2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻八)はるかまで旅していたり昼寝覚(森澄雄)

10月30日金曜日 最近、鯛焼きの句を二つ書き留めた。 鯛焼やいつか極道身を離る(五所平之助) 鯛焼を欲り哲学者老いにけり(鍵和田ゆうこ) と言うわけで、鯛焼きが頭に残っていた。 そのような心持ちのところ、ある乗り換え駅の構内で鯛焼きに出会した。 …

(巻八)編みくれしマフラー巻いて待合はす(三村純也)

10月29日木曜日 成田空港域外の事務所に官庁の視察があり、対応のため成田方面に出動いたしました。 大好きな、千円シャトルバスで銀座から第二ターミナルまでのドライブは日頃机にへばりついている身にはありがたい気分転換である。 四つ折の千円ひらく…

(巻八)柏餅空の大きな故郷かな(布川武男)

10月28日水曜日 角川俳句を買いました。 高橋将夫氏の どちらへもころがる運や檪の実 角川俳句平成俳壇: プライドを終の施設に捨てし夏(春山久米) 盗めよと盗んでみよと薔薇真紅(神野志季三江) 浴衣着て言葉やはらぐ夕べかな(早川典子) すぐ乾く修正液…

(巻八)生命線ほそく短かし秋日受く(寺山修司)

10月27日火曜日 今朝の電気ビル裏のプロントは大繁盛の満席状態であった。 座る余地まだ涅槃図の中にあり(平畑静塔) 写真はモーニングCセットであるが、ハムチーズトースト、サラダ、卵又はヨーグルトに飲み物がついて450円である。 私は7時半ころ…

(巻八)しきしまの大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花(本居宜長)

10月26日月曜日 彼岸からの1ヶ月、気温の落差が大きい。 セーターに首入れ今日を始めけり(三浦善隆) テレビドラマを見ないので、この女優さんのお名前がわからない。 車内広告では表情豊かに好感を与えているが、深層は悪女ではないかと思っている。 悪…

(巻八)後ろ手に閉める障子の秘密めく(塩見成子)

10月25日日曜日 細君の母がお世話になっているホームに細君と見舞いに参りました。 不思議なことではありませんが、97歳のホームの住人が亡くなったようで、 ホームの集会室で葬儀が営まれるようです。 義母を含め、ここにお世話になっている老人たち…

(巻八)ぬかづけばわれも善女や仏生会(杉田久女)

10月24日土曜日 昼食に柿を剥いた。 通常、土曜日の昼食はその週の夕食のおかずの残り物の解凍処理物であるが、 柿が添えられたので、何かちゃんとした食事に思えた。 柿はやや熟れぎみで、甘味十分でした。 柿添えて貧しからざる昼の膳(潤) 柿食ふやす…

(巻八)人肌の酒にほろほろ酔ふていてそれでいいのかそれでいいのだ(光畑勝弘)

10月23日金曜日 今朝は古新聞、古雑誌を出せる日だったので、エコノミスト誌を二束、半年分、を集積所に置いてきた。 2009年からのものが残っているが、少しずつ廃棄していこう。 隠居してから読み返してみようと思っていたが、どうも家事手伝いで自…

(巻八)落ちさうで落ちぬところに露の玉(高橋将夫)

芸術の秋とて、うさぎさんの句のように美術館に足を運ぶ愛好家ではございませんし、そもそも芸術の解らない無粋者でござんす。 芸術の秋の人出に紛れむか(太田うさぎ) そんな折り、ビルの谷間に大きなキャンバスが仕立てられて、アートな画が描かれ始めまし…

(巻八)一人静二人静より華やげる(河合清)

一人静という花のあることを知りませんでした。 知らないことばかりです。 朝食処のプロントのレジのお姉さんが髪型を変えた。髪型に合わせてお化粧もやや濃くなったようで、随分と印象が変わった。 ご常連の多い店なので、皆さんから、“オッ!”と声を掛けら…

