2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻九)飛行機の音なき高さ冬日和(小高根千尋)

11月29日日曜日 昨日よりはやや雲がありましたが、よい天気でした。そんな中、希望移住先である亀有のURに細君と下調べに出掛けました。遠出をしない夫婦にとっては行楽でもあります。 独立する気がない息子がいるので、当面は3DKか3LDKを考え…

(巻九)孤独死の窓の汚れの余寒かな(無京水彦)

11月28日土曜日 立読抜盗句歌集は出逢った順番に書き留めている。そしてその順番で今日の句歌としてsubject lineに載せているのでその日の天候気象がうまくマッチすることは少ない。 飛行機の音なき高さ冬日和(小高根千尋) は明日が出番であった。 すっ…

(巻九)釣り銭を貯めて叶えん蟹の旅(鳥花月風)

11月27日金曜日 昨晩の満月もきれいでしたが、今朝の月もよかった。 薄い青空に大きな白い月が浮いて朝の満月の美しさをこの歳ではじめて知りました。 十月の空より薄し朝の月(今瀬剛一) 端居の身には月末の金曜日も影響なく、一日過ごし、帰宅の途につ…

(巻九)耕せば女性(にょしょう)あらわに匂い立つ(高野ムツオ)

11月26日木曜日 冷たい雨が降り、ついにタイツを履いてしまいました。下半身に関してはこれ以上の防寒装備がなくなりました。下半身の危機です。 本日の句: 耕せば女性(にょしょう)あらわに匂い立つ(高野ムツオ) は、とてもインパクトの強い句でクラク…

(巻九)種袋振って明るき音を買ふ(西山睦)

11月25日水曜日 入院中にマイナンバーが通知されていて、追いかけて、マイナンバーの記入欄が印刷されている年末調整の申告書類が配布された。 長寿税有るやも知れず亀鳴ける(伊藤杯紅) 締め上げるための道具ではありますが、総論としては、やもうえない…

(巻九)爽やかや風のことばを波が継ぎ(鷹羽狩行)

11月24日火曜日 昨日、ふらふらと中公文庫の「日本を、信じる」税別460円を買ってしまった。 瀬戸内寂聴さんとドナルド・キーンさんの対談本です。 両氏の句は、一句づつ書き留めてございます。 独りとはかくもすがしき雪こんこん(瀬戸内寂聴) 罪もな…

(巻九)しぐるるやどこか遠くでハーモニカ(小沢昭一)

11月23日月曜日 昨日、退院し、常盤平から新京成電車に乗って松戸に出た。写真は稔台か松戸新田あたりだと思います。 病院は新京成の線路から離れてはいましたが、深夜早朝には電車の音が聞こえました。 長くてもせいぜい六両編成の電車の通過音は、呆気…

(巻九)湯を落とす小さき渦の寒夜かな(村上鞆彦)

11月22日日曜日 村上春樹氏の雑文集はあいさつ・メッセージを一つのグループにして、「早稲田大学坪内ショウヨウ大賞」挨拶など文学賞受賞の挨拶などを読ませてくれています。 各賞の由来や性格を踏まえて面白く挨拶されている。 私は表彰されたことがな…

(巻九)羽ならす蜂あたたかに見なさるる窓をうづめて咲くさうびかな(橘曙覧)

11月21日土曜日 看護師さんから、もっと水を飲んで血尿を薄めるようにとご指導いただている。 売店に降りて、伊藤園のお茶を仕入れるのだが、俳句が同じものばかりで困った。 山笑ふ住めば都のどまん中(石川勇之助ー伊藤園新俳句で好きな句です。) 朝か…

(巻九)春愁のもとをたどれば俳句かな(あらいひとし)

11月20日金曜日 高々4日5日の短期間でも、ゴロゴロと寝てばかりいると、足腰が弱るようだ。 多少の痛みと不快感はあるが、抗がん剤投与の最中の隣人に比べれば、私など病人ではない。 そのような中、申し訳ないが、ゴロゴロして好きなことができる環境…

