2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「筆まかせ(書抜其の一) - 正岡子規 岩波文庫 筆まかせ から

「筆まかせ(書抜其の一) - 正岡子規 岩波文庫 筆まかせ から○東京へ初旅去年六月十四日余ははじめて東京新橋停車場につきぬ 人力にて日本橋浜町久松邸まで行くに銀座の裏を通りしかば、東京はこんなにきたなき処かと思へり やしきにつきて後川向への梅室と…

(巻二十七)世渡りが下手とのうわさきりぎりす(山本直一)

(巻二十七)世渡りが下手とのうわさきりぎりす(山本直一) 9月29日火曜日 敢えて挙げれば、ガス・ストーブの試運転をいたした。 敢えて挙げれば、生協の牛乳が欠品になっていた。台風の影響で原料の輸送が滞ったためと貼り紙が出ていた。明治の200mlの小…

「老いの恋愛と死(一休・良寛・一遍・円空-そして私) - 佐江衆一」文春文庫 95年版ベスト・エッセイ集 から

「老いの恋愛と死(一休・良寛・一遍・円空-そして私) - 佐江衆一」文春文庫 95年版ベスト・エッセイ集 から還暦を迎えたとたん、腰痛ばかりか老眼がすすんだと思い眼科医に診てもらうと、老人性白内障がはじまっているという。父も七十歳のころ白内障の…

(巻二十七)ゆく夏の腰の辺りに塗薬(鳴戸奈菜)

(巻二十七)ゆく夏の腰の辺りに塗薬(鳴戸奈菜)9月28日月曜日細君は金策に出掛けた。殆んどすべてのことを仕切っているので私が先に逝く想定しか考えられない。夫婦して先に逝く気の夕涼み(小原紫光 という句があるが、幸いなことに細君は先に逝く気はない…

「朝はあんパン - 坪内稔典」ベスト・エッセイ2011 から

「朝はあんパン - 坪内稔典」ベスト・エッセイ2011 から朝はあんパンと決めている。三十年くらい、朝食はあんパン一個か二個である。もちろん、いろいろ食べるのだが、最近はあんパン、チーズ、トマトジュース、ヨーグルト、くだものというメニューが多…

(巻二十七)肉マンを転んでつぶす二月かな(井川博年)

(巻二十七)肉マンを転んでつぶす二月かな(井川博年) 9月27日日曜日 散歩: 小高校コースを歩いた。亀青小学校正門前の路地にはまだ昭和の建物が幾つか残っている。70年以上続いたお煎餅屋さんが店仕舞いしたようだ。 閉店の貼紙三行走り梅雨(川崎益太郎…

3/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から

3/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から12時05分 - 倶知安発車。すぐ力行だ。スキーを肩に手を振る少女の真っ赤なセーター姿を、重連機関車の雪煙が一瞬にかき消してしまう。行く手は再び雪に閉ざされた孤独な世界…

(巻二十七)卓に組む十指もの言ふ夜の秋(岡本眸)

(巻二十七)卓に組む十指もの言ふ夜の秋(岡本眸) 9月26日土曜日 血圧の初診から2週間近く経ち薬も減ってきたので駅前クリニックに行った。夫婦して内科だ歯科だと日々どちらかが病院通いだ。 前回は空いていたが、今朝は9時到着ですでに20人程が待って…

2/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から

2/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から 10時54分。凍るような小樽の空に豪快な汽笛を二声、C62重連は力強く足を踏み出す。田中機関士の右手が加減弁バンドルをぐいぐい引き上げてゆく。ボイラー圧力は16・5…

(巻二十七)いちにち物いはず波音(種田山頭火)

(巻二十七)いちにち物いはず波音(種田山頭火) 9月25日金曜日 本日も外出せず。 細君は歯科に出掛け、お昼に帰宅。あんパンを買ってきてくれた。 夕方、ドアベルが鳴る。インターフォンに出ると飛び込みのセールスでした。 恨みを買わないように丁寧にお断…

