(巻二十三)秋風や眼中のもの皆俳句(高浜虚子)

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10月18日金曜日

(巻二十三)秋風や眼中のもの皆俳句(高浜虚子)

この句にある“眼中”とは先般読んだ久世光彦氏の作品に出てきた『眼中の人』でいうところの“眼中”と同じ意味なのでしょう。

《 「眼中の人 - 久世光彦新潮文庫 百年目 から

《眼中の人》と書いて《がんちゅうのひと》と読む。私の生れる前の、大正や昭和のはじめごろは、日常語とは言えないまでも、会話の中に出てきて、世間に通用していたという。「広辞苑」には《見知った人》としか載っていないが、その意味は、大河内昭爾さんによると、瞼を閉じると自[おの]ずと目の裏に浮かぶくらい懐かしい人、あるいは俗に言う、目のなかに入れても痛くないほど愛[いとお]しい人.....ということらしい。 》

注射

昨年の九月頃、近所の野良猫にソーセージを遣りながらちょっかいを出したら軽く引っ掻かれた。傷は浅かったが、その頃猫に引っ掻かれて病原菌が体に廻って亡くなった方のニュースがあった。いつ死んでもいいとは思っているが餌をやった猫に引っ掻かれて死ぬのは嫌だった。
そこで近所のおおのクリニックに行き事情を話したら破傷風のワクチンを打ってくれた。一年後にもう一回接種することになっていたので、今日うかがって注射していただいた。

彼の猫は近所のお婆さんたちがシンパのようで、食うに困らずのうのうと暮らしておりますよ。(以前の一撮です)

お酒とっくり・おちょこ

医者の帰りに蕎麦屋吉楽さんによっておでんで一杯いたした。
もうおでんが美味い季節になったなあ。

勘定のときにおかみさんに
「新道の長寿庵さんは、店閉めちゃったね」
と振ると、
「みんな、どんどん止めてっちゃうわよ!」
とのことだ。
個人営業の飲食店は高齢化が進んでいますよ。

飲めるだけのめたるころのおでんかな(久保田万太郎)

本

「暢気眼鏡『追記』 - 尾崎一雄岩波文庫 暢気眼鏡・虫のいろいろ から

を読みました。はじめてネット通販で買ったものです。

《 「芳兵衛、お前にはほんとに気の毒だ」
私はある時珍らしく真顔でいった。
「あなた本当にそう思う?」
「思う」
「それならいいのよ。あなたがそう思ってくれれば、あたしそれでいいの」と明けっぱなしの笑顔をした。
「こんな奴をいじめて - あアあ」と私は腹でうなった。「こんなことをして小説書いたとて、それが一体何だ」そう思うと、反射的に「いや、俺はそうでなければいけないんだ」と突き上げるものがある。「暢気眼鏡」などというもの、かけていたのは芳枝でなくて、私自身たったのかも知れない。確かにそう思える。しかもこいつは一生壊れそうでないのは始末が悪い。そこまで来て私はうすら笑いを浮かべた。》

尾崎一雄夫人、松枝さんはご長寿だったようです。

妻よ五十年吾と面白かつたと言いなさい(橋本夢道)