(巻十八)死支度忘れがちなり菊枕(近藤一コウ)

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4月29日日曜日

天皇誕生日として40年弱、そのあとは“昭和の日”だとか“みどりの日”だとか言っているようだがどちらか忘れた。

考える人は考え昭和の日(谷山花猿)

この夏に死ぬことはなかろうと、死に仕度の前に夏仕度であります。半年お世話になったトレーナーをしまい、Tシャツと半ズボンを出した。四季と云うが、わたしの衣生活は二季です。

借銭の山に住む身の静けさは二季よりほかに訪ふ人も無し(大根ふとさ)

午後は図書館に出掛け、角川俳句五月号から、

コンテナ船発てり春の陽満載し(大串章)
*一応知られた俳人だからそうかと思うが、中学生が同じ句を作ったら駄作とされるな!

火宅出て月の朧に紛れけり(福島厚子)
*火宅の意味がよくわからず、ネットなど調べてみた。
人の世の所詮火宅の切子かな(稲垣きくの)
のほうが火宅がわかる。

天道虫死したる翅の収まらず(黒澤正行)

念仏は無の字ばかりや寒波くる(前田美智子)

春隣猫の視線の先に猫(吉田みち子)

一瞬の富士見逃がさず初電車(山尾かずひろ)

を書き留め、

あとの三句を選抜帳に移した。
山尾さまの句が素晴らしい!

図書館を出て、ファミマのテラスに向かった。煙草を吸い、カンチューハイをあおっていると雀が近づいてきて“パン屑くらい落とせよ”と騒がしく囀ずる。
“わかった、わかったよ!”と店内に戻り雀の好きそうなパンを一つ買った。
チューハイをあおりながらパン屑撒いてやったが、家族も連れてきて賑やかになった。

子雀の機嫌よき日の跳ね方よ(塚本裕樹)