(巻二十七)紐ゆるみ届く小包走り梅雨(川村紫陽)

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(巻二十七)紐ゆるみ届く小包走り梅雨(川村紫陽)

10月23日金曜日

本日は雨天なりで外出せず。

読書:①

BBC

The problem with abolishing coins

Many governments are contemplating taking coins out of circulation – and others already have. But the decision isn’t as easy as shutting off machines at the mint.

https://www.bbc.com/worklife/article/20201012-the-problem-with-abolishing-coins

小銭とか純喫茶とかソーダ水(湯浅恵子)

高額紙幣の廃止は小金持ちが埋蔵金の露見で困るらしいが、少額貨幣の廃止は慈善事業やホームレスの収入が断たれることになるので深刻だ。

私なんぞも一円玉と五円玉をためて年末に有楽町駅日比谷口の大黒さまに奉納していた。(今年も何とか行けそうだ。)

大黒天御身払ひて微笑給ふ(斎藤栄峰)

読書:②

今日は、

「12471 - 前田司郎」」ベスト・エッセイ2012 から

をご紹介したが、

《 俺の12471日は俺の物だ。

めちゃくちゃ充実した12471日だったと記憶に留めればいいのだ。ただそれを邪魔するのは客観的な事実だ。しかし、この私的な世界に真の客観性など存在しないはずだ。客観的な事実も、私の主観を通してしか認識できないのだから、そんなもの簡単に歪曲できる。世界の歴史を見よ。それぞれの文化が、それぞれの文化に都合の良い歴史を持っているじゃないか(僕は良く知らないけど、新聞によく書いてある)。

ただ、充実とか幸せとかの尺度に、客観的なものが使われることが多いのが困るんだよな。例えばお金とかさ、地位とかさ、本当は超貧乏で、超無名で、誰からも愛されなくても、その人本人の力で、自分は幸せだったと信じ込むことも可能なはずだ。俺はその能力を磨けばいいのだ。》

と、結論している。

この考え方と同じだと思われるのが、これも最近ご紹介した、

「絶対に失敗しない方法 - 土屋賢二」文春文庫 紅茶を注文する方法 から

にも述べられている。

《 成功と失敗の区別がはっきりしないのは、成功・失敗を測る尺度が多数あるからだ。金、権力、名誉、家庭の平和、愛、健康、長生き、静穏などのうち、どれを目指すかによって、同じことが成功とみなされたり、失敗とみなされたりするのだ。

たとえば権力争いに敗れても、静かな生活を送ることには成功する。家族が離れ、友人がいなくなっても、人間関係の悩みから解放され、だれからも文句をいわれずに花鳥風月を味わうことには成功したことになる。リストラにあっても、仕事の上では失敗だが、好きなだけ寝ていられる点では成功だ。極端にいえば、財布を落としても「これで当分、落とさないですむ」と胸をなでおろしてよいのだ。

これを応用すれば、あらゆる失敗を避けることも不可能ではない。失敗とは、狙い通りにならないことだから、失敗を根絶するには、何も狙わないようにすればよい。それが無理なら、結果が出た後で狙うようにすればよい。失敗だといわれても「この結果を狙っていたんだ」と主張すればよい。》

確かに勝った負けたと世の中との関係で測るのも賢くないような気もする。兎に角終わるのだから。

勝ち負けをすぐ云ふをとこ茗荷の子(恩田侑布子)

願い事-叶えてください。人間社会と縁を切るにはこれしかない。