2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本でも早く安楽死法を通してもらうしかない - 筒井康隆」新潮社 不良老人の文学論 から

認知症になって家族に迷惑をかけて長く生きるよりは早く死んだ方がいいと望む人は多い筈だ。そして同じ死ぬなら苦痛のない方法でとも望むだろう。そんなことを考える人は当然まだ認知症になっていない。頭のはっきりしている老人が安楽死を求めてもその家族…

(巻二十六)秋鯖を心祝ひのありて買ふ(宮下翠舟)

(巻二十六)秋鯖を心祝ひのありて買ふ(宮下翠舟) 8月30日日曜日 暑いがハイスクール・コースを歩いた。今日はサッカー部が練習していた。 汗の香の違ふテニス部ラグビー部(木暮陶句郎) という句を真似れば、 灼けかたの違ふ野球部蹴球部(駄楽) となる。 坊…

「くりやのくりごと (あとがきに代えて) - 林望」小学館 リンボウ先生家事を論ず から

くりやは、いやもっと当たり前にいおう、台所ってものは、どうしたって矛盾した存在だ。そもそも料理というものは、沢山の素材や調味料や調理道具を必要とする。それが、たとえば、和食の割烹の厨房だったら、和式の調理道具と調味料があれば事足りるだろう…

(巻二十六)南無々々と他力本願生身魂(谷下一玄)

(巻二十六)南無々々と他力本願生身魂(谷下一玄) 8月29日土曜日 洗濯屋さんから毛布を引き取りカバーに入れた。汗をかく仕事でした。 多分、何をしても汗をかく仕事になってしまうでしょう。 同じ汗かきてほぐるれ初対面(白根純子) なんていい句があります…

「洋式と和式 - 半村良」面白半分随舌選 から

「洋式と和式 - 半村良」面白半分随舌選 から私の母親は、はやくにやもめになってしまいましたものですから、伜の私を亭主がわりのように扱うんです。母親は和服の仕立てなんかしていましたから、その関係でよく呉服屋が出入りしていまして、たのまれた着物…

(巻二十六)不可解な夢にこだわり葱刻む(奈良岡晶子)

(巻二十六)不可解な夢にこだわり葱刻む(奈良岡晶子) 8月28日金曜日 ボケてきたのか、ここのところ夢で目覚めたり、起きてからも覚えているような夢は見ずに済んでいる。 熱中も夢中のときも過ぎて秋(鷹羽狩行) 穏やかな睡眠は何よりありがたい。 夕方、散…

「荷風の天気図 - 泉麻人」文春文庫 07年版ベスト・エッセイ集 から

「荷風の天気図 - 泉麻人」文春文庫 07年版ベスト・エッセイ集 から 去年の秋に「気象予報士」の資格を取得した。自慢するわけではないが、合格率五パーセント足らずの難しい試験を突破したのである。もともと子どもの頃から天気予報が好きで、「お天気マ…

(巻二十六)踏切のなくなる工事立葵(竹内宗一郎)

(巻二十六)踏切のなくなる工事立葵(竹内宗一郎) 8月27日木曜日 午前中に郵便局へ出かけた。見上げれば雲がわき上がり、やや不気味である。 悪知恵の膨みに似て雲の峰(能村研三) 夕方は床屋に出かけた。待つことなく着席。おばさんは暇だったせいか少なく…

「職人仕事 - 花森安治」岩波書店 エッセイの贈りもの から

「職人仕事 - 花森安治」岩波書店 エッセイの贈りもの から職人仕事というと、なにか一段ひくいもののようにケイベツする風があるのは、たぶん古いサムライのしつけなり考え方なりが、やはりぼくらのどこかに影をひいて、それがこんなところにも、ひょっこ…

(巻二十六)扇風機さみしい道具かも知れぬ(小谷正和)

(巻二十六)扇風機さみしい道具かも知れぬ(小谷正和) 8月26日水曜日 扇置く自力にかぎりありにけり(上田五千石) ということで扇風機はよく使うがエアコンにはまだ贅沢品という感覚が残っている。 駅前のクリニック・薬局まで歩く。帰りはバスにした。 駅前…

(巻二十六)凩や我が青春の赤電話(大木あまり)