(巻八)言の葉の海に乗り出し糸垂れて当りの来ざる一日過ごせり(中村且之助)

尿管結石音波破砕手術の結果診断のため、千葉西病院へ参りました。 石拾ふことに始まる畠打ち(太田英友) 残念ながら、石は拾えなかったようで、内視鏡手術を受けることになりました。 いかにしてここに入りしかラムネ玉(森川清志)

(巻八)夕桜家ある人はとくかへる(一茶)

URの老人向け賃貸のHPを読んでみた。五十平米未満であれば、都内場末、駅近でも月十万円以下で住めそうである。 老いてくれば、一戸建てがベストではなくなる。 そういうことが、見えていれば家の選択もちがったものになったであろう。 蛙の夜我が生涯の…

(巻八)世間(よのなか)を憂(う)しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば(山上憶良)

深夜2時にトイレに一度行ったが、ほぼ朝まで快眠できた。 細君の喪服(洋装)に黴が出てしまったようだ。 朝一でクリーニング屋さんに持って行った。 ここ十年、不幸がなかったので、ワードローブに入れたままだった。そのなかでの失敗である。 由といたそう…

(巻八)餅花や鼠の罠の跳ねし音(関谷透雲)

座椅子でうとうと昼寝できる季節は終ったようだ。 しかし、布団を敷いて寝てしまうと寝過ぎで夜の快眠に響く。 どうでもいいようなことであるが、寝ることの楽しみに占める割合が高くなっているので上手い昼寝をいたしたい。 昼寝起きれば疲れた物のかげばか…

(巻八)梅日和ならぬ静かな雨一と日(舩山セツ子)

血液型による性格判断はいまだに雑談のテーマとしての地位を保っているようだ。 乗り合わせたエレベーター内の女子二人の雑談もA.B.O.ABで盛り上がっていた。 「みんなの血液型知りたーい!」 と話ながら降りて行った。 感謝せず 感謝されざる 性格…

(巻八)子の荷物運び出したる部屋の窓ソメイヨシノのつぶみふくらむ(田島千代)

名古屋を訪れたので、敬意を表し、 井上士郎: 日のくれぬひはなけれどもあきの暮 横井也有: 木に置て見たより多き落葉哉 団体旅行客の集合場所になっている、名古屋駅太閤口を抜けて、広小路口から名鉄の地下駅に降りた。 ここから、ミューという特急に乗…

(巻八)晩学の手櫛にかくも木の葉髪(岡持蝶児)

三島を過ぎ、冠雪した富士山を拝めました。 初旅や反対側の窓に富士(中根武郎) 新幹線から関西空港へのローカル線に乗り換えたが、大阪は不案内で何処を走っているのかわかりませんでした。 通過駅のホームを見ていると、東京より国際的に見えました。 東京…

(巻八)春昼(しゅうちゅう)の入つてみたき懺悔室(内田美紗)

昨晩の新柏からの帰り道、猫から声を掛けられた。 毛並みのいい飼い猫が、ニャーニャーと尻尾を立ててよってきた。 喉など掻いてやったが、しばらく遊んでくれて、去って行った。 さし招く団扇の情にしたがいぬ(後藤夜半) 親分と関西名古屋方面に出掛けるこ…

(巻八)串抜いておでん分け合う二人かな(岩村昌司)

NHKラジオアーカイブス、今晩は高見順氏であった。大手術のあととはいえ、その後数ヶ月で死ぬとは思っていない高見順氏の応答ぶりであった。 昼寝をした割には、すーと眠りにつけた。 安眠、快眠に勝る幸せはない。 新柏の桜の葉は赤くなりハラハラと落葉…

(巻八)もう行けぬ通勤途次(とじ)の柿の木と銀杏しずかに浮びくる秋(清水峻)

