(巻二十五)啓蟄やエコーで探る腹の虫(石塚寿子)
4月22日水曜日
細君が朝一で生協に行き、ついでに花屋さんで写真の花を買ってきた。花屋さんが苦境にあるそうなので僅かでもと五百円ほどいただいてくるのである。
衣類は節約し、外出は医者と美容院だけで、友達付き合いは電話だけでランチなどしたことがない。本は文庫を春夏秋冬に一冊程度で好きな本はよく読み返す賢夫人である。
桜桃の茎をしをりに文庫本(丸谷才一)
そしてたまあに花を買い来て夫[つま]としたしんでくれるのだからあたしとしては嬉しい限りである。
友がみなわれよりえらく見ゆるとき
花を買い来て妻としたしむ(石川啄木)
(散歩)
北へ向かって歩き、駅前が見えたところで引き返した。遠目にも人が多いように見えた。四千五百歩でした。
(読書)
読むものが少なくなってきたので、読むと落ち込むことが分かっている封印本を捲ってしまった。
そして、落ち込ん。
その本は、
で奥付けでは平成十一年八月一日発行になっている。
買ったのはここ数年の内で「さいたま市キクヤ書店¥100」の値札が貼り付いている。さいたま市のキクヤ書店へ行ったことはないので古書市で出合ったのだろう。
均一の古書を漁りて風邪心地(遠藤若狭男)
北野武氏の『全告白』から自伝的回想を何編かをご紹介しているが、こちらは世事政治を激辛で評論います。
その中の一篇『「欲望」という名の民主主義』など読みますと、皆さん既に十分に判っていながら知らんぷりしていることについてはっきりと絶望が書いてございます。
あの本の毒まわりたる烏瓜(森田緑郎)
長生きはするもんじゃない!と覚悟せざろう得なくなる。生きている内だけは何とか持たせてもらいたいと自分に都合のよい危うい願いしか浮かばない。
ひとはひとと人の言ひだす寒さかな(野上卓)
目を通すだけでもガクンと落ち込むのだから、コチコチなど怖くてできません!