評)

を読み終えた。