2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻十)鷄頭の十四五本もありぬべし(正岡子規)

1月30日土曜日 今日から巻十に入りました。およそ九十句歌で一巻きですので、花の時季を過ぎてゴールデンウィークころまでがこの巻になります。 木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くあるかな(前田夕暮) 句や歌は出逢った順に書き留めたので季…

(巻九)立読抜盗句歌集

楽屋出て花散る街の人となり(坂東三津五郎) 水やりも尼の祈りや寒椿(篠崎明美) やがて死ぬけしきはみえず蝉の声(芭蕉) 薫風の語感うべなふ総身に(窪田佳津子) 立春の米こぼれをり葛西橋(石田波郷) 畳屋の肘が働く秋日和(草間時彦) 二人からふたりに戻り新茶…

(巻九)“オフサイド”を教えてもらう多分また忘れて多分また君に聞く(一戸亜すみ)

1月29日金曜日 若い方々の恋歌はいいですね。思い起こせば細君との二回目のデートは正月2日の国立競技場でした。 世事に通じた義妹のアドバイスを受けておむすび六個と卵焼き他を納めた小箱を用意してくれたことが今ではとても信じられません。おむすび…

(巻九)死ぬほどのことでもないか月見草(鳴戸奈菜)

1月28日木曜日 野望や野心はないのですから、これから先、死ぬような目には遭いたくないものです。 野望はありませんが、ちゃんとした文章が書けるようになりたいという希望は持っており、文豪の“文章読本”で勉強しています。 不遜なる大志なつかし鰯雲(…

(巻九)物の音ひとりたふるる案山子かな(野沢凡兆)

1月27日水曜日 新年会がパレスポテルで催され、東京駅から銀行協会の前を通って会場に向かいました。 駅前には“信じましょう、救われます”と体に巻き付けた小型スピーカーを使って伝道している方々がいました。 信心の薄きが巡る堂の闇(服部修一) 人の流…

(巻九)水や空あかり持あう夜の秋(北元居士)

1月26日火曜日 今日の句は向島百花園内に立札で掲示されていた江戸時代の旦那集の句の一つです。 百花園は町人の庭園ですので大名庭園である六義園や清澄庭園に比べれば小ぶりで地味です。 片時雨今戸渡れば向島(武蔵雷山) 寒さも今日が底とのお話ですが…

(巻九)水着とはどこかが足りぬやうに着る(後藤立夫)

1月25日月曜日 寒い一日なのに季節感が全く逆の句に当たりました。生の水着姿をもう何年も見ていません。 つい先日紹介したばかりの歌ですが、 海恋し二十一年見ていない泳いでいない釣りしていない(郷隼人) 上野駅構内の本屋に立ち寄り本日発売の角川俳…

(巻九)初暦妻めとる日も見当たらず(高浜虚子)

1月24日日曜日 大寒波ということですが、幸いこの町には雪が積もらないようです。全国的に見ても関東平野南部だけが雪を逃れている。 朝日俳壇の一句を手本として書き留めました。 風花の古疵に触れ消えにけり(大野ユウノスケ) 日曜日夜のNHK文化講演…

(巻九)頭たれ耐えてをりしが椿落つ(モーレンカンプふゆこ)

1月23日土曜日 これはもう物語ですね。 中公新書「百人一句」高橋睦郎著を読んでいます。奥付けが2008年版となっていますので、俳句への興味はそのころ起こったようです。 百句百人の紹介はそれとして、巻末の対談「希望としての俳句ー高橋睦郎・仁平…

(巻九)海恋し潮の遠鳴りかぞへては少女となりし父母の家(与謝野晶子)

1月22日金曜日 今日の歌は細君に教えてもらいました。 朝日歌壇に 海恋し二十一年見ていない泳いでいない釣りしていない(郷隼人) が選されていて、声にして書き留めておりましたら、細君から本歌取りではないのか?とコメントがあり、晶子のこの歌を教え…

(巻九)鶯のかたちに残るあおきな粉(柳家小三治)

