(巻三十三)待春や私鉄の線路錯綜す(植松紫魚)

(巻三十三)待春や私鉄の線路錯綜す(植松紫魚)

5月18日水曜日

今朝は虫騒動で始まった。細君の部屋の畳に胡麻粒黒虫がいて騒ぎとなる。ミカンちゃんにも一齢幼虫の小さいのがいて排除した。今日は久しぶりの好天で毛布を干そうとしていたが、虫がつくことを怖れてやめることになった。

https://nprtheeconomistworld.hatenablog.com/entry/2020/03/11/083029

細君が生協へ出かけ、私は、

《本を読むのが好きになったのは、本を読んでいる人には声を掛けにくいのではないかと思ったからだった。忙しかった十代の頃、人と話をするのも億劫だった。だからと言って不貞腐れた態度をとる勇気もなかったし、無理して笑顔を作る根性もなかった。だからテレビ局の楽屋や移動の乗り物の中ではいつも本を開いていた。どうか私に話しかけないでください。そんな貼り紙代わりの本だった。それでも本を一冊読み終えると心の森がむくむくと豊かになるような感覚があつた。その森をもっと豊かにしたくなって、知らない言葉や漢字を辞書で調べてノートに書き写すようにした。学校に通っている頃は勉強が大嫌いだったのに退屈な時間はそんなことをして楽しむようになった。》

と始まる、

小泉今日子書評集」を読んだ。

小泉さんは読売新聞の書評委員を十年間務めたそうである。巻末のインタビューにはその間に著名な学者や財界人の委員と酒を酌み交わした事なども書かれている。なかなかの人物なのですね。

買い物から戻った細君がドクダミが蔓延っていると云う。更にラジオから仕入れた蘊蓄をかたむけるに、「ドクダミの中には花弁が5枚のラッキー・ドクダミがあるから、それを探すわ」とのことだ。散歩の帰りにドクダミ群を見たが(一撮)、まだ花は開いていない。白い花だけの一輪二輪ならばまだしも、あれが蔓延っているのは愉快ではない。

十薬の花をふやして家滅ぶ(高橋咲子)

その散歩は時計回りで猫詣でいたした。フーッ子、チカちゃん、太郎と花子に一袋ずつ振る舞った。

願い事-生死直結で知らぬ間に叶えてください。も~いいよ。

去年は芋虫さんをお客様のように扱ったが、今年は害虫として排除した。人間は気まぐれだと蝶々には恨まれているかもしれない。だが気まぐれな私もまた虫けらだ。何かによってここまで生かされてきて、この後には自分にはどうしようもない苦痛に満ちた日々とその最後に惨めな終焉が待っているのかもしれない。