(巻十六)倉庫より高く荷を積み十二月(山本春海)

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8月20日日曜日

息子はゼミナールの合宿であろうか、九十九里セミナーハウスのようなところへ出掛けて行った。

九十九里浜に白靴を提げて立つ(西東三鬼)

細君と二週間経過した解凍カレーで昼食としたが、フォンドボーディナーカレー中辛の解凍カレーは旨い。出来立てのカレーより遥かに旨い。

カレーにも三河味噌入れ暑に耐ふる(田島もり)

椎名誠氏の雑文集“ガス燈酒場によろしく”(文春文庫)を仕入れて捲ってみた。三分の一辺りのところに“文庫解説と怪説”という“作品”があったので、これから手をつけてみた。
読み進むうちに、
「むかしはミズテンで、これは!という人に解説を頼み、断られるとややココロにキズがついた。」というセンテンスに出合った。
“ミズテン”の意味が解らず、ネットに頼ったところ、漢字では“不見転”と書く詞のようで意味が二つ載っていた。

芸者などが、相手を選ばずに、金をくれる人ならだれでも情を通ずること、そういう女。

花札で、状況をよく考えずに札を出すこと、転じて、行き当たりばったり。

とあった。
同じような三文字語に“不退転”と云うのがあって、“不退転の決意”とか、勇ましく、堅苦しく使われるようだ。ある意味親戚筋にあたる詞になんとも自堕落そうでいい加減な性格の従姉妹がいるようで、まことによい言葉を教えていただいた。


過日、日比谷図書館で“俳句界8月号”から書き留めた句はつぎの句でございます。

大の字に寝ても小者よ三尺寝(中田水光)

封じ手は黒に任せて秋扇(星野光二)

行進の恐さを知らず蟻の列(伊藤正美)

永き日や相触れし手は触れしまま(日野草城)

ただ通り過ぎたる金魚と金魚売(宇多喜代子)

尺取の縮む力で進みをり(大東由美子)

春愁や水に投げたるものの音(前田忍)

亀鳴くや尾を振る犬の処世術(木津和典)