1月21日木曜日 湿りがちの句歌の続いたあと、ちょっとホッとする句が出てきました。 巡り会った句歌をただ書き留めているとは言いながらも、その日そのときの心境が選ばせるていることはまちがえないでしょう。 鶯餅が鶯の形をしているわけではないと思い…

(巻九)数の子を噛みつつ不帰を想ひをり(友岡子郷)

1月20日水曜日 数の子は久しぶりに正月の家族ランチでいただいた。少しだけ添えてあったので、一層旨く歯触りを楽しんだ。 年寄りは正月を一里塚とどうしても捉えてしまうなあ。 死ぬときは箸置くやうに草の花(小川軽舟) という句があるが、告知を受けれ…

(巻九)心よりはるかにはやき身の老いに追ひつけぬままひとつ歳とる(野口由梨)

1月19日火曜日 歌人は身の衰えを嘆いていますが、心の方はまだまだということでしょうか?そうであれば羨ましい限りです。老け込むというのは、体よりの衰えより生きる姿勢でしょう。 それに歌人のお名前から勝手に推測すれば、まだお若いのではないな。…

(巻九)酒止めようかどの本能と遊ぼうか(金子兜太)

1月18日月曜日 雨音に枕安堵す寒の朝(潤) 朝の雪掻きを覚悟して床についたが、未明の激しい雨音にほっとした。 柏一帯は雨であったが、常磐線が江戸川橋梁を渡った辺り、都内に入ってから雪景色になった。 上野駅7時半ころの写真です。 雨でよかったと思…

(巻九)宜候(ようそろ)とボート進めん遅桜(斎藤幽谷)

1月17日日曜日 センター試験の両日は無事に過ぎたが、夜半から明日にかけて雪が降るとの予報である。 角と角ぶつかつてをり受験絵馬(中村正幸) 場合によっては冬籠りを余儀なくされるので、今朝の細君との買い物散歩ではあれこれと蓄えを買い込んだ。その…

(巻九)甲斐なしや後ろ見らるる負相撲(加舎白雄)

1月16日土曜日 水木しげる氏の「極楽に行く人地獄に行く人」(光文社ー文庫、税別840円)の一読目が終わりました。 少年老いたり妖怪をなほ友として(坂戸淳夫) この本の正しい読み方ではないのでしょうが、仏教用語の易しい解説書のように読んでしまいま…

(巻九)朧夜やたれをあるじの墨陀川(其角堂永機)

1月15日金曜日 浜松町駅の小便小僧は正月の装束に衣替えしている。今年は申年ということで猿回しに扮し、猿の縫いぐるみが添えてある。 人に似てかなしき猿を回しけり(西島麦南) さて、そんな今宵、一年に一度の、いわゆる同期生の新年会に参加いたしまし…

(巻九)城持つがゆえに貧しさ虫時雨(成瀬正俊)

1月14日木曜日 明け方、足がつり一日中左足ふくらはぎに軽い痛みが残った。 鳥葬図見た夜の床の腓返り(伊丹三樹彦) 今日のことではないが、東京モノレールで、また席を譲っていただいた。 沖縄からこちらへお越しになった小学生の団体と一緒になったので…

(巻九)置く場所のなき朝顔を貰ひけり(小野あらた)

1月13日水曜日 「責任と鞄は持たない!」をモットーとしており、手軽・身軽が一番としております。一月に入っても、電車の中でバサバサするのが嫌でコートを我慢していましたが、本格的に寒くなり、やむを得ずコート、襟巻き、手袋を着用いたしました。 …

(巻九)四十年住みて初めてわが庭に雉子の飛来す光の如し(山内仁子)

1月12日火曜日 「茶の本」を捲り終えました。 夕月夜(ゆうづくよ)海すこしある木の間かな(茶話指月集) と 花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや(藤原家隆) が「茶の本」にはごさいました。 句集第一集の残りスペースも、1頁半十五句分ほど…

(巻九)When we are born, we cry that we are come to this great stage of fools(シェークスピア:リア王

