2021-01-01から1年間の記事一覧

(巻三十一)鳴くまでの手順を踏みて法師蝉(高澤良一)

(巻三十一)鳴くまでの手順を踏みて法師蝉(高澤良一) 12月31日金曜日 牛肉、刺し身、金柑を買いに駅下のBeansに出かけた。10時半くらいのマーケットはごった返していてレジへの誘導員が出ていた。肉屋ではすき焼き用の肉を300グラム強買ったが声を張…

「死ぬべき存在としての自分の可能性 - 小浜逸郎」癒しとしての死の哲学 から

「死ぬべき存在としての自分の可能性 - 小浜逸郎」癒しとしての死の哲学 からたしかに、人は、無限定の「いつか」を想像力で設定することができる。この宇宙を「いつか」俺が征服してやると企てることや、一万年後の再会を約束することなどは、ことばの上で…

(巻三十一)身の丈のカーテンを引く世紀末(摂津幸彦)

(巻三十一)身の丈のカーテンを引く世紀末(摂津幸彦) 12月30日木曜日 鶏肉もも、鶏肉むね、鶏肉雑煮用などを買いに生協へ参る。花屋さんの前には正月用の花が満開である。 戻るとおせちを作っている細君が味見をいたせというので先ずは田作りを頂く。普通…

句集

令和三年一年の計の結果のただ寒し小吏なるロバにも御用納めかなタンカシラ独り勝手にクリスマス金給わり銭を遣いて年詰まる点滴を逆流させて神の留守秋の暮時が許さぬ小商いだんだんと暗く成り行く敬老日台風や土手を信じて水の底自己嫌悪影もつくらず木下…

(巻三十一)どちらかと言へば猫派の日向ぼこ(和田順子)

(巻三十一)どちらかと言へば猫派の日向ぼこ(和田順子) 12月29日水曜日 掃除と洗濯をした。昨日、一昨日とdictationをサボったので今日の午前は身を入れて聞き取りに励み、 BBC World Service - CrowdScience, What’s the best way to breathe? の肝腎な…

(巻三十一)晴耕雨読の鎌の錆びつく半夏雨(井上あい)

(巻三十一)晴耕雨読の鎌の錆びつく半夏雨(井上あい) 12月28日火曜日 細君は年用意の品を買いに生協に出かけ、戻って一言三言。「蒲鉾なんかもCO・OPブランドばかりになって味気がない。」「金柑がもう入らないらしい。」「栗きんとんは作らないことにし…

(巻三十一)花の咲く木はいそがしき二月かな(各務支考)

(巻三十一)花の咲く木はいそがしき二月かな(各務支考) 12月27日月曜日 細君に依れば当地は45年ぶりに12月中の氷点下を記録したとのこと。45年前と聞くとすぐにあの頃は云々となる。20代の後半に入らんとする頃か。 床屋へ行く。10時開店に合わ…

(巻三十一)年立つて耳順ぞ何に殉ずべき(佐藤鬼房)

(巻三十一)年立つて耳順ぞ何に殉ずべき(佐藤鬼房) 12月26日日曜日 過日食品流通業界の方とお話したとき、業界の景気の好さをうかがったが、スーパーもウハウハなのであろう。広告も多いが来年は元日、二日のお休みは当たり前で、三賀日を丸々休むスーパ…

(巻三十一)夏の月あらしのあとの余り風(藤田あけ烏)

(巻三十一)夏の月あらしのあとの余り風(藤田あけ烏) 12月25日土曜日 掃除と洗濯。昨晩の残りの鶏とチャウダーで昼食。 細君に昔はモテたんだろうね、と振ってみたら午前中ず~とその話になった。土産物を置いていった奴、会社の出口で待っていた奴、など…

「「濹東綺譚」と「寺島町奇譚」 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(下) から

「「濹東綺譚」と「寺島町奇譚」 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(下) から荷風が玉の井に足繁く通い「濹東綺譚」を書いた昭和十一年ころ、その玉の井の町で生まれ、路地を遊び場所にしていた子供がいた。漫画家の滝田ゆうである。昭和七年に寺島町に…

(巻三十一)余りにも一所懸命みずずまし(橋本栄治)

