(巻十八)身にしむや洋服を売る呉服店(山口恵子)

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6月4日月曜日

浪花の角さんが会社を変わるとのことで、お電話を戴いた。いろいろと支えて下さった方が“お世話になりました”と電話をくださる。ありがたいことです。

うごくとも見えで畑うつ男かな(去来)

ちょっと寄り道をして帰ることにして貿易センタービルの中を抜けて地下鉄の駅に向かった。このビルは今でも受付嬢を二ヶ所に配置している。今日の二階の当番は小顔のくせに目鼻立ちのしっかりした派手な顔立ち嬢であった。もう一人の一階入口の当番はやや顔の平たい嬢である。
顔立ちのほか、通りすがりの観察で、二人の違いを申せば、二人とも姿勢よく座り顔も動かさずに置物のようにしているが、一階の嬢は目が動くというか、キョロキョロしている。目の前を通る人影を追って左右に視線を走らせてしまうのである。

破れたる網戸にいつも行く視線(黒川悦子)

一方、二階の嬢は無表情で視線も動かさない。動かさないが視線が死んではないから大したものだ。
置物としては立派だか、その代わり何を考えながら置物をやっているのか訊いてみたいなとも思った。

たわむれに見詰め返して謝肉祭(^鳴戸奈菜)

細君は歩いて5分のところに住んでいる妹の家にお昼をご馳走になりに出掛けたという。
こちらに越してきて初めて一人で妹宅まで行ったのだが案の定途中で迷い、電話で救援を要請したらしい。

恵方から方向音痴の妻が来る(斉田仁)

細君と義妹は全く正反対で、義妹は行動的・活動的でなにごとも手早くせっかちである。
ついこの間も友達と韓国に遊びに行ってきたとのことでお土産のお菓子のおすそ分けに与った。
素麺をご馳走になったらしいが、細君は妹の手早さ段取りの良さに改めて感心していた。

あぢさいや姉妹のだれが雨女(赤松湘子)

しかしすべての家事をさっさと片付けてしまうものだから、時間をもてあましスポーツジムだのなんのかんのと外出が多いようだ。
細君は、家事で手一杯でフウフウ言っているが、それはそれで無駄遣いもなく、結構なことでございます。
今も風呂から上がって、“今日は疲れた!”と申しております。

水すまし平らに飽きて跳びにけり(岡本眸)

細君と妹の違いはそのまま義弟と私に当てはまってしまう。私は車も運転できないほどの不器用者である。

爪汚す仕事を知らず菊膾(小川軽舟)

義弟はと言うと電気に強く、物を作ったり直したりすることに天賦の才がある。引っ越しの度に洗濯機からテレビからエアコンから何から何までお助けいただいているのである。

秋空や高圧線に技士九人(富永琢司)

夫婦は似た者同士が連れ添うようにできているのだろう。
そうでないと長持ちしないのかも知れない。

鉄鍋になじむ木蓋や雪催(安西信之)