2016-01-01から1年間の記事一覧

(巻十三)過ぎ去つてみれば月日のあたたかし(山田弘子)

12月30日金曜日 昨日のブログ記事中、長明を長命と誤ったので、こっそり訂正いたした。自宅に居る方が時間にゆとりがないので、雑な記事になってしまう。 誤字脱字合格祈願絵馬頓馬(木村いさを) 午前中に米屋から餅が届いた。一枚だけである。以前は機械…

発句集

平成二十六年 官を辞し大黒様に初詣 重ね着や更に重ねて二重足袋 銘酒より冬の真水の酔いざまし 春雨や十色の百の傘交じり まっつぐに舗装の継ぎ目草の筋 春の月なにに怯えて寝付かれず 雨が討ち堀に追われし桜花 質草やみどりは淡し初鰹 二十日ころあいさつ…

What will outlast newspaper? by Jim Rutenberg (NY Times International)

One day many decade hence, when your grandchildren ask you, “Grandma, what was a newspaper?” you can direct them back to Tuesday, Sept. 6, 2016. Because it may well go down as the American newspaper as we've known it moved out of intensive…

(巻十三)老人のかたちになつて水鼻(みずっぱな)かむ(八田木枯)

12月29日木曜日 3ヶ月着たジャケット二着とズボン三着をクリーニングに出した。大晦日に仕上がる。上下でもう一組あるが、万一亡失や破損があるといけないので取って置いた。 この一年を振り返る番組が多いが、ラジオで今年他界された有名人を織り込ん…

2/2Examining the curious case of a man whose memory was removed (脳の記憶部分摘出ー書評)

Scoville, meanwhile, had become a vocal proponent and prolific performer of psychosurgeries;by the time he began treating Molaison in the mid-1940s, he was a participant in a study that lobotomize mentally ill patients in the hope of easi…

(巻十三)一瞬の涼し美人とすれ違ふ(稲木款冬子)

12月28日水曜日 今日が仕事納めですので、有楽町駅の大黒様に一年の御加護をお礼申し上げた。 大黒に一年を謝し五百円(潤) いつもは、お腹を摩り、頭を摩り、小槌を摩り現世利益をお願いするのであるが、今朝は両手を合わせてただただ無事に一年を過ごせ…

1/2Examining the curious case of a man whose memory was removed (脳の記憶部分摘出ー書評)

By SETH MNOOKIN On Aug. 25, 1953, a Connecticut neurosurgeon named William Beecher Scoville drilled two silver-dollar-size holes into the skull of Henry Molaison, a 27-year-old man with epilepsy so severe he had been prohibited from walkin…

(巻十三)絵筆買ふ贅沢ゆるす梅咲く日(福永耕二)

12月27日火曜日 各官庁からのお達しをホームページでチェックしているが、厚労省から食品関係の公開意見交換会のアナウンスがあったので一消費者として申込みをした。すぐにOK!のメール返信を頂いた。 (輸入食品の安全性確保に関する意見交換会) ht…

「上ずみの酒 立野信之」 中公文庫 “私の酒” から

馬鹿の一つおぼえ ー という言葉がある。わたしは生来愚鈍なせいか、ややその傾向があって、飲屋とか、料理屋とか、宿屋とか、行き出すとその家にばかり行く。だから、わたしの馴染の家は、そう方々にはない。その代り馴染んだ歳月だけは、古くなってしまう…

(巻十三)犬の子の鳴くに目ざめし霜夜かな(森鴎外)

12月26日月曜日 向こう6ヶ月間の通勤手当が支給されたので定期券を購入した。雇用契約が延長されるかはっきりしないが、定期券と社会保険はやはり有難い。 定期券があるので、都内散策も気楽にできるが片道千円の交通費を掛けての散策となれば気の向く…

(巻十三)構へいし時台風の素通りす(三瀬教世)

12月25日日曜日 息子がカッターナイフて指先を切り、細君は救急車を呼びかねないほどの大騒ぎである。息子はバンドエイドとコットンで血止めをして勉強会に出掛けて行った。 目に見えぬ傷より香る林檎かな(堀本祐樹) TBSラジオ土曜日夜の“ウタマル”さ…

(巻十三)取り調べる相手の言葉に嘘があるそう感じつつまずは記録す(松木勝蔵)

12月24日土曜日 このブログは我輩の奥津城の代わりでもあるから時々副葬品を入れている。 今日は細君から結婚前にいただいたクリスマスカードを入れておくことにした。 奥津城や願ひのごとく花下に在り(下村梅子) さて我が家であるが、息子のクリスマス…

3/3Taking salt out of frozen pizza isn't easy, NY Times Int'l (by Cobby Kummer)

The Nestle's R&D is on a subterranean floor of a research center in the hills above Lausanne, Switzerland. It looks more like a sterile medical research lab than a kitchen. But the smells are not medicinal:deep odors of mushroom broth and…

(巻十三)金塊のごとくバタあり冷蔵庫(吉屋信子)

12月23日金曜日 家事手伝いの合間に英字紙の切り抜きから「たんぱく質の適正摂取量」、「英国の自動車産業とEU離脱」についてのコラム記事を読み、「オークションでのベートウベン直筆楽譜真贋論争」を読んでいる。 真贋は知らぬが仏土用干(岩崎美範) …

2/3Taking salt out of frozen pizza isn't easy, NY Times Int'l (by Cobby Kummer)

YOUR TASTE For SALT is not hard-wired from birth. The excessive amount Americans eat today is a result of what Matthias Berninger, vice president of public affairs for Mars, calls an “arms race” between food producers and restaurant chains…

(巻十三)とつぐとき過ぎつつ風邪のタイピスト(山口誓子)

