(巻十五)蓋あけし如く残暑の来りけり(星野立子)

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6月11日日曜日

紫陽花や主なきとて咲くな忘れそ(潤)

旧宅へ残置物の回収に行った。花芽の付いていた枝を残しておいたが見事に咲いてくれた。
みかんの木の若葉には蝶々が卵を産み付けていた。昨年は初めて蜜柑が実を結んだが今年はどうだろうか?見届けるまでに売れてしまえばそれはそれでよいのだが、残念でもある。

案外の実を結びけり庭みかん(潤)

戻り道の坂道で古家を取り壊した更地の前を通ったが植物たちがすでに大方を覆っている。我が旧宅も草ぼうぼうにするわけにもいかない。

夏草の思うがままの空家かな(三浦貴美子)

この空き地になった一軒の経緯(いきさつ)が私ども夫婦に今回の転居を促したとも云える。此処にも老夫婦が住んでいたが、二年ほど前に奥さんが先立たれた。遺されたご主人も半年ほど後に施設に入居された。お孫さんたちが障子はボロボロで外装も剥げ落ちた廃屋のような家の後片付けをしていたのを見て、私達は先行きをかなりはっきりと意識したのだった。

ふと覚めし雪夜一生見えにけり(村越化石)

朝日俳壇5月29日

護衛艦の影進みゆく春の海(瀧上裕幸)

朝日俳壇6月5日

ため息が曲がってばかりや五月闇(峠谷清広)

短夜や旅の枕の頼りなく(横田青天子)

朝日歌壇6月5日

水の無い水差し売り場の水差しにとって水とは概念である(九るい(?)ささら)