(巻二十六)言霊を吐いてエンピツ削られる(南澤霧子)

f:id:nprtheeconomistworld:20200916080955j:plain

(巻二十六)言霊を吐いてエンピツ削られる(南澤霧子)

9月15日火曜日

健康・不健康:

区の検診で血圧が高いと出たので細君が強く奨める内科医院で診ていただくことにした。

その医院は8時半に受付開始だそうで、細君によれば8時前から門前に行列ができるとのことであるが、8時半に到着し二番目であった。

初診であるから受付で症状を陳べて、区の検診のデータ、泌尿器科で行った直近の採血データとお薬手帳を提出し、問診票に答えて受付手続きを終えた。

その頃には10人近くが待合室に座っていた。

9時に一人目が呼び込まれ、9時5分に二人目として呼び込まれた。

腕巻きで測り、“飲んだ方がよい、”とのお見立てでした。“一番軽い薬から始めましょう。”ということで2週間分処方して頂き、記録手帳とパンフを頂いた。

「自分で測ると小心なのもんでとても高い数値になるんですが、」と申し上げると、

「気にしないで、測り続けなさい。薬を飲めば下がるし、慣れてきますよ。」

とかわされた。

「高血圧は、心臓・脳、それに腎臓にも悪いから、長生きしたかったら飲みなさい、測りなさい。」と判決を申し渡された。

血圧のくすり一生地虫鳴く(一民江)

“判決を申し渡された”と書くと冷たい医者だと誤解を招くかもしれないから補足いたす。

俳優で医者役と云うと我輩は中村伸郎辺りを思い出すが、もっと丸みがあり暖かみのある先生である。千秋実辺りが近いかな。

高血圧は心臓・脳・腎臓ほかにもよくないから、下げた方がよいと穏やかに説得調でお話し下さった。医者として経営者として経験豊かな円熟した町医者先生です。何より患者が来るのがその証左であろう。

また誰か死んだ話に昼寝かな(中村伸郎)

処方箋をいつもの薬局に持っていく。薬を渡されたときに「尿酸の薬を飲んでいることを医師に伝えたか?、医師は十分にそのことを分かっているか?」と新卒かそれに近い才女臭がプンプンしている薬剤師さんに二度、三度確認された。確認はよいことでしょう。

年寄れば日々の薬のふえにけり(駄楽)

と一句捻った。

体のことが終ったあと、リリオの図書サービスカウンターに上がり、返却と貸出を受けた。

思いの外、時間は掛からず10時15分にはビィーンズのパン屋で昼飯を仕入れた。気分的に中華弁当は止めた。中華弁当は止めたがあんパンは買った。

コレステロールと糖は今のところ範囲内だ。

本日は四千七百歩で階段二回でした。

読書:

図書館の本の貸借に空白が発生したので昨日から“蔵書”の、

「第八章「尼崎港線」・「東羽衣線」 - 宮脇俊三河出文庫 時刻表二万キロ から

を読んでいる。

その一節に、失礼ながら、これは使えるという表現があった。歓びを分かちたくご紹介いたす。

《 古いながら大きな駅舎があり駅員もいたので、尼崎港駅発行の切符を入手しようと声をかけると、六時過ぎまで列車はないと言う。それは知っているけれど、この駅の切符が欲しいのだと頼むと、たいへん面倒くさそうに窓口へやってきた。面倒なのは無理もない。この駅には行先きを印刷した切符は用意されていないらしく、発駅・着駅・人数・発行年月日・有効期間・運賃など、すべてカーボン紙を挟んでの手書きで、しかも「事由」の欄に「片道券」などと記入しなければならない。そのあと「下車前途無効」とか「尼崎港駅」などのゴム印を捺して、それで四〇円であった。

一〇分ほど歩いて阪神電鉄の尼崎から大阪に戻り、その晩、約束しておいた人に会った。さっそく「尼崎港線」に乗ってきたことを話し、切符を見せたが、相手は大阪の人なのに、この線に乗ったことがないばかりか、存在すら知らなかったので関心を示さず、鳩を思わせる美人であったから、眼をますます丸くして、切符のかわりに私の顔を見つめた。》

『鳩美人』と形容されたら、あれっきゃないでっしゃろ!

嘘つけぬほどぴつちりと白スェーター(清水衣子)

願い事-叶えてください。医者になんか行くけど本気なのかい?と云われそうですが、ポックリがお願いでございますよ。ポックリで仕上げてください!

長生きはお願いしません。ダラダラは勘弁してください。