(巻二十五)止まることばかり考へ風車(後藤比奈夫)

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(巻二十五)止まることばかり考へ風車(後藤比奈夫)

4月11日土曜日 

朝晩、区から外出自粛のお知らせメールを頂いている。

新型コロナウイルス感染症の拡大していることから、葛飾区は、東京都からの要請により、本日9時に区の防災行政無線で、区民の皆さんに本日の外出自粛を呼びかける放送を流しました。放送内容は、以下のとおりです。

(放送内容)

〇こちらは葛飾区役所です。

〇緊急事態宣言が発令中です。

〇不要・不急の外出はお控えください。

 区民のみなさんにおかれましては、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、換気の悪い密閉空間、多くの人が密集する場所、近距離の会話での密接場面、この3つの「密」が重なる場面を避けるための行動をお願いします。

 感染拡大を防ぐには、お一人おひとりが、冷静に行動することが大切です。あたらめて、手洗いや咳エチケットなど、基本的な感染症対策に努めていただきますようお願いします。

葛飾区地域振興部生活安全課 》

音粗き迷子放送かき氷(大塚凱)

(散歩)

そんなこともあって区役所まで散歩してみようかと思ったが、さすがに往復は歩けない。帰りにバスに乗ったのでは意味がない。そこで歩いて15分くらいのところにある保健所まで行ってみた。土曜日でもあり、扉は締まりブラインドも下ろされていたが、きっと中では必死の業務が続いているのであろう。

途中の高齢者施設の入口にチューリップが咲いていたので一撮いたした。五千六百歩。

(顔本)

知り合いのR氏から“友達”のオファーをいただき、友達になりました。R氏は人生の節目でこの流行り病の混乱に巻き込まれたようです。

定年はやがてくるもの花みずき(日下部宵三)

(読書)

色川武大追悼 - 吉行淳之介ちくま文庫 吉行淳之介ベスト・エッセイ から

を読みました。

《 この三年間、私は病気が幾つもかさなっていて、街に出ることができない。それまでは、銀座にある地下室のバー「まり花」へ行くと、しばしば色川武大に会うことができた。会って、とりとめのない雑談をして、それだけで私は愉快だった。

元号が改って、その二月十八日に色川武大の予告なしの訪問を受けた。スケジュール表のその日に、「色川来ル」とメモがある。二十年ほど前から、私は訪問することもされることもあまり好まなくなり、彼が訪れてくるのも初めてだった。

色川武大は大きな紙袋を提げていて、大国主神のようだった。その袋から、三鞭丸のアンプルやロイヤルゼリーやそのほか漢方系の元気の出る薬を一山、テーブルの上に積み上げた。そして、これから結城(昌治)さんの家に行く、と言った。袋の中身は半分残っていて、それを届けるのだという。

こういうことは偶然に過ぎない筈だが、いまにしておもうと、袋を提げて歩き出した色川武大は、ちょっと立止った。そして、「ま、これでいいか」と呟いて、巨体を揺らして立去ったような気になってくる。

それが、色川武大を見た最後である。》

あたしなどは終わりを待つだけの身で“止まることばかり”考えていますが、この災厄で願っていたthe Happy Endは画餅になるでしょう。

ただ単にthe Endで十分なんですが、terrible, miserable, painfulなど辛い形容詞はつかないで欲しい。

竜の玉予期せぬ方へ弾みけり(長谷川守可)