(巻二十四)一卓に読み書き食事室の花(たかむら翠)

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(巻二十四)一卓に読み書き食事室の花(たかむら翠)

1月9日木曜日

寒中らしい冬晴れの一日でありました。午前中の木枯しも午後に穏やかになりましたので東へ散歩に出ました。

進路を東へ取ったのは細君が所望する赤毛のアンの新刊文庫をモールの中の本屋さんで確保するためでございまして、亭主の鑑でございますかね?

初夢の半分夫に話しけり(黛洋子)

新米や妻に櫛買ふ小百姓(正岡子規)

*句としてはこのあたりが好きです。細君も指輪とか毛皮なんぞは全く申しませんでございますよ!

途中で夏ミカンのたわわなるをみとめ一撮いたした。

あたしは『「酒」と作家たち(中公文庫)』というアンソロジー楽天で調達し、今日配達されました。交通費を使って探しにいくのに比べればやはり安上がりなわけで本屋さんには申し訳ないけれど頼りにしてしまうなあ。
ただし、繰ってから買うのではなく、見当をつけて買うので期待を外れることがあるのは仕方ない。 『「酒」と作家たち(中公文庫)』 、これも『私の酒』に比べると私にはハズレであります。 『「酒」と作家たち(中公文庫)』は追悼文のアンソロジーのようであります。

熱燗や期待するから腹も立つ(高橋将夫)

夕方、宅急便屋さんが息子に送る二箱を引き取りに来てくれました。
色々なことが、宅配・郵便で流れていきます。
そう言えば検討しているお骨置き場の何とか苑も“お骨の宅配もお受けいたします。”と唱っていた。

寒き顔映り宅急便と言ふ(加藤かな文)

本

「3、男は不潔だが、しかし..... - 北原武夫」旺文社文庫 告白的男性論 から

を読みました。

《 つまり、はっきり言うと、たいていの男性の胸に宿っている理想像というのは、見かけはどんなに厳密でも、それは要するにすべて恋愛以前の話であって、現実に一人の女性と知りあって、恋愛感情めいたものがそこに発生すると、彼の好みは徐々に、そして確実に、一変してしまうのです。
こんな時、彼の心の中で、なかば意識的に行なわれる一種の理想像の換金術ほど、滑稽にも涙ぐましいものはありません。彼は、やっと獲得できた自分の恋人が、長い間、胸のうちで暖めていた理想像とは大分違っているのを、自分でもよく知っていますが、それにもかかわらず、(いや、むしろそのために)その彼女をまえにして、彼の頭は、例えば、「この目がもう少し大きくって、鼻の先がもうちょっと尖んがってれば、おれの理想とそっくりじゃないか」とか、「この腕は少し色が黒いけど、形はすんなりしてるし、これで、もうちょっと胸がふくらんでれば、もうおれの理想そのままじゃないか」とかいうふうに、知らず知らず修整的に働き、現実の彼女と理想の女性とは、一、二カ月もすれば、もうなんの無理もなく、彼の中で一致してしまうのです。》