(巻十二)死地脱し忘るるを得ず年忘れ(紫微)

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10月28日金曜日

昼休みを一時間ほど勝手に延長して新宿の都庁の無料展望台のレストランへ足を伸ばした。私のような下町場末っ子には東京の西半分は異国であり、これも旅である。

新宿の土に戻れぬ枯葉かな(金子文衛)

新宿駅西口から歩いたが、地下鉄大江戸線都庁前駅という手があることを忘れていた。第一庁舎の南北45階に展望台があるが南北は二つ連結していない。北を選んだ。

くさめしつ我は二人に分かれけり(阿部青あい)

北展望台からは当然東京の北西部北東部、つまり多摩から埼玉の方角が見える。今日は天候が悪く多摩・秩父の山々は見えず。

麦の秋さもなき雨にぬれにけり(久保田万太郎)

レストランは東に面していて、新宿駅を下に見る位置である。ランチセットで千円プラス程度あるから、まあ値段としては止もう得ない。カレーセットに決めて、窓に面したバーのストールに座った。都心部を眺めるアングルでスカイツリーが墨絵のように見えた。

南風(みなみ)吹くカレーライスに海と陸(櫂未知子)

ピアノとステージもあり、多分夜景はよろしいであろうから、デートスポットとしても使える。そこで、夜のメニューを持ってきてもらった。
全部メモしても仕方ない。代表選手は次のとおりである。前菜:本日の魚介マリネ1、080円、パスタ:べーコン・?・トマトクリームソースパスタ1、200円、主菜:和牛ステーキ2、980円(メニューの中で一番高い)、その他チーズ盛り、ハム盛りが1、080円。酒は吉乃川の升が680円とのこと。高いワインを呑まなければ一人五千円で収まりそうだ。
誰かいないかな~?

春宵の酒場にひとり酒啜る誰か来んかなあ誰あれも来るな(石田比呂志)