1/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から

1/3「雪の行路(抜書) - 竹島紀元」ちくま文庫 鉄道エッセイコレクション から ニセコ1号 小樽→長万部田中機関士・武藤機関助士・小泉指導機関士(長万部機関区)珍しく雪の少ない冬というが、山と海に囲まれた小樽の町は、一面の深い雪だった。C62の基地…

(巻二十七)葡萄熟れ火種のような婆がいる(下山光子)

(巻二十七)葡萄熟れ火種のような婆がいる(下山光子) 9月24日木曜日 台風の道なき道を来たりけり(松尾安乃) で、本日は外出せず。 写真の花は撫子だそうです。穂を垂れているのは紫の古代米だそうです。 『安全・安心情報(点検を装った強盗に注意) 9月…

「寿命がきたら旅立てる覚悟 - 斎藤茂太」集英社 骨は自分で拾えない から

「寿命がきたら旅立てる覚悟 - 斎藤茂太」集英社 骨は自分で拾えない から私たちは日常何気なく行なっていることが、実は大変価値のあることに気がつくことがある。ふつう、健康なときは健康のありがたさには無頓着なことが多い。健康であることが当たり前…

(巻二十七)一振りのセンターフライ夏終る(八木忠栄)

(巻二十七)一振りのセンターフライ夏終る(八木忠栄) 9月23日水曜日 散歩: 雨が落ちてきそうなので早々と9時に散歩に出掛けた。 第一チェック・ポイントのコンビニで珈琲など喫しているとポツリときたので次のドラッグストアに急いだ 。 雨粒の顔に当り…

2/2「平均顔 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から

2/2「平均顔 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 からところで、ゼブロウィッツは、ここからさらに進んで、平均的な顔を魅力的なものにしているのはどんな特徴かと問うて、左右対称性とともに「丸み」をあげる。「平均する顔が多くなるほど、対称…

(巻二十七)油揚げ一枚だけであとは秘儀(木村聡雄)

(巻二十七)油揚げ一枚だけであとは秘儀(木村聡雄)9月22日火曜日本日午前は晴天でありました。空気も乾いているので箪笥から式服ほかを出して風を通し黴の点検などいたした。散歩:家事多忙につき散歩は午後となった。高小校と歩き生協で買い物。本日は五…

1/2「平均顔 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から

1/2「平均顔 - 鹿島茂」文春文庫 セーラー服とエッフェル塔 から「十人並」という言葉がある。普通、とりたてて美人でもないが、さりとてひどい不美人でもない、平均的な容姿の女性について用いられる。私もそう思っていた。ところが、いまから二十六年前、…

(巻二十七)古き家の柱の色や秋の風(三島由紀夫)

(巻二十七)古き家の柱の色や秋の風(三島由紀夫) 9月21日月曜日 けさよりは秋ぞと思うシャワーかな(森哲州) ということで季節が変わったようだが暫くは気温が大きく波打つらしい。 先ず、今朝は毛布をかぶって目が覚めた。 散歩は短パンTシャツからチノパ…

3/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 から

3/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 からラブミー農場は秋まで花は絶えないが、野菜やブドーもまたにぎやかになる。とうもろこしは私のセイの二倍も高くなる。草を刈って積み上げておくと、そこは凄いほど肥料があるのだ。「ハワイの…

巻二十六立読抜盗句歌集

巻二十六立読抜盗句歌集 七掛けで生きし人生亀鳴けり(松本夜誌夫) 枝豆を口に正論聞流す(高橋悦子) 泉汲むや胸を離れし首飾(猪俣千代子) さみだるる他なし漢の独言癖(松下健) 炎天下イヤホーンに聞く甲子園(住田征夫) 桃買つて予報通りの雨に遭う(松井国夫) …

(巻二十六)塞翁が馬にまたがり去年今年(岡本久一)