(巻九)涼風の曲がりくねって来たりけり(一茶)

11月19日木曜日 今朝、点滴の血管針が抜かれました。 尿も赤みが無くなり、量も十分出ていると安心していたら、午後になって血尿に変わってしまった。 退院が伸ばされ、入院患者疲れが現れてきました。 暇潰しは、句集、雑文集、エコノミストコピー、ラ…

(巻九)「資本論」抜けば雪降る書架の裏(今井聖)

11月18日水曜日 大部屋に移りましたが、窓際で明るく、個人の空間も十分で満足しています。 この大部屋の患者さんは、軽症患者ではないようだ。 昼間は家族の見舞いがあり、結構深刻な話もあるようです。 ある意味、予習の場なのかもしれない。 秋霜や踊…

(巻九)ビルは更地に更地はビルに白日傘(山口優夢)

11月17日火曜日 よく寝られました。ようやく醒めたようですが、管が色々なところに挿されていて辛い。 今朝は、看護師さんが熱い蒸タオルで体を拭いてくれました。 鳥わたる病者に熱き蒸タオル(水野すみ子) お願いして、管を体の左側に纏めてもらった。 …

(巻九)新しき日記に先ずは記しておく延命処置はしないでください(大見宣子)

11月16日月曜日 偶然、この歌が今日のサブジェクトラインの歌になった。 手術が終わり、麻酔から覚めてのが午後2時くらいだったと思います。 今は4時で、メールが打てるまでになりました。 血圧121ー80、体温36、9度 太田うさぎさんの ひやひ…

(巻九)物なくて軽き袂や更衣(高浜虚子)

11月16日月曜日 5時前に目覚めたが、同室の同病者(彼も同じ内視鏡手術を私の後に受けるようである。昨日彼の主治医が簡単に手術の内容と期待される結果について説明していた。私の主治医は顔さえ出さない!彼の手術に比べれば、私の石たちは、頑固では…

(巻九)ネット碁に欠けたるものは碁敵の身じろぐ気配石崩す音(佐々木義幸)

11月15日日曜日 落第も二度目は慣れてカレーそば(小沢信男) と言うわけで、入院前に新柏駅前の豚カツ屋でカキフライ定食プラス高清水一合で昼食をいただいた。 風花やライスに添えてカキフライ(遠藤梧逸) 店主から三粒にするか追加で四粒にするか訊かれ…

(巻九)追憶のぜひもなきわれ春の鳥(太宰治)

11月14日土曜日 盆やすみ油彩の巴里にあそびけり(大島民郎) パリが大変なことになっていますね。 雨の土曜日、明日からの準備で一日を過ごしました。 入院関係の書類記入、洗面具ほか、ICラジオレコーダーへの落とし込み、読み物の支度、をいたした。 …

(巻九)古郷を磁石に探る霞かな(平賀源内)

11月13日金曜日 今朝は先頭車両の運転席後ろに立って30分の旅を楽しんだ。 かつての雰囲気を留めているのは三河島駅くらいで、あのみすぼらしかった南千住駅はTXの開業に合わせた改装で全く別の駅になってしまった。 上野駅に向かう隅田川橋梁の手前…

(巻九)集団で餓死すと聞けば憎らしきカラスもあわれ生のかなしさ(斎藤哲哉)

11月12日木曜日 いよいよ、入院が近づいてきた。 もしものことを思い、 何かやっておきたいことや、食べておきたいものを考えてみた。 ないのですよ。 行年に見残す夢もなかりけり(永井荷風) 未練を残して死にたくはないので心の死支度と思ったが、そも…

(巻九)一病は浮世の習い山笑ふ(的場秀恭)

11月11日水曜日 季節の変わり目で、鼻風邪を引いたようだ。 鼻風邪本格的に本格化(塩見恵介) とならないうちに回復しなくては。 防寒具としてのネクタイを侮ったところが失敗であった。 襟元を固めて通勤しょう。 ネクタイをする日しない日いてふ散る(草…