(巻三十一)余りにも一所懸命みずずまし(橋本栄治) 12月24日金曜日 コールスローサラダとサーモンチャウダーと鶏を焼いたものが我が家のクリスマス・イブ・ディナーの定番で、午前中にサラダとチャウダーを手伝った。チャウダーなどのレシピは三人前で残…

「斎藤茂吉(にじみ出てくる可笑しみ) - 高島俊男」文春新書座右の名文から

「斎藤茂吉(にじみ出てくる可笑しみ) - 高島俊男」文春新書座右の名文からもし、日本の文学者のなかでだれが一番すきか、と問われたら、ウームとしばし考えて「斎藤茂吉」とこたえるでしょうね、多分。茂吉のなにがすきなのか、といえば、その人物がすきな…

(巻三十一)己が傷を舐めて終りぬ猫の恋(清水基吉)

(巻三十一)己が傷を舐めて終りぬ猫の恋(清水基吉) 12月23日木曜日 昨晩は寝酒にショッツを3杯もやったせいか、朝方喉か渇いて目が覚めた。1杯かせめて2杯にしておこう。 細君がまた急須を割った。買い物から帰って、何やかやと冷蔵庫にしまっていてま…

(巻三十一)箱根こす人も有るらし今朝の雪(芭蕉)

(巻三十一)箱根こす人も有るらし今朝の雪(芭蕉) 12月22日水曜日 台所の蛍光灯が明滅しはじめて蛍光管と点灯管を取り換えた。身長が縮んだせいか、天井になかなか手が届かず苛々する。 気がつけば妻も縮んだ寒厨(米澤たもつ) 交換用の点灯管を生協に買い…

(巻三十一)旅にして戎祭と知る人出(高柳和弘)

(巻三十一)旅にして戎祭と知る人出(高柳和弘) 12月21日火曜日 午前中は細君が裾直しを頼んだスラックスを受け取りに外出したので静寂のなかで過ごせた。帰ってくればうるさくなる。スラックスに合わせてセーターを買ったとかで試着して見せにきた。「何…

(巻三十一)チューリップ花びら外れかけてをり(波多野爽波)

(巻三十一)チューリップ花びら外れかけてをり(波多野爽波) 12月20日月曜日 2時に高輪で約束があり、早めに家を出た。先ずはJR有楽町駅構内の大黒さまに詣でて今年の一病息災を謝すことにする。経路は色々あるが千代田線直通で日比谷駅まで行き、JR有楽…

(巻三十一)鳥渡る歪む三角たてなほし(蓬田紀枝子)

(巻三十一)鳥渡る歪む三角たてなほし(蓬田紀枝子) 12月19日日曜日 晴天無風の朝である。新聞紙、文庫本、空缶、ペット瓶などを廃品集積場所に持って行く。すでにかなりの本が持ち込まれている。タイトルから推し測るに専ら90年代の“How To” 本らしい。…

(巻三十一)梅雨寒や外に追はれて煙草吸ふ(加藤昌親)

(巻三十一)梅雨寒や外に追はれて煙草吸ふ(加藤昌親) 12月18日土曜日 冷え込みが厳しくなってきた。4時ころに一度目が覚めてトイレに行ったのだが、急いで済ませて寝床が冷めてしまう前にさっさと蒲団の中に戻った。7時半に起きて血圧を測るが今朝はオ…

「市中隠栖(抜書) - 上林暁」

「市中隠栖(抜書) - 上林暁」堀氏の娘達は、二人とも帰りの遅くなることが多い。夕食の支度に間に合はないことが度々ある。待つてゐても早く帰つて来ない晩は、氏は自分で魚屋に出かけて、娘達の分も買つて来る。魚屋では魚を冷蔵庫にしまひかけるころであ…

(巻三十一)メール閉じ一日終る秋深し(吉住外茂夫)

(巻三十一)メール閉じ一日終る秋深し(吉住外茂夫) 12月17日金曜日 昨日買った年賀葉書に宛名を書いた。添え書きは暗くなってからゆっくりと書くことにしよう。 年賀状というのは、どうも、懐旧で宜しくない。 洗濯を致す。また部屋干しだ。 今日は外出せ…