(巻二十六) 凩や我が青春の赤電話(大木あまり) 8月25日火曜日 細君が金策にお出掛けになり、座椅子でゴロゴロという静かな午前を過ごした。 午後も座椅子で昼寝という誠に自堕落な一日を過ごし、夕方図書館に本日発売の『角川俳句』を閲覧に出かけた。 本…

「団塊くそ食らえ - 石原彰二」08年版ベスト・エッセイ集 から

「団塊くそ食らえ - 石原彰二」08年版ベスト・エッセイ集 から私は団塊の世代だ。一九四七年つまり昭和二十二年生まれの亥年で、今年のうちに六十歳になる。この「団塊の世代」という呼び名は、三十年前に堺屋太一さんによって書かれた近未来を予測する小…

「残酷な間引き(抜書) - 山崎ナオコーラ」筑摩書房 太陽がもったいない から

「残酷な間引き(抜書) - 山崎ナオコーラ」筑摩書房 太陽がもったいない から弱肉強食という言葉があるが、この世はまさにそのようにして成り立っている。個人の幸せではなく、世界全体の幸せを求めようとするとき、個人の行動は変わっていく。宮沢賢治の…

(巻二十六)らあめんのひとひらの肉冬しんしん(石塚友ニ)

(巻二十六)らあめんのひとひらの肉冬しんしん(石塚友ニ) 8月24日月曜日 散歩: ハイスクール・コースを歩いた。お勉強が始まったのかな?グラウンドが静かだ。 本日は三千三百歩で階段二回でした。 読書: 『高瀬舟』を読んでいて「疑懼[ぎく]」と云う…

「「三」の効用 - 吉田篤弘」ベスト・エッセイ2017 から

「「三」の効用 - 吉田篤弘」ベスト・エッセイ2017 から このところ、天候が不順である。曇り空を見る機会が多い。つい先日も、散歩の途中でみるみる空模様が怪しくなってきて、空一面が雲で覆われた。これがあたかも水墨画を見るような雲で、思わずス…

(巻二十六)風呂敷に決め手の証拠春の風(大澤鷹雪)

(巻二十六)風呂敷に決め手の証拠春の風(大澤鷹雪) 8月23日日曜日 階段の下まで降りてはみたが、そこで降りだした。散歩せず。 カーテンの洗濯が終った。「折角きれいにしたカーテンが網戸に触れて汚れるから、網戸をきれいにしましょうね」と言い聞かされ…

2/2「天狗 - 太宰治」道化の精神 から

2/2「天狗 - 太宰治」道化の精神 から芭蕉が続けて、此筋は銀も見知らず不自由さよ少し濁っている。ごまかしている。私はこの句を、農夫の愚痴の呟きと解している。普通は、この句を、「田舎の人たちは銀も見知らずさぞ不自由な暮しであろう」という工合い…

(巻二十六)特老で死ぬるも風情梅ましろ(岩下四十雀)

(巻二十六)特老で死ぬるも風情梅ましろ(岩下四十雀) 8月22日土曜日 散歩: 図書館へ返却と貸出に参る。 図書館から生協と回るコースにした。 生協には愛着のある千葉県産ふさおとめの新米が出ておりましたが、五キロ袋なのでパスいたした。二キロ袋はない…

1/2「天狗 - 太宰治」道化の精神 から

1/2「天狗 - 太宰治」道化の精神 から暑い時に、ふいと思い出すのは猿簑の中にある「夏の月」である。市中は物のにほひや夏の月 凡兆いい句である。感覚の表現が正確である。私は漁師まちを思い出す。人によっては、神田神保町あたりを思い浮べたり、あるい…

(巻二十六)一枚の葉になりたくて銀杏散る(沼尾紫朗)

(巻二十六)一枚の葉になりたくて銀杏散る(沼尾紫朗) 8月21日金曜日 散歩: 今日もハイスクール・コースを歩きました。両校とも部活だけでお勉強は夏休みのようです。 買い物は使用頻度が上がっているミズカンの『いろいろ使えるカンタン酢』でした。色々…