(巻九)今日の月長い芒を活けにけり(阿波野青畝)

11月10日火曜日 車内ビデオニュースが京都南座の顔見世興行の準備を報じていた。 江戸時代の役者の格付けと給金の更改は10月だったそうで、新たな出演陣の紹介が師走になった と聞いております。 顔見世の楽屋入りまで清水に(中村吉右衛門) プロ野球の…

(巻九)雨音に街音交じる朝寝かな(星野高士)

11月9日月曜日 昨晩8時からのNHK第二放送はネアンデルタール人シリーズの第二回でした。 ホモサピエンスの直近の旧人で関心も集めたが、曲解もされてきたとのことです。 他の旧人に比べて骨化石の出土が多いのは、埋葬が行われていたためではないか、…

(巻九)二人からふたりに戻り新茶汲む(松尾肇子)

11月8日日曜日 弱雨のところ、葛飾区亀有にあるURの団地を見に行った。 すぐに移れるわけではないが、老人向けの団地に移住することの検討は続く。 「わが子には世話にならない生き方」を売る人がいて買う人がいる(中川陽子) 亀有は中学生のころ時々通…

(巻九)畳屋の肘が働く秋日和(草間時彦)

11月7日土曜日 本日の句が草間時彦氏に最初に出合った句でございます。 以来、草間氏の句を書き留めて読み返しております。 昼飯に簡単なチャーハンを作りました。 具は、ピーマン、玉ねぎ、卵、ホシエビだけです。香味にカレーパウダーを使います。 写真…

(巻九)立春の米こぼれをり葛西橋(石田波郷)

11月6日金曜日 モーターショウが開かれている東京ビッグサイトの辺りを歩いた。 自動車への関心は衰えず、ということで大変盛況の様子でした。 自動車の句は在庫にございませんので、自転車でご勘弁ください。 自転車に戻れば篭の落葉かな(西やすのり) 自…

(巻九)薫風の語感うべなふ総身に(窪田佳津子)

11月5日木曜日 書き貯めた句や歌を読み返してみると誤りがごさいます。 誤字ふたつ脱字ひとつや秋暑し(及川永心) ガラケーで蓄積しているので、変換できない漢字は止もう得ないかと思っておりますが、 御名前については申し訳なく存じております。 言い訳…

(巻九)やがて死ぬけしきはみえず蝉の声(芭蕉)

11月4日水曜日 渋柿の滅法生りし愚かさよ(松本たかし) TBSラジオと文化放送がスカイツリーからのFM試験放送を始めた。 本日は晴天なり。 ところで、 先週金曜日のFM放送で、図書館のあるべき姿について学者さんと、図書館運営会社会長さんが小島タ…

(巻九)水やりも尼の祈りや寒椿(篠崎明美)

11月3日火曜日 新柏駅前のスーパーまで朝の買い出しデートをいたしました。 細君が、ハナミズキの赤い実を教えてくれる。 渋柿がたわわに実っているが、葉を落とした一木も渇れた美しさがある。 駅前通りの桜に僅かに残った紅色の葉もよろしい。 春から初…

(巻九)楽屋出て花散る街の人となり(坂東三津五郎)

11月2日月曜日 浜松町駅の小便小僧の衣装が火消し装束に変わり、火の用心の幟が立った。 夜回りを労ふ狐のかくし酒(佐怒賀正美) 通勤のお召し物も防寒スタイルになってきたようだ。 着膨れとまではいかないが、電車が狭くなったように感じる。 重ね着の中…

(巻八)立読抜盗句歌集

生まれたる日本橋の雨月かな(長谷川かな女) すらすらと無理言ふ妻や冬日和(浜岡健次) 返事まだ書く気にならずシクラメン(馬場公江) しているのにしていないふりをしていてはしていることをしかと語れず(佐竹游) 水温む鯨が海を選んだ日(土肥あき子) 書き込め…