俳壇: 秋風やあとから気付くこと多し(加藤あや) 曇雨の日曜日を細君と二人だけで過ごした。 よくしゃべるが、腹の中まで見えるので、悪いことではないでしょう。 私の入院中は、やはり悪い夢を見たとのことだ。 心配をかけないことが、一番の女房孝行になる…

(巻八)骸骨や是も美人のなれの果(漱石)

昨日は細君と湯島の岩崎庭園にスケッチに行くことにしていたが、 細君の顔にちょっとした腫れ物ができてしまい、医者に行き先が変更された。 死ぬことを風邪を引いてもいふ女(高浜虚子) カルチャーラジオで解説のあった、十返舎一九の俳句は見付かりませんで…

(巻八)弓なりに橋さえ耐えているものをどうしようもなく熟(みの)りゆく性(永田和宏)

そんな時代もあったね! 童貞を捨てたのは二十六歳だ。遊びに行かなかったので、幼なじみの中では遅い方であった。 童貞や根岸の里のゆびずもう(仁平勝) 相手は玄人ではなかったが悪女と善女が同居し、どちらになるかはその日の賽の目次第という年上の美人だ…

(巻八)朱夏の陽の影の重たき投手かな(林桂)

NHKカルチャーラジオの第三・四半期の各曜日のテーマが出揃った。 水曜日は「イスラーム」、木曜日は「十返舎一九」、金曜日は「感染症」です。 昨晩は一九先生が江戸の文壇にデビューするまでのお話でした。 第一回で一九先生が俳句もなさったと説明があ…

(巻八)冬ながら空より花の散り来るは雲のあなたは春にやあらむ(清原深養父ーふかやぶ)

知人が血栓で二度目の入院したという。 食事、飲酒、喫煙について勧告を受けていたそうであるが、独身ということもあってか、なかなか守れないようである。 さり気なく聞いて身にしむ話しかな(富安風生) 秋の空気は澄んでいて心地好い。 晩節に至り、悟り、…

(巻八)蝶々のもの食ふ音の静かさよ(高浜虚子)

浜松町駅の小便小僧の装束がハロウィンに変わっていた。 師の芋に服さぬ弟子の南瓜かな(平川へき) クリスマス、バレンタインデーに続いて、行事としての地位を確かなものにしたようだ。 尻さむし街は勝手にクリスマス(仙田洋子) やけに効くバレンタインの日…

(巻八)古井戸の底に落ちたり春の空(杉山一三)

ノーベル賞受賞の大村先生が定時制で教鞭をとられたことのある高校に昼間行ってました。 それぞれの仕事の匂ふ夜学生(天野明正) 工業高校、商業高校は廃校になったところが多いけれど、下町の本所と深川の境あたりにある、墨田工業高校は存続している。 墨東…

(巻八)体内の迷路も夏か水いそぐ(山川蝉夫)

だいぶ、気温も下がり蒲団の温もりが心地好くなってきた。 だんだんと蒲団となつてゆく体(抜井諒一) 何にも考えず、心配もせず、眠りに落ちていく幸福感を味わえた。 人間に寝る楽しみの夜長かな(青木月斗)

(巻八)目の愁ひあらわにしたるマスクかな(岩崎ゆきひろ)

匙を投げられた訳ではないし、日常生活に支障があるわけでもなく、食欲がないわけでもない。 匙なめて 童たのしむ 夏氷 (山口誓子) 医者先生と看護師さんたちには深く感謝してます。 半袖の若きナースや十二月(えんや) 俳壇: 地に在りて毬栗しかと刺さむ貌(…

(巻八)白梅のあと紅梅の深空あり(飯田龍太)

生枯れの我生枯れの葦の中(遠山陽子) 考え込まない癖をつけましょう。 帰り来て上着そのほか定位置に戻してやればうれしさうなり(寺松滋文)

(巻八)恐いほど吾を見てゆく流し雛(中原南大喜)

おはようございます。 ボチボチ行きますか。 人間は管より成れる日短(川崎展宏)