(巻十九)三月の甘納豆のうふふふふ(坪内稔典)

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6月18日月曜日

8時前にオフィスに入り、たまたま以下のあたりをコチコチしていたところに地震の一報が入りました。

「日本漂流 - 小松左京」 ケイブンシャ文庫 おえらびください から


「監督さん!」と労務者は叫んだ。「なんだか知らないが、穴の底がぬけたみたいに、やわらかい地層につきあたりましたぜ。ひょっとして、そのマグマとかってやつにぶちあたったんじゃ.......」
次の瞬間、技師も労務者も、まっさおになって立ちすくんだ。
ー 大地の底から、ぐうっとせり上がるような、うす気味の悪い、動揺が湧き上がってきたのだ。
「来た!」と技師は叫んだ・「ロータリーをとめろ!地震だぞ!パイプが折れるぞ......」
その声は、作業場附近にまきおこった、大勢の悲鳴にかき消された。「櫓をはなれろ!」と誰かが叫んでいた。「電源を切るんだ!」ビシッと何かが折れる音がした。ひびのはいったパイプから高圧泥水が猛烈な勢いで噴出してきて、横にいた労務者のヘルメットをはじきとばした。配電盤がボンと音をたてて火と煙をふき出し、何かがガラガラと音をたてた。「危い!たおれるぞ!」と、誰かが金切り声をあげた。
ボーリング櫓が、人々の上にぐらっとのしかかってきた。 - だが、その時は立ってにげられないほど、大地はゆれていた。まるで大波のうねり、足下の地面が、?のように、とけくずれるかと思われた。ゴオッ!という地鳴りが天地をみたし、空にわき上がった鉛色の雲と山々との間に、何度もすさまじい電光が走った。 ― あたりには、声にもならぬ阿鼻叫喚がみち、今までの地震にもちこたえたM町の建物が、紙細工のように次々とたおれ、もうもうたる土ぼこりの中に、うすく火事の煙もたちのぼりはじめた。
「あッ、あれを見ろ!」こんな中に、さらに魂消(たまげ)るような叫びがきこえた。「山が.......山がくずれる」
たしかに ― 星のような雲が、渦まき乱れとぶ暗い空を背景に、M町の東にそびえる、吾妻、白根の峰々、また西方飛騨山脈、燕、烏帽子、鹿島槍の諸峰の頂が、スローモーション映画のように、ゆるゆるとこぼたれ、くずれ折れるのがのぞまれた.....。
まさにその瞬間 ― M町のみならず、日本全土は震度五乃至六の、すさまじい強震烈震におそわれたのである。


フィクションのままであって欲しいものです。
顔本に大阪の陽子さんが車内の状況を載せてくれていましたが、ご本人がご無事なによりでございます。