(巻二十四)退路なき台風あはれとぞ思ふ(中原道夫)

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(巻二十四)退路なき台風あはれとぞ思ふ(中原道夫)

 

2月25日火曜日

 

本日で巻二十四の読み切りでございます。一挙掲載致します。

 

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ビニール傘を買って来なさいとのご指示が出ました。夕方から雨との予報のせいか生協の入口の脇の分かりやすい場所に傘はございました。大きな傘は捌きにくくて嫌だとのことでしたので最小の60センチのものを確保しました。税抜きで398円で、駅の売店やコンビニよりは随分と安い。

 

確定申告して追加払いとなった税金を郵便局で納めました。

 

伸びるだけ伸びる寿命へ納税期(有馬ひろ子)

 

あたしが納税している隣りの窓口で、貯金の解約したい爺さんが局員さんと大きな声で話込んでいた。何かの事情で全額を現金で欲しいらしいが、局員さんが一生懸命に小切手など他の方法で説得していた。あとは知らぬ。聞くべきことではないので、急いで外に出た。

 

大金をもちて茅の輪をくぐりけり(波多野爽波)

 

生きて居たければ金が頼りだ。現金を見て安心したいのか?

 

余命とは預金残高ちちろ鳴く(野副豊)

 

死ぬのにだって迷惑を掛けずに死ぬには金がいる。

でも、死ねばそこで勘定が締められる。

“夢かうつつか寝てか覚めてか”という状態にして早く締めて下さい。

 

ご破算で願いましては春立てり(森ゆみ子)