(巻二十六)さみだるる他なし漢の独言癖(松下健)

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(巻二十六)さみだるる他なし漢の独言癖(松下健)

6月13日土曜日

梅雨入りをしたとか?

雨粒の窓をはしるや梅雨に入る(辻桃子)

家事

洗濯と掃除でありました。

部屋着も外着もTシャツとなり洗濯物が増える。洗濯は三日おきから二日おきになったが、天気がわるく乾かない。

料理

豚肉の甘辛焼きと称する手抜き料理を覚えろと云われて覚えた。

豚もも肉薄切りを300グラムくらい。これをフライパンで焼いて最後にタレをかけるだけ。タレは砂糖大さじ一杯と醤油大さじ二杯と酒大さじ一杯でおしまい。

ノオトに書き留めた。

夕食に頂いたが、腹が空いていれば何でも旨い。

散歩と買い物

外出せず。

今のところ世の中とのかかわりを持たずにひっそりと生きて行ける。誠にありがたい。

独居の厨の椅子に掛けて読む「剣客商売」外は五月雨(江川正治)

読書

芥川賞の値段(抜書) - 出久根達郎講談社 たとえばの楽しみ から

を読んだ。

その中に第二十八回(昭和二十七年)の受賞者五味康祐氏についての受賞エピソードが書かれていた。泣かせる。

《五味は、その頃リルケに心酔し、『マルテの手記』のような小説を書いては、出版社に持ちこんでいた。いつも没である。生まれて初めて時代小説を書いてみた。それが受賞作となった「喪神」である。当時ひどいこと貧乏であった。夫婦で間借りしていた部屋の縁の下に、野良犬がすみついた。五味は雑種の野良を可愛がっていたが、骨一本のエサを買ってやることもできないある日、道の向うから五味の姿を見つけた野良は、尾を振り、まっしぐら走ってきて、車にはねられた。犬の死骸を胸に抱いて、五味は大声で泣いた。「この時ほど、自分の貧乏を呪ったことはない。」「手前ひとりの誇り高き文学精神とは一体何だ、と思った。」とのちに回想している。「この瞬間から私は変ったように思う。」と書いている。

五味の受賞が新聞で報じられた時、まっさきにお祝いに駈けつけてきたのは、質屋の親父だった。親父は一升びんを届けてくれた。五味はそれを野良公の墓前に供えた。そうして、「えらいことになってしもうた、どないしよう」と墓に語りかけた。》

願い事-叶えてください。