2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻八)討入りを果して残る紙の雪(爽寿ー坂東三津五郎)

居間の蛍光灯が切れた。 幸い近所の電気屋に蛍光灯がまだ置いてあった。 LEDが主流になると、地デジのときのように照明器具を取り替えなければならなくなるのだろうか? ガラ携も生産停止になると言うし、 ついて行くのが大変だ! 冷奴隣に灯先んじて(石…

(巻八)燕来る時になりぬと雁がねは本郷(くに)思(しの)ひつつ雲隠(くもがく)り鳴く(大伴家持)

長年使ってきた座椅子がぼろぼるになり、処分することにした。 座椅子ではあるが、私にはビジネスクラスの座席であり、土日祭日の午後のお昼寝を旅にしてくれる、魔法の座椅子であった。 はるかまで旅していたり昼寝覚(森澄雄) 細君から譲られた、後継座椅子…

(巻八)情薄きものの一つや竹婦人(安斎桜カイ子)

浜松町駅の小便小僧のお召し物が海水浴着から祭装束に変わった。 なんといっても、白足袋が心憎い! 小便小僧に衣装を着けると言うのは遊びですが、遊びだからこそ、どうでもいいところに金を掛けている。 白足袋の句は在庫にないので、検索にまたまた頼りま…

(巻八)家を出て手を引かれたる祭かな(中村草田男)

朝の常磐線で、列車が北千住駅構内に進入してから急ブレーキをかけることがよくある。 北千住駅の上野方向にある踏切の遮断機が間に合わなかったための警報でホーム半ばで急停車となる。 先見えぬ坂の半ばに梅仰ぐ(青木弓子) 常磐線の上野と柏の間にはこの踏…

(巻八)その先はどうだったのと春炬燵(森澤とほる)

昨晩はN先輩と新鎌ヶ谷で一杯やり、楽しい時間を過ごした。 おでん酒酌むや肝胆相照らし(山口誓子) 新鎌ヶ谷にはチェーン店の飲み屋がなかったが、花の舞が高架したに開店していた。 二人で二時間弱飲んで一人三千円であがった。 人生の締めくくり時期にあ…

(巻八)あれこれと書き遺す気は無けれども君とのことは歌であるべし(牧野内英詞)

村松俊夫氏の個展「凍れる、重力」が天王洲アイル、セントラルタワー・アートホールで一昨日の24日から9月18日(金)まで開催されている。案内電話 03-5462-8811(入場無料) 品川のビルの向かうの夏の潮(戸松九里) 通りすがりに、作品を拝見させていただ…

(巻八)片時雨今戸渡れば向島(武蔵雷山)

日曜日の文化講演会は養老孟氏でした。認識の対象としての漫画というテーマでしたが、ややブレがあったと思います。 ご専門の解剖学は他の学問(法律学や経済学など)が学問の対象を学ぶの対し、対象を限定せずに、方法論を学ぶ学問であると説明されていた。 …

(巻八)フランスの一輪ざしや冬の薔薇(子規)

息子に時間ができたので、柏のビックカメラまでパソコンの購入に付き合ってもらった。 機種は東芝のT45に決めていた。 鍋焼きときめて暖簾をくぐり入る(泊雲) 白のつもりで行ったが、実物を見てみると汚れっぽそうだったので渋い金色にした。 その中の紺…

(巻八)雨女こぞりて雨の梅見かな(河野薫)

来年は捨てる約束更衣(中川幸子) もう一年雇用を延長すると言ってきた。 値切られたが、敗戦処理に10試合だけに登板した投手のような立場であるから、止もう得まい。 紐解かれ枯野の犬になりたくなし(栄猿丸) 働かなくても、食うに困ることはないが、 五人…

(巻八)隅田川簑来てくだす筏士に霞むあしたの雨をこそ知れ(加藤千蔭)

前の会社のN先輩から、久しぶりに一杯どうか?とお誘いをいただき、 来週、新鎌ヶ谷で呑むことにした。 九月末をもって後進に道を譲ることになったようだ。 もう行けぬ通勤途次の柿の木と銀杏しずかに浮びくる秋(清水峻) 私より五つ歳上であられるから、隠…