1月11日月曜日 「茶の本」は難しく遅々として進まずです。 春遅々と先の詰まりし醤油差し(田中悦子) そうか! と納得した箇所は僅かですが、39頁から40頁の以下の書き抜き部分は少しは判ったつもりになっています。「私の嫌いな10の人びと」で中島…

(巻九)この顔が死後の顔かと思いつつ手術の朝の髭を剃りおり(小倉太郎)

1月10日日曜日 しっかりとした朝日が、向かいのマンションの屋根を越えて、我が家の一階の台所兼食堂兼居間兼書斎に入ってきたのは7時52分でした。 戸を引けばすなはち待ちしもののごとすべり入り来ぬ光といふは(宮柊二) 台所として朝食を用意し、用意…

(巻九)ぴつたりしめた穴だらけの障子である(尾崎放哉)

1月9日土曜日 昨日、成田からの帰路、車窓から夕日を拝みました。夕日というものは見る人の歳によってその美しさへの感慨が異なるものでしょう。 ひと駅で桃黒となり冬夕焼け(潤) マニラ湾に沈む夕日を見てはらと涙を落としたご婦人を知っております。あま…

(巻九)北窓を開きて船の旅恋ふる(西川知世)

1月8日金曜日 六十代半ばの夫婦の1日の平均的会話時間がどのくらいか存じませんが、わが家では、細君がよく囀ずりますので、一方通行の会話は相当ございます。ラジオなどで使われる“放送事故”という用語は細君の辞書にはありません。 帰宅し着替えする間…

(巻九)一昔まへにすたれし流行唄(はやりうた)くちにうかべぬ酒のごとくに(若山牧水)

1月7日木曜日 今朝はご町内のごみ当番で6時前にカラス封じの網とシートを決められた場所に開きました。 年末年始の溜まったゴミは月曜日と水曜日に出されたと思いますが、ゴミが多いと網からはみ出し、カラスを喜ばせることになります。 初雁にわが家月番…

(巻九)草餅の堂々として田舎ぶり(上村敏夫)

1月6日水曜日 電通大の哲学の元教授である中島義道氏の「私の嫌いな10の人びと」ー新潮文庫(税別430円)ーを年末年始用に仕入れ、一読を了えた。 題名と価格に釣られて買ってみたが、途中でゴミ箱に投げ込みたくなるほどの駄本ではない。 電通大・哲学…

(巻九)薔薇守の証の腰の鋏かな(高田正子)

1月5日火曜日 正月休みの早寝早起きが尾を引いて、9時半には寝付いてしまった。 つまらない夢を見るが、悪い夢は見ていないので快眠と言える。 ではあるが、4時に目覚めてしまうという老人パターンに嵌まってしまった。そして、この早起きが昼食後に響い…

(巻九)降る雪や厠が近くなりにけり(仁平勝)

1月4日月曜日 仕事初めの朝が好天温暖というのは誠にありがたい。6時48分発の上り列車は未だ混雑しておらず、座席も空いていた。 有楽町駅の大黒様に初詣りした。一礼後、百円プラスを献納し、先ず胸と腹を撫でて健康をお願いした。次いで、唇を撫でて…

(巻九)三年間ついぞなつかぬ猫のいた彼女の部屋を見あげて過ぎる(渡辺たかき)

1月3日日曜日 施設でお世話いただいている義母を見舞った。体の一部が不自由になってしまったが、98歳になっても頭の回転は衰えていない。話がしっかりと噛み合うので、お見舞いに行く甲斐がある。 見舞いあと、柏を歩いた。人出は多いが正月らしさはあ…

(巻九)枝豆や積る話の莢の嵩(井上徳一郎)

1月2日土曜日 初夢は前の会社と今の会社との混ざった仕事の夢で、夢のない初夢であった。 年末年始は就寝が早く、寝酒を一合やって9時には布団に入ってぬくぬくしている。寝床ではラジオを楽しんでいる。ほとんどが生放送で、看板パーソナリティーがお休…