(巻三十)昼飯に酒を添へたり冬紅葉(斎藤まさし)

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(巻三十)昼飯に酒を添へたり冬紅葉(斎藤まさし)

9月25日土曜日

涼しい朝を迎えた。もう30度を超える日はないだろうと予報士さんは云っている。

洟かんで耳鼻相通ず今朝の秋(飯田蛇笏)

午前中は入院前のPCR検査を受けに平成立石病院へ行った。シャトルバスがリハビリ病院経由で運行されているのでそれを往復利用した。PCR検査は紙撚りを鼻孔に10秒ほど差し込んで終った。気持ちよくはないが不愉快というほどではない。保険適用らしく、費用は140円でした。シャトルバスの運転士さんも、駐車場の誘導員さんも御同輩とお見受けいたした。

かうしては居れぬ気もする春炬燵(水田信子)

昼飯は生協のチキンカツ・カレ-、420円で済ます。カレーが食いたいが店に入るのも気が進まない。生協のカレーでも恋しかったカレーの風味は味わえて満足である。家で作らないのはカレーが彼奴の腹には不適合のためだ。息子が家を出た今、カレー作る気は毛頭ないのである。

昼飯に酒を添えてみたいとは思う。海鮮丼に酒だな。中華でも酒だな。コップ一杯で十分だ。ビールとかウイスキーはもう飲みたいと思わない。

昼寝をする。30分くらい寝てしまった。

夕方、歯科に出かける。歯周病とかで歯のお掃除である。1時間近く口を開けたあと6時半の街に出た。土曜日のせいかもしれないが街の灯りが寂しい。

本日は七千二百歩で階段は2回でした。

願い事-静かに叶えて下さい。

コワクナイ、コワクナイ。

海鮮丼で酒が飲めなくてもそれは未練にはならないと思う。

「きつい鉋[かんな]をかけられて ー 早坂曉」(文春文庫 95年版ベスト・エッセイ集)は、以下で始まっている。

《「胆嚢癌です」

主治医から、はっきり告知されたときは正直言ってもう駄目かなと思った。なにしろ心筋梗塞で倒れ、心臓手術を待っているときの癌発見である。それもかなり進行しているらしく、「早坂さん、好きなものを食べていいですよ」と言うではないか。 》

さて、もしそう言われたとして何が食いたいか?最期の晩餐に何が食いたいかはお題の定番だが、あるラジオ番組でMCをしていた名取裕子さんは「卵かけご飯」とキッパリと仰っていた。以来勝手に親しみを感じている。アメリカの死刑囚は執行前夜の食事に好きなものを好きなだけ注文できる慣わしがあるらしい。注文は出るが、食べられる人はいないらしい。

顔本に啓示される警句からフムフムと云う作を書き留めているが、

Sunsets are proof that endings can be beautiful too.

を今日は書き留めた。何となくこれを書き留めたい心境なのである。beautifulでなくてもよいが、painless, peaceful and programmedであって欲しい。

pokkuriが望ましいが、宝くじ並みだそうだ。次善の逝き方として心身の苦痛に対して行き届いた計画的な緩和医療を施し延命は図らず短期で終息させていただきたいのである。その意味でのprogrammedであります。