(巻八)小春日や歌謡曲など口ずさみ(宇佐見須美子)

季節が変わる。着るものを考えねばならない。 ところが着るものがない! 高価な衣類は身につけないことにしている。 煙草の火を落とし、穴を開けたときの落胆を考えると、とても七万円もする背広を着る気にはなれない。 虫食いの穴を見つけたときのショック…

(巻八)十棹とはあらぬ渡しや水の秋(松本たかし)

人間ドックの結果を踏まえての、医師との面談があった。 若干の痔の出血から直腸癌の怖れを指摘されたり、痛風から腎不全を匂わされたり、 柏の名医とちがい結構脅してくれるおじさんでした。 汗をもて問診に嘘ひとつ言ふ(久保東海司) ネットの「増殖する俳…

(巻八)花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ(杉田久女)

朝の柏駅に到着する中距離電車のフロントグラスに虫との衝突の跡の汚れが見られ始めた。 願ふことあるかもしらず火取虫(土方歳三ー豊玉) 常磐線は新松戸を過ぎたあたりから虫の世界になる。 利根川から先の開発はバブル期からであり、駅の近辺は地主が手放さ…

(巻八)柿ひとつひとつ漆器のやうに拭く(中田剛)

新柏坂下通りの一軒の柿がうっすらとカーキ色を帯びてきた。 わが庭の 柿の葉硬く なりにけり 土用の風の 吹く音きけば (島木赤彦) から一月弱であるが、柿はずいぶん柿らしくなった。 ふと出会った句、 絶対の安堵に死とふ涼しけれ(密門令子) 密かな共感を…

(巻八)日がな碁をうちて晩酌ほろ酔いで風呂に入りて父逝きにけり(石川義倫)

雨の出勤となったが、涼しさはありがたい。 秋来[き]ぬと 目にはさやかに 見えねども 風のおとにぞ おどろかれぬる (藤原 敏行) この歌の素晴らしい英語訳があったのでclearanceのほうでも借用させていただいた。 英字紙の袋の掛かるぶどう棚(中御門あや) 新…

(巻八)コンビニの短き箸の夜食かな(小高根千尋)

添付の、時計草の写真は昨年の今頃撮ったものです。 あるお宅が、垣根に絡めてきれいな花を咲かせていたところを撮しました。 そのお宅の奥さんから聞くところでは、ご主人が好きな草花だとのことでした。 ご主人は健康がすぐれないとのことで、立ち話をして…

(巻八)覚めきらぬ者の声なり初蛙(相生垣瓜人)

18時6分上野駅発の水戸行き列車が隅田川を渡ったころには、東の空には黒雲が広がっていた。 一雨ほしい。夕立が来ないかなぁ。ちょうど家に着いたころに。 夏蝉の響きを止めて夕立の雨音高く木々の葉を打つ(有賀彗至) そうは問屋が卸してはくれず、新柏駅…

(巻八)ひとよさに葉をふりすてて立つ樹樹の意志さばさばとすこやかなりき(齋藤史)

世はお盆の旅行者でいっぱいだ。 中吊りに求ム旅人夏休み(松枝真理子) そこで私も旅人になろうと、サーモンの寿司おにぎりと吉乃川を買い込んで上野駅からグリーン車に乗った。 グリーン車での晩酌は生きている喜びを与えてくれる数少ない贅沢である。 つま…

(巻八)街道も今は裏路地寒椿(酒井湧水)

今朝の上野駅3、4番線ホームをトンボが横切った。 停車場にけふ用のなき蜻蛉かな(久保田万太郎) 蝶よりも、蝉よりも、蜻蛉に親しみを感じる。 昨日はIT厄日であったが、今日は帰りの上野駅12番線ホームでガムを踏んでしまった。 気温が高くホームが温…

(巻八)時鳥厠半ばに出かねたり(夏目漱石)

