(巻三十)酒ゆえと病を悟る師走かな(其角)

f:id:nprtheeconomistworld:20211001073603j:plain

f:id:nprtheeconomistworld:20211001073607j:plain

(巻三十)酒ゆえと病を悟る師走かな(其角)

 

9月30日木曜日

 

6時半に起きる。窓から四ツ木方向を一撮。色々なモニターのコードも外され、点滴の管も今は使われておらず、身動きを妨げるものはない。

採血、エックス線、とあり、院長の回診があった。尿管の石は砕いて除去したが、まだ腎臓に残っている石を改めて手術することになるとのお話でした。進歩した今の世でなければとうにお陀仏だったろう。

昼飯(一撮)を美味しく頂いた。午後からまた点滴に繋がれる。3時ころ、悪いけどと言われて部屋替えとなる。今度も四人部屋で窓から入口横になるが、前の部屋の患者はやや先輩の諸氏でなんやかんやと騒がしかったのに比べ、移転先の住人(病人)は壮年さんたちでカーテンをしっかりと閉めて自分の世界に籠っている感じがする。

夕食も美味しく頂いた。

移転先の空調が強く毛布を被っていても少し寒い。個室ではないので我慢するしかない。夜中、トイレに行くと老女の「痛いよ~、帰りたいよ~」といううめき声が廊下を伝わってくる。

願い事-多少の不便不快はありますが、お医者さん、看護師さまは患者に寄り添ってくれていて満足してます。こういう雰囲気の中で叶えて下さい。この病院で叶えて頂ければ、幸せな最期だったと云えると思う。

秋の暮生き足りしとも足らずとも(稲垣長)