2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「セーラー服と四畳半 - 澁澤龍彦」中公文庫 少女コレクション序説

「セーラー服と四畳半 - 澁澤龍彦」中公文庫 少女コレクション序説 サド裁判の被告になって以来、「ワイセツとは何か」といったような質問に、私は何十回となく回答を要求されて、いい加減うんざりしてしまった。べつにワイセツの専門家でもなく、朝から晩…

(巻二十五)雲の峰我が放尿の力かな(馬目空)

(巻二十五)雲の峰我が放尿の力かな(馬目空) 4月29日水曜日 勢いは若さと健康の象徴でした。 そう言えば立ち小便を最後にしたいつだろうか?立ち小便をしてないなあ! 此所小便無用花の山(其角) 立ち小便に楽しい思い出があるわけではないが、振り返って、…

「“荷風の最期-浅草尾張屋” - 新藤兼人」新潮文庫 ボケ老人の孤独な散歩(103頁辺り) から

「“荷風の最期-浅草尾張屋” - 新藤兼人」新潮文庫 ボケ老人の孤独な散歩(103頁辺り) から 荷風は偏奇館で三年ばかり自炊したことがあるが、ほとんど外食である。新橋の金兵衛、今朝。銀座で銀座食堂、風月堂、フジアイス、資生堂、竹葉亭、ローマイヤ、…

(巻二十五)平穏を謝す齢となり白地着る(佐藤美智)

(巻二十五)平穏を謝す齢となり白地着る(佐藤美智) 4月28日火曜日 最晩年に平穏がひっくり返ってしまった。最晩年でまだよかったのか? 最晩年身を焼く火事も思し召し(平川陽三) (散歩と買い物) 午後からは雷雨との予報で、午前中に散歩と買い物をいたした…

「寿命は定まっている - 水野肇」中公文庫 夫と妻のための死生学 から

「寿命は定まっている - 水野肇」中公文庫 夫と妻のための死生学 からさて、私は「一度は死ぬのだ」とあきらめて欲しいと提唱してきた。問題はそのあきらめ方にもある。徳之島の泉重千代さんは百十八歳をすぎても生きている。私も百歳まで生きたらあきらめ…

(巻二十五)残るのは死んだ振りのみ四月馬鹿(本杉康寿)

(巻二十五)残るのは死んだ振りのみ四月馬鹿(本杉康寿)4月27日月曜日洗濯と掃除をいたした。外出せず。昨晩のおかずの残りがなく昼食は納豆と茹で玉子でいただきました。それでも、ご飯がいただけるだけでありがたいのです。何がなくてもご飯と佃煮とお新…

「たったひとつの選択 - 色川武大」中公文庫 いずれ我が身も から

「たったひとつの選択 - 色川武大」中公文庫 いずれ我が身も から どういう死にかたがよいか、と考えても、若い娘に理想の男性を訊くのと似て、やがて直面した死にかたをするより仕方ないから、無駄な考えに近い。私は父親の不惑すぎの子供で、物心ついたと…

(巻二十五)保護色となりて声上ぐ雨蛙(大竹照子)

(巻二十五)保護色となりて声上ぐ雨蛙(大竹照子)4月26日日曜日(俳句)朝日俳壇、今日はこの句を書き留めました。鶯や時を止めたるひと呼吸(友井正明)(散歩と買い物)曳舟川親水公園を江北橋通りまで進み、右折して環八まで歩き、二丁目の桜通りに入り、生協…

Position paper

The week ends on April 26. Mentally slightly unstable because of the pandemic. Not worrying about my own infection, but vague anxiety over the coming socio-economical devastation after the pandemic ends. Physically well fitting. Once a mon…

2/2「三上・三中 - 外山滋比古」ちくま文庫 思考の整理学 から

2/2「三上・三中 - 外山滋比古」ちくま文庫 思考の整理学 から このごろ、乗りものの中でものを書いている人をときたま見かけるが、たいていの人はすることもなく、ぼんやりしている。何も書き入れることのない、いわば白い時間である。週刊誌や軽い読みも…

(巻二十五)大丈夫みんな死ねます鉦叩(高橋悦子)