(巻二十六)塞翁が馬にまたがり去年今年(岡本久一) 9月20日日曜日 本日の句をもちまして巻二十六の読み切りでございます。追って巻二十六を一挙掲載いたします。 写真は西亀有にある“上千葉砂原公園”のポニーさんです。お子様を載せてゆるゆると馬場を周る…

2/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 から

2/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 から こんなふうに私の畑の花の名を並べると、なんとなく花栽培業のように思われるが、実際には畑の中に、ポツン、ポツンと、ときどきのその季節に咲くだけである。畑の花というものになってしま…

(巻二十六)街をゆく臍出しギャルや稲光り(井上ひろし)

(巻二十六)街をゆく臍出しギャルや稲光り(井上ひろし) 9月19日土曜日 プランターのミカンの木に残っていた最後の果実が落ちてしまった。 昨年は完熟し、鳥が来て啄んだが、今年は夏の終わりで幕となってしまった。 耐へていしミカンの落つる彼岸かな (駄…

1/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 から

1/3「ラブミー農場の四季 - 深沢七郎」文春文庫 余禄の人生 から埼玉へ来てから十二年もたった。三反半の畑に「ラブミー農場」などと愛称をつけて「農場だ」などと張り切ったのは越してきた当時だけだった。いまは自分の食べる葉っパ類しか作っていない。食…

(巻二十六)なに隠すつもりか春のふところ手(西條泰弘)

(巻二十六)なに隠すつもりか春のふところ手(西條泰弘) 9月18日金曜日 今年は害虫が多い。 少なくとも二種類いて、写真一の虫は緑色が鮮やかで背中が丸みを帯びている。名前は知らない。写真二のもう一つは、土色の保護色になっている背中の平ら虫で、背中…

「いつもそばに本が - 島田雅彦」朝日新聞読書欄-ワイズ出版 から

「いつもそばに本が - 島田雅彦」朝日新聞読書欄-ワイズ出版 からこれまで暮らしてきた家は皆ろくでもない家ばかりだった。これまで食べてきたものも、近頃の青少年の食生活を笑えない代物ばかりだった。ある日、自分の余命を考えて、愕然とし、慌てて居住…

(巻二十六)群衆に距離置く男雲の峰(刈田光児)

(巻二十六)群衆に距離置く男雲の峰(刈田光児) 9月17日木曜日 家事: 洗濯と風呂場の排水口付近の掃除などいたした。 先輩からの電話などもあり、午前中の散歩は取り止めといたした。 また別の滝にならんと水奔る(三森鉄治) 散歩: 亀有図書館が来年まで休…

「歌謡曲は哲学である - 山内志朗」ベスト・エッセイ2012 から

「歌謡曲は哲学である - 山内志朗」ベスト・エッセイ2012 から 今、私は哲学と歌謡曲の関係について調べている。なにをバカな、と思う人も多いだろう。なぜなら、哲学とは理屈であり、歌謡曲とは理屈などどうでもよく、ひたすら情念を歌い上げるものだ…

(巻二十六)綺麗事並べて春の卓とせり(櫂未知子)

(巻二十六)綺麗事並べて春の卓とせり(櫂未知子) 9月16日水曜日 健康・不健康 朝晩腕に巻いて測り始めた。 2017年4月27日の日記を見ると柏の名医のところで測った記録が書いてある。 128-94だ。以前から下は高かったようだ。 散歩と買い物: …

「偏奇館漫録(冒頭) - 永井荷風」中公文庫 麻布襍記 から

「偏奇館漫録(冒頭) - 永井荷風」中公文庫 麻布襍記 から庚申の年孟夏[もうか]居を麻布に移す。ペンキ塗の二階家なり。因って偏奇館[へんきかん]と名づく。内に障子襖なく代ふるに扉を以てし窓に雨戸を用いず硝子を張り床に畳を敷かず榻[とう]を置く…