「大病人 - 伊丹十三」日本世間噺大系新潮文庫から

「大病人 - 伊丹十三」日本世間噺大系新潮文庫から 風邪をひいてしまった。客のだれかがビールスを持ってきたものとみえる。伜[せがれ]の万作(一歳)がまずやられ、一と足遅れて自分ということになった。夜中に独り書斎に籠って書き物をしていたらいきなり…

(巻三十一)鳴きすぎて鈴虫外へ出されけり(宮澤眞砂美)

(巻三十一)鳴きすぎて鈴虫外へ出されけり(宮澤眞砂美) 12月16日木曜日 9月末の1回目の内視鏡手術以来ず~と腎臓と膀胱の間の尿管に挿入されているステントを抜きに平成立石病院に向かった。9時半からの処置とのことなのでシャトルバスでは間に合わず…

(巻三十一)方言の滑りよろしき新酒かな(中原伸二)

(巻三十一)方言の滑りよろしき新酒かな(中原伸二) 12月15日水曜日 細君とアリオに買い物に出かけた。バス停で亀有駅前行きを待つもなかなか来ない。案内板の電光表示も消えていて見通しが立たない。都営地下鉄浅草線の運転中止を受けて京成押上線が乱れ…

(巻三十一)書を読みて夫婦語らぬ夜長かな(大内純子)

(巻三十一)書を読みて夫婦語らぬ夜長かな(大内純子) 12月14日火曜日 細君は開店に合わせて生協に出かけて行った。買い物を終わって戻って云うに「自転車置場がいっぱいだったわ。みんな雨の降り始める前に買い物みたい。」とのことだ。 11時には横浜の…

(巻三十一)箸で食ふ体育の日のパスタかな(田中喜翔)

(巻三十一)箸で食ふ体育の日のパスタかな(田中喜翔) 12月13日月曜日 昨夜、就寝前に顔本からアラートが出てアカウントが閉じられた。何者かの不正使用とかで、改めてコードを貰い、新しいPINで開き直した。暇潰しを顔本に依存しているので使えなくなると…

(巻三十一)何事も筋を通して寒に入る(大久保白村)

(巻三十一)何事も筋を通して寒に入る(大久保白村) 12月12日日曜日 朝、何気なくラジオ(FM葛飾)を点けてたらミュージックラインで大人のイージーリスニングと云うのを流していた。かつてTBSラジオでキューピー・バックグラウンド・ミュージックという番組…

(巻三十一)間取図のコピーのコピー小鳥来る(岡田由季)

(巻三十一)間取図のコピーのコピー小鳥来る(岡田由季) 12月11日土曜日 細君の眼の手術以来埃が吹き出されるということで掃除機の使用が制限されていたが、今朝は「掃除機を掛けよ」とのご指示でござった。色々な場所の掃除が行き届かないが、特に敷居の…

「眠れない夜のために 『ポケットに名言を』から『パンセ』へ - 田中秀臣」苦楽堂編 次の本へ から

「眠れない夜のために 『ポケットに名言を』から『パンセ』へ - 田中秀臣」苦楽堂編 次の本へ から高校時代、寺山修司の『ポケットに名言を』を愛読した。いまでも角川文庫の一冊として店頭に並んでいる。一九七七年に文庫化されているからすでに四〇年近く…

(巻三十一)掛乞は待つが仕事と煙草吸ふ(小西須麻)

(巻三十一)掛乞は待つが仕事と煙草吸ふ(小西須麻) 12月10日金曜日 携帯のバイトは0.15Gまで下がった。 細君は美容院へ出かけた。煩くなくて実に結構である。昼時に戻ってきて、静けさが消えた。煩い! 午後は散歩に出かけた。風がないので中川の土手を歩…

「自招侵害と正当防衛の成否 - 同志社大学教授十河太朗」法学教室2021年9月号

「自招侵害と正当防衛の成否 - 同志社大学教授十河太朗」法学教室2021年9月号横浜地裁令和3年3月19日判決【論点】自招侵害の事例は、どのような判断枠組みによって解決されるべきか。〔参照条文〕刑36条1項【事件概要】被告人X(60歳、身長約165cm…