(巻二十五)大丈夫みんな死ねます鉦叩(高橋悦子) 4月25日土曜日 (散歩と買い物) 親水公園→中学裏門→二丁目桜通り→生協と歩いた。あまり歩数は伸びない。三千七百歩。 生協ではスナック菓子がよく売れているようだ!棚が空っぽ!外出自粛となればカウチ・ポ…

1/2「三上・三中 - 外山滋比古」ちくま文庫 思考の整理学 から

1/2「三上・三中 - 外山滋比古」ちくま文庫 思考の整理学 から どういうところでいちばんいい考えが浮ぶか。科挙という国家試験が古くから行われた中国では、そのことが真剣に考えられたのであろう。科挙では文章を綴る能力が試験されたから、われわれがい…

(巻二十五)蕪汁に世辞なき人を愛しけり(高田蝶衣)

(巻二十五)蕪汁に世辞なき人を愛しけり(高田蝶衣) 4月24日金曜日 (散歩と買い物) 百円珈琲を喫していたコンビニが野外のベンチを撤去してしまった。これで行き場所が一つ減った。 これからは珈琲が飲みたければ、親水公園そばのコンビニで買って公園のベ…

「貧乏物語 二の一 - 河上肇」岩波文庫 貧乏物語 から

「貧乏物語 二の一 - 河上肇」岩波文庫 貧乏物語 から 私のいうところの貧乏人の意味は、前数回において私のすでに説明したところである。しからばその標準にもとづき、今日の文明諸国において、かくのごとき貧乏人ははたしてどれだけいるかというに、そは…

(巻二十五)美術館外も落葉の点描画(島崎靖子)

(巻二十五)美術館外も落葉の点描画(島崎靖子) 4月23日木曜日 持病が少し良くないような気がした。ちょうどお薬も切れる頃なので一週間早めではあったが駅前クリニックに出かけた。 患者は少な目で空間は確保されていたが、中で待たず外の廊下で順番待ちし…

「人生の秋 - 小此木啓吾」文春文庫 89年版ベスト・エッセイ集 から

中高年の心の危機を語るときに、思秋期という言葉を使う。つまり、人生の秋を知る年代という意味である。例えば鏡を見て、突然、自分の顔の老いに気づく。何か病気があることが発見される。この会社での将来もここまでという見きわめがつく。こうした体験を…

(巻二十五)啓蟄やエコーで探る腹の虫(石塚寿子)

(巻二十五)啓蟄やエコーで探る腹の虫(石塚寿子) 4月22日水曜日 細君が朝一で生協に行き、ついでに花屋さんで写真の花を買ってきた。花屋さんが苦境にあるそうなので僅かでもと五百円ほどいただいてくるのである。 衣類は節約し、外出は医者と美容院だけで…

「郵便局の角で - 藤沢周平」文春文庫 小説の周辺 から

「郵便局の角で - 藤沢周平」文春文庫 小説の周辺 から 家内が郵便局に行くというので、ちょうどコーヒーを飲みたくなっていた私も、一緒に外に出ることにした。「コーヒーをごちそうするよ」と私は言ったが、家内はさほどうれしそうな顔はしなかった。家内…

(巻二十五)死後の値の保険に決まるもどり寒(水下寿代)

(巻二十五)死後の値の保険に決まるもどり寒(水下寿代) 4月21日火曜日 (散歩と買い物) コンビニで珈琲を頂く。世の中はいつものように動いているようだし、いつもの庭先は美しい(写真)。それが慰めであります。 教会前の礼拝掲示板に説教の題目が出ていて…

「私のあいさつ(89・11) - 野村克也」文春文庫 巻頭随筆6 から

「私のあいさつ(89・11) - 野村克也」文春文庫 巻頭随筆6 から去る九月十三日、野球殿堂入りを許された私のために、大勢の方が集まって下さった。その席上であいさつを求められ、思いがけずこれまでの野球人生を振り返ることになった。*振り返ると、…

(巻二十五)晩年の思い始めは蠅叩(鳴戸奈菜)

