(巻二十三)老醜をさらせるわれも少しだけ翁さぶるか木枯の日は(前登志夫)

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10月29日火曜日

パソコン

いゃ~参った!貸与のパソコンが新型に交換となりまして、その引渡しで色々とITの方のお手を煩わさせましたよ。
あたしの使っているのはメール、ワード、エクセル少々、パワーポイント時々です。
でも、いろいろと詰め替えが要るらしく手取り足取りで作業を終えました。

パソコンにあそばれている秋の夜(石川政尚)

ラジオ

葛飾FMで鉄ちゃん番組を拝聴いたしました。京成電車ダイヤ改正特集だそうです。京成には二十歳までお世話になりましたから土地勘はございますよ。成田空港線のスカイライナー大増発のお話から入りました。
ダイヤの話も奥が深いなあ。
再再再就職が成田空港にあれば青砥から乗ることになるけれど、やっぱり遠いなあ!
一件落着してから考えるか。

本

西伊豆のづけ丼 - 吉本隆明ちくま文庫 お~い丼 から

を読みました。


《 わたしはかつて西の方で、これ以上不味い名物の食べものはないとおもった茶漬けに出あったことがあったが、西伊豆土肥で食べた「づけ丼」と「づけ茶漬」は今まで食べた名物のうち、これほど美味いとおもったものはないほど、美味だった。本年前半で食べた最も美味しい食事だった。
なぜこの「づけ丼」が美味いが。目立った理由はすぐ二つあげられる。ひとつは「づけ丼」の最終の味をおおきくきめている甘辛醤油の味と濃さが適切で、絶妙といえることだ。わたしには醤油とミリンとゴマの混合味しかわからないが、何かかくし味がしてあるかもしれない。もうひとつは味噌汁の味噌の味とカニのだしが惜し気もなく高度なことだ。
この「づけ丼」の後がわには、力量のある料理人がいるようにおもわれた。全体が長方形のお盆のなかにおさまっている完結感とひきしまった次元の美味とは、そういう推測をさせるものがある。また食べ方の工夫として言えば、「づけ丼」が食べおわったあとで、声をかけて呼んでくれればお茶漬け用のお茶を注ぎにゆくというやり方、わたしは近年これだけの簡潔で美味しい食べものを食べたことがなかった。》

あたしゃ美食家ではございませんが、美味い食い物話は気楽に読めて結構ですな。
美食家がこういう文章を読むと何処だ!何処だ?と探し求めるのでしょうが、あたしゃその点大丈夫でございますよ。
成人女性の料理だって腹をたっぷり減らしておけば美味しく食べられるんですから。
成人女性の料理は大したことありませんが、良妻ですよ。谷崎潤一郎が褒めている(反面では呆れている)関西の所帯回しのしっかりしている嫁はんのようであります。
そのお蔭で、世の中がひっくり返るようなことにならなければ安心して往生ができるはずです。(でもあたしゃ芥川症ですから漠然とした不安から逃げられず幸せにはなれません) 

通帳をにらんで女動ぬ道の端(きむらけんじ)


成人女性は所帯回しがうまいだけでなく、明るいのです。一緒にいるときはとにかくお話しが途切れません。一緒にいるのは日に二時間から三時間ですから相槌を打っているのも苦になりませんな。(相槌の打ち方を間違えると執拗に食い下がりますので気を付けてはいますが、日に二度三度はこじれます。)
無言の老夫婦と云うのはよろしくございませんな。どんな話でも成人女性が話してくれることが嬉しうございますな。
明日はマスクをして行けとか、マフラーは出したかとか、色々と気を使ってくれるところも嬉しうございますよ。

 

相槌も打ちようがあり秋扇(浜名礼次郎)

*『私の見た大阪及び大阪人 - 谷崎潤一郎』のうち嫁・女房・婦人のあたりは近々コチコチする予定でございます。早く読みたい方は岩波文庫谷崎潤一郎随筆集に採録されておりますから立読みでもしてください。