12月22日木曜日 JR成田駅前に宝くじの幟がたなびいていて、明日23日が販売の最終日であると告げていた。 午後、成田空港から格安バスで数寄屋橋まで戻ったがそこの宝くじ売場には長蛇の列が出来ていた。 不知火やコインで擦るまでの夢(谷口智行) 帰…

1/3Taking salt out of frozen pizza isn't easy, NY Times Int'l (by Cobby Kummer)

In June 2010, a small group of frozen-pizza technicians, cooks and marketers met in conference room in Chicago. They had been summoned to report to Paul Bakus, an executive at Nestle. This team had developed DiGiorno pizza for Kraft, and c…

(巻十三)秋の空高きは深き水の色(松根東洋城)

12月21日水曜日 帰宅の途にスーパーに立ち寄り細君の指示により買い物をいたす。 ケータイに操られつつ店内に食品探す初老の男(小野寺健二) 秋口には憐れなほど貧弱であった人参は精彩を取り戻したがジャガイモと玉葱に最近元気がないようだ。ちょっと前…

(巻十三)青梅や昔どこにも子がをりし(甲斐洋子)

12月20日火曜日 今日は午後お休みを戴き故郷柴又を訪れてことにした。 我輩は生まれてから二十二歳までその地にいた。小学生の頃の葛飾にはまだ田圃残っていた。葛飾に強い愛着がある訳ではないが、まあ故郷と言えば故郷になる土地である。 葛飾や残る水…

「独り酒 船山馨」 中公文庫 “私の酒” から

北のほうの寒い国に育った者には、どうも酒飲みが多いようだ。私は札幌の生れだが、酒は父祖伝来である。煙草は律儀に二十歳まで喫わなかったが、酒は十七くらいからたしなんだ。義父が日露戦争従軍記者という古いジャーナリストで自由主義的な人間だったの…

(巻十三)春寒くわが本名へ怒涛の税(加藤しゅうとん)

12月19日月曜日 結局双眼鏡もポケットに押し込んだ。双眼鏡の最初の獲物は駅のホームから捉えた電線に停まる鵯であった。 電線の密にこの空年の暮(田中裕明) ポケットが気になるので、ネットで“ポケット”を詠み込んだ句を探したところ、 ポケットのなか…

(巻十三)良き妻を演じて暮らす毎日に消えて無くなる本当の私(米村恵子)

12月18日日曜日 中公文庫“私の酒”の「独り酒 船山馨」を丁寧に読んでいる。いずれご紹介いたしたい。 12月11日朝日俳壇: 冷まじや湖底の村の私語(ささめごと)(齋藤達也) 梟のもの知り顔に夜は更けぬ(涌羅由美) 昼飯に酒を添へたり冬紅葉(齊藤まさし…

(巻十三)フラメンコ靴踏み鳴らし汗飛ばす(宇田紀代)

12月17日土曜日 土曜日の昼酒が癖になった。昼の酒は酔うために飲んではいない。一合程度を食事酒として味わっている。美味い! きめられた酒を大事に鉦叩(橘棟九郎) 今日も街に出たがいつもの庄屋が満席でちょっと裏道に回って“幸村”という寿司屋に入っ…

(巻十三)物いへば唇寒し秋の風(芭蕉)

12月16日金曜日 昨晩の忘年会で中年組と趣味の話となった。趣味は持つべし、である。 お一人は20年来の玉突き愛好家とのことである。映画などではグラスを傾けながらプレーする場面があるが、集中力が落ちるので酒を飲みながらプレーする人はいないと…

2/2 London, as you never heard, NYT by Alex Marshall (野外録音)

Why do people listen to her records? “Honestly, I don't know,” she said. “It's still very difficult for me to go to a dinner party and say, ‘I compose what's loosely called music from field recordings.’ It's not the average way to make a l…

1/2 London, as you never heard, NYT by Alex Marshall (野外録音)

Field recordists capture quotidian sounds for fun and posterity. On a recent Saturday, Ian Rawes, a part-time deliveryman, spent several hours walking around London with two microphones strapped to his head. He went into a vegetable market…

(巻十三)扇風機うしろ寂しき形して(伊藤広平)

12月15日木曜日 今日は会社の忘年会である。今年は忘年会は二つに減らした。早く帰宅して布団でぬくぬくする方が嬉しく思えるのは歳のせいであろう。 忘年会青い山脈変年会(潤) 今晩の収穫: 鍋を仕切る人を鍋奉行と言い、出来上がるのを待って食べる人…

(巻十三)葛の花踏みしだかれて色あたらし。この山道を行きしひとあり(釈超空)

12月14日水曜日 師走半ばの十四日でござる。最近耳にした言葉にAKR四十七というのがあったが、うまいことをおっしゃる。 忠臣蔵を取り込んだ俳句を数句書き留めているが、 熱燗や討入り下りた者同士(川崎展宏) は好きな句でごさる。 オフィスの入って…

(巻十三)合掌のさま老い母も蜻蛉も(高山瑞恵)

12月13日火曜日 今日は3ヶ月に一度の検診でお休みをいただいた。検診の後北千住の東急ハンズで取り寄せをお願いしてある断熱アルミシートを受け取ることにしていた。北千住まで行くので足を延ばして荷風の「墨東綺譚」の玉の井を歩いてみることにした。…

「永井荷風 墨東綺譚」 30頁 *“ぼく”という変換字なしのため便宜“墨”

わたくしは脚下の暗くなるまで石の上に腰をかけていたが、土手下の窓々にも灯がついて、むさくるしい二階の内がすつかり見下されるやうになつたので、草の間に残つた人の足跡をつたつて土手を降りた。すると意外にも、其處はもう玉の井の盛場を斜めに貫く繁…