(巻二十五)晩年の思い始めは蠅叩(鳴戸奈菜)4月20日月曜日細君は南の六畳間で、あたしは北の六畳間で寝ている。寝ているだけでなく一日の大半をそれぞれの空間で過ごしている。今朝細君からベランダに朝方に雀が来てうるさいとの不平が洩らされた。鳩はベ…

「俳句は石垣のようなもの - 飯田龍太」中公文庫 思い浮ぶこと から

「俳句は石垣のようなもの - 飯田龍太」中公文庫 思い浮ぶこと からさきごろ、女性の、それも俳句の初心者ばかりの会にゲストとして出席したところ、最後に、案の定(といっては失礼だが)「俳句がうまくなるにはどうすればいいでしょうか」という質問が出た…

(巻二十五)日盛や動物園は死を見せず(高柳克弘)

(巻二十五)日盛や動物園は死を見せず(高柳克弘) 4月19日日曜日 息子のお上がりの冬物のパーカーを洗濯した。 細君ともども、息子が置いていった物で着られる物は着ている。 細君ともども、衣類には金をかけていない。 豆の花妻は野良着のほか知らず(立花…

「さっさと満足して死になさい - 中島義道」新潮文庫 私の嫌いな10の人びと から

「さっさと満足して死になさい - 中島義道」新潮文庫 私の嫌いな10の人びと から 「わが人生に悔いはない」と思っている人びとへ。ああ、そう思いたければそう思いなさい!そう思って、さっさと死んでいくがいい!誰でもちょっと考えてみれば、人生に悔い…

(巻二十五)一生の疲れのどつと籐椅子に(富安風生)

(巻二十五)一生の疲れのどつと籐椅子に(富安風生) 4月18日土曜日 強雨の一日で部屋に籠っていた。写真は数日前にふと一撮したものです。椿ですか? 頭たれ耐えてをりしが椿落つ(モーレンカンプふゆこ) (読書) 「図書館員の頃(’79-11) - 阿刀田高」文春文…

「コミケット・世界最大のマンガの祭典(其の二) - 米沢嘉博」宝島社文庫 「おたく」の誕生 から

「コミケット・世界最大のマンガの祭典(其の二) - 米沢嘉博」宝島社文庫 「おたく」の誕生 から アニパロ、コスプレ、ロリコンコミケットは当初、萩尾望都、竹宮恵子といった「24年組」少女マンガの人気もあって十代の女の子が入場者の八割を占めていた。…

(巻二十五)不満げな妻の相槌走り梅雨(本杉康寿)

(巻二十五)不満げな妻の相槌走り梅雨(本杉康寿) 4月17日金曜日 (散歩と買い物) 本日は北に歩いて地域病院の前(写真)まで行ってみた。あたしに関係ある診療科は揃っているが、ちとデカ過ぎるような気もします。以前お世話になった場末の中堅病院で往生させ…

「「ピーナツのなぞ」を追って - 東海林さだお」文春文庫 タコの丸かじり から

「「ピーナツのなぞ」を追って - 東海林さだお」文春文庫 タコの丸かじり から 「ナットウは糸を引くが、ピーナツはあとを引く」という名言がある。(さっき、ぼくが作ったんだけどね)ピーナツをなんとなく食べ始めて止まらなくなった、という経験はだれでも…

(巻二十五)伸びるだけ伸びる寿命へ納税期(有馬ひろこ)

(巻二十五)伸びるだけ伸びる寿命へ納税期(有馬ひろこ) 4月16日木曜日 細君は朝一で生協へ出かけた。生協は毎日をポイント二倍デーにして客の集中を分散するそうだ。食品スーパーの一人勝ちだなあ~。いや、ドラッグストアーとコンビニもいいだろう。 しか…

「東スポ伝説と十九世紀パリ ー 高橋源一郎」朝日文芸文庫 文学じゃないかもしれない症候群 から

「東スポ伝説と十九世紀パリ ー 高橋源一郎」朝日文芸文庫 文学じゃないかもしれない症候群 から 「小説は読まん。読むのはスポーツ紙のポルノぐらいやな」と宣言した鉄工所の社長さんのことを前回とりあげた。ではその社長さんはいったいどのスポーツ紙を読…