(巻十八)雲ひとつ浮かんで夜の乳房かな(浅井慎平)

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5月27日日曜日

この団地に引っ越してちょうど一年が経った。概ね期待したとおりであり、ここまでのところよかったと思っている。
先ずは、所有していないので管理組合だの隣近所などとの接触がなくて煩わしさがない。
管理費は払うが、清掃やゴミ集積場の管理をしてくれる。戸建だと当番だなんだかんだとうるさい。雪が降っても年寄が危ない思いをしながら雪掻きをしなくてはならない、ということもない。

隣家とは近くて遠き石蕗の花(保田英太郎)

集合住宅ではあるが公団なので建物の間にゆとりがあり緑もある。加えて区道のサクラ並木の遊歩道が隣接しているので公園のような雰囲気もある。
緑があるので小鳥が多い。ゴミがないからカラスはこない。

渋柿と烏も知りて通りけり(小林一茶)

買い物は3分ほどのところに生協と大型ドラッグストア・雑貨屋があるので日々の品物はここで足りる。
これも歩いて3分くらいのところに、区立の図書館がある。これからの人生の黄昏には重要な施設になると思われます。ちなみに、写真2は図書館で毎月行われる映画鑑賞会の案内です。年寄りが集まってくるようですが、その年寄りたちより古い映画が上映されるのが常でございます。


午後はその図書館に参り、角川俳句の六月号を捲り以下の句を書き留めた。

黄昏は丘より来たりえごの花(対馬康子)
ぎやうぎやうし口から先に生まれたか(一茶)
此処よりは俗人入れず落椿(西村和子)
涼風や破れることもある血管(池田澄子)
いきいきと死んでいるなり水中花(櫂未知子)
福助のお辞儀は永遠に雪がふる(鳥居真理子)
ファスナーはあらゆるものを噛みにけり(久保純夫)
ともだちの流れてこないプールかな(宮本佳世乃)
我星はどこに旅寝や天の川(一茶)
サランラップの端見失ふ春の雪(駒木根淳子)
スクリューの白き泡見る日永かな(日原傳)
 
図書館の帰りに細君の指示により生協と雑貨屋によりご所望の品を買う。

衣類や電気製品は駅前やモールでないと買えないが、これは柏にいたころと変わらない。
駅までは今は歩いて12分くらいだがいつ歩けなくなるかは分からない。

今はいいが先のことは分からない。所有していないから安定性に問題は残る。家賃がこのままなら50年だって居られるが、どうなるやら?

しかし、駅から離れていて買い物に不便な坂の多いところにある戸建で近所に馬鹿が多いと云うのでは、先行き八方塞がりの四面楚歌であったから、この選択は必然であった。飛び出さなければ茹でガエル。

四面楚歌なり掌の雨蛙(須佐薫子)