やはり、夏バテ気味で食欲が減退している。 車内広告では、ゴルゴ13氏が養命酒を奨めているが、頼りたくない。 昼は、コンビニのスパイスの効いたパスタや焼き麪にしている。 昨日は醤油焼きうどん、今日はソース焼きそばにした。 鍋焼ときめて暖簾をくぐ…

(巻八)黒猫のさし覗きけり青簾(泉鏡花)

早く隠居がしたいと思います。 風流に。 茶の湯とは只湯をわかし茶をたてて呑むばかりなるものと知るべし(利休) 荷風も万太郎も空穂も寂しがっていますが、独居もいいなぁと思います。 もてあます西瓜一つやひとり者(永井荷風) 煮大根煮かへす孤独地獄なれ(…

(巻八)春眠を紙のごとくに破らるる(木暮陶句郎)

お役所に出向き、屁理屈と屁理屈の応酬となり、結果大岡裁きを戴く。 憂きことを 海月(くらげ)に語る 海鼠(なまこ)かな (召波)

(巻八)山や谷あるが如くに蝶飛べり(青木千未子)

カタログを集めて、パソコンの選定に入った。 私としては、11インチくらいの小型がいいのだが、息子も販売員の方も15.6 インチを勧める。 東芝、富士通、NECの十万円くらいの機種になりそうだ。 思ふこと書信に飛ばし冬籠(高浜虚子) 先週もいろいろな方々…

(巻八)しているのにしていないふりをしていてはしていることをしかと語れず(佐竹游)

今朝は、細君と柏市議会議員選挙の期日前投票に行った。期日前投票は駅横の市民サービスセンターで簡単に行える。 8時半に着いたので、並ぶことなくすいすいと投票を済ませた。 無党派で、その時々の情勢で投票する政党はかわるが、 今回は、 「資本論」抜…

(巻八)返事まだ書く気にならずシクラメン(馬場公江)

夏の高校野球が始まった。 ドームで内野も芝になってしまった球場が増えたなか、甲子園球場の黒土の内野は美しい。 炎天やベース正しき野球場(亜うる) 昨晩は勇退される方の送別会でした。 散る桜残る桜も散る桜(良寛) そんなわけで、 衣紋竹片側さがる宿酔(…

(巻八)すらすらと無理言ふ妻や冬日和(浜岡健次)

浜松町駅の小便小僧のお召し物が海水浴風に変わり、麦わら帽子に特注のゴーグルをかぶっている。 海恋し二十一年見ていない泳いでいない釣りしていない(郷隼人) 私も、息子が成長してから十三年くらい、海水浴には行っていない。 容赦なく子は育ちけり竹の春…

(巻八)生まれたる日本橋の雨月かな(長谷川かな女)

今日から巻八に入りました。 自分では詠めない思いを名句秀歌に託し、日々を省み、あまり長くもなさそうな余生の道標にいたしております。 声にして君に届ける歌撰ぶ詠めぬ慕いを誰に頼まん(潤) 巡り会った句や歌を句帖に書き取り「立読抜盗句歌集」と名付け…

(巻七)立読抜盗句歌集

弟に本読み聞かせいたる夜は旅する母を思いてねむる(秋篠宮佳子) 一句得るまでは動かじ石蕗(つわ)の花(阿部みどり女) 座る余地まだ涅槃図の中にあり(平畑静塔) 六十八 心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな(三条院) 気がつけば妻も縮んだ…

本日の句歌

句歌控帳「立読抜盗句歌集(巻七)」 セーターに首入れ今日を始めけり(三浦善隆) 巻七の巻末です。後程巻七を一挙掲載いたします。 証明書用の写真を撮る羽目になり、出来上がりを見て落ち込んだ。 すっかり老人である。 個人差あるにしても、随分と先を独走し…

本日の句歌

句歌控帳「立読抜盗句歌集(巻七)」 摘草のにほひ残れるゆびさきをあらひて居れば野に月の出ず(若山牧水) 外出せず。 雀は暑さに負けず、しっかりと囀ずっている。 8月のNHK日曜日のカルチャーラジオは、「ゴッホの自画像への旅」という演題でした。 天才…