「秋の終わりの銀座の空 - 石田衣良」文春文庫 04年版ベスト・エッセイ集 から

「秋の終わりの銀座の空 - 石田衣良」文春文庫 04年版ベスト・エッセイ集 から ぼくは東京下町(といっても正確には川むこう)の生まれなので、ちいさなころから繁華街といえば銀座だった。服を買うなら、銀座のデパート。ちょっと澄ました食事なら、銀座の…

(巻二十六)おぼろにて丸し佳人の言葉尻(永井潮)

(巻二十六)おぼろにて丸し佳人の言葉尻(永井潮) 8月20日木曜日 散歩: コンビニ、ドラッグストア、生協と回る買い物コースでした。 花火大会も盆踊りもない夏が過ぎて行きますが、コンビニで手花火のセットを売っていた。 手花火に妹がかいなの照らさるる…

「生命倫理学への違和感(一部抜き書き) - 中島義道」人生、しょせん気晴らし から

(一) 生命倫理学は「死」をめぐって活発な議論を展開するが、「〈死ぬ〉とはいかなることか」という問いには立ち入らない。「尊厳死」や「安楽死」や「ターミナルケア」あるいは「脳死は人の死か」という問題など、生命倫理学は「死」を中核的なテーマにして…

(巻二十六)萩繚乱そろそろ夜叉になるつもり(伊達甲女)

(巻二十六)萩繚乱そろそろ夜叉になるつもり(伊達甲女) 8月19日水曜日 ハイスクール・コースを歩き、本日は三千三百歩で階段二回でした。 ラジオを聞いていたらカマヤツさんの「我がよき友よ」が掛かったので急ぎ拾い、イズミヤさんの「春夏秋冬」の前に並…

「交渉 - 浅生鴨」ベスト・エッセイ2015 から

「交渉 - 浅生鴨」ベスト・エッセイ2015 から祖母が亡くなったのは、もうずいぶんと昔のことだ。東京から交通機関を乗り継いで、およそ五時間。久しぶりに帰った実家の居間には、小さな木造りの祭壇が置かれ、白い花がいっぱいに飾られていた。シンプル…

(巻二十六)まぶた重き仏を見たり深き春(細見綾子)

(巻二十六)まぶた重き仏を見たり深き春(細見綾子) 8月18日火曜日 昨日より二度、三度気温が下がってくれた。ありがたい。 散歩: コンビニでシルバーパスの料金を納め、図書館で返却と貸出をした。 定刻にバス来てたたむ白日傘(栗城静子) 本日は二千九百…

「(どうせ死んでしまうのになぜいま死んではいけないのか-中島義道) の解説 - 中村うさぎ」角川文庫

「(どうせ死んでしまうのになぜいま死んではいけないのか-中島義道) の解説 - 中村うさぎ」角川文庫 二ヶ月ほど前に、顔見知りの男が自殺した。彼とは飲み屋でしょっちゅう遭遇し、共通の友人も大勢いて、お互いに顔を見知っていたのだが、私が彼を毛嫌い…

(巻二十六)空つ風イランの人と石運ぶ(辻男行)

(巻二十六)空つ風イランの人と石運ぶ(辻男行) 8月17日月曜日 散歩: 野球部練習中。女子部員がノッカーにボールを手渡していた。硬式の打球音はよろしいですなあ。 教員かOBか分からないがノッカーと間違いなく生徒である野手とのコミュニケーションがこ…

「齢をとるほどに桜に近づく - 赤瀬川原平」文春文庫 04年版ベスト・エッセイ集 から

「齢をとるほどに桜に近づく - 赤瀬川原平」文春文庫 04年版ベスト・エッセイ集 から 季節がめぐって花を見る楽しみというのは、梅、菊、菖蒲、牡丹などいろいろあるが、桜はやはり別格である。ふつうお花見といえば、その花は桜のことをいうわけで、その…

(巻二十六)高齢を理由にガマ(漢字)の後退る(中原道夫)

(巻二十六)高齢を理由にガマ(漢字)の後退る(中原道夫) 8月16日日曜日 酷暑がジワジワと体に効いてくる。 熱帯夜くすりのやうに水を飲む(川村研治) そう云えば『熱帯夜』というシリーズがあった。汗まみれの格闘でやたらと生活感のある作品が多かった。 の…