2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「甲の得は乙の損 - 邱永漢」中公文庫 金銭読本 から

「甲の得は乙の損 - 邱永漢」中公文庫 金銭読本 から 今度、モンテーニュの『随想録』が装を改めて出版されたので、大枚を奮発して革張りの特製本を買った。『随想録』については古い思い出があるからである。昭和二十年三月十日、東京の大空襲のあった直後…

(巻二十五)敬礼の上手と下手は生まれつき(藤後左右)

(巻二十五)敬礼の上手と下手は生まれつき(藤後左右) 3月30日月曜日 よく眠れた!久しぶりだ。よく眠れたことには感謝するが、目覚めてしまったことは残念である。 こときれてゐればよかりし春の夢(上田五千石) あたしがいなくなっても誰も困りも悲しみも…

「老人六歌仙 - 渋沢秀雄」文春文庫 巻頭随筆1 から

一昨年(昭和四十四年)の一月に、私はNHKの「老後とは」というテレビ番組に出た。五人の老人が各自の仕事などを語ったのである。私も自分を老人だとは思っているが、「老後」と銘を打たれて見るとうれしくない。しかも同席した林タカシさんや東郷青児さんたち…

(巻二十五)鍋焼の屋台に細き煙出し(富永ひさし)

(巻二十五)鍋焼の屋台に細き煙出し(富永ひさし) 3月29日日曜日 どうしても積もる積りの春の雪(塚本一夫) 場末では雨で始まり雪に変わった。 外出せず。バイト予定先から電話があったがこういう状況なので様子を見たいとお願いした。先方も当分保留とする…

「セントルイス・カレーライス・ブルース - 井上ひさし」ちくま文庫 カレーライス大盛り から

「セントルイス・カレーライス・ブルース - 井上ひさし」ちくま文庫 カレーライス大盛り から 戦争が終わって間もないころから昭和三十年代の初めごろまでの十数年間は、あのすばらしいストリップショーの黄金時代だった。ここで云うストリップショーとは、…

(巻二十五)安楽死出来ぬ桜が地吹雪す(金子徹)

(巻二十五)安楽死出来ぬ桜が地吹雪す(金子徹) 3月28日土曜日 Eさんの命日です。合掌。 週の初めにマリさんから今年は命日の偲ぶ会を延期するとの連絡を頂いた。集まって酒を酌むのは自粛したが、命日だ。 Eさんは出勤途中で倒れ、救急車の中では逝かれ…

「スターター 太刀川恵 -  村松友視」文春文庫 帝国ホテルの不思議 から

「スターター 太刀川恵 - 村松友視」文春文庫 帝国ホテルの不思議 から帝国ホテルには八基のエレベーターがあるが、宿泊客はチェックインのあとそのエレベーターに乗り自分の部屋に向かってスタートする.....そんな意味合いで、エレベータースタッフは“エレ…

(巻二十五)足許を見る商ひや花めうが(中原道夫)

(巻二十五)足許を見る商ひや花めうが(中原道夫) 3月27日金曜日 少なくとも近所の生協では値段の吊り上げはない。 吸気扇の修理に電工さんが来てくれました。 ユニットごと取り換えて15分の作業で終わりました。自宅であれば数万円の出費になったでしょ…

「即断しないで独断する - 藤本義一」中公文庫 男の遠吠え から

「即断しないで独断する - 藤本義一」中公文庫 男の遠吠え から最近、たてつづけに女流作家の作品を読んだ。動機は、曽野綾子さんとか富岡多恵子さんと会う機会があったので、女流作家は、現実の事象をどのように分析なさるのであろうか、男とどういう点で…

(巻二十五)六月の手応えうすき髪洗ふ(久野兆子)

(巻二十五)六月の手応えうすき髪洗ふ(久野兆子) 3月26日木曜日 外出自粛が伝えられたらしい。我が家は一応の備蓄があるので買い足す物はないが、醤油と油と料理酒を仕入れに朝一で生協へ出かけた。 客はいつもの平日の朝よりはやや多目と見た。米とインス…

「鳶 - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り から

「鳶 - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り から去年の十月頃の新聞を見た人々は記憶しているであろう。日本橋蛎殻町のある商家の物干へ一羽の大きい鳶が舞い降りたのを店員大勢が捕獲して、警察署へ届け出たというのである。ある新聞には、その鳶の写真…

(巻二十五)ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ(鷹羽狩行)

(巻二十五)ここちよき死と隣りあひ日向ぼこ(鷹羽狩行) 3月25日水曜日 一昨日は八千五百、昨日は一万、今日も八千歩を歩いた。一万歩説もあれば五千歩説もあるから、健康寿命に何がベストなのかは解らない。無理強いはしないようにします。 死ぬまでの一千…

「消費と貯蔵 - 山崎正和」中公文庫 柔らかい個人主義の誕生 から

「消費と貯蔵 - 山崎正和」中公文庫 柔らかい個人主義の誕生 から消費と貯蔵もちろん、この第二の欲望は必ず物質的欲望をともなふものであるから、それが満足させられるときには、必ず一定量のものの消耗を避けることはできない。のみならず、ときには、ひ…

(巻二十五)顔に似ぬ発句も出でよ初桜(芭蕉)

(巻二十五)顔に似ぬ発句も出でよ初桜(芭蕉) 3月24日火曜日 北風が強く洗濯物は室内干し。 パートに応募した。そこで提出を求められた住民票などを揃えに午後外出いたした。書類は揃ってきたがさてどうなるやら? とにかく歩いたので一万歩を越えました。…

「茂吉と酒(齋藤茂吉氏のこと) - 齋藤茂太」中公文庫 「酒」と作家たち から

「茂吉と酒(齋藤茂吉氏のこと) - 齋藤茂太」中公文庫 「酒」と作家たち から父茂吉は死ぬ二年前のある日、私を枕もとに呼び、俺の仕事はもう終った、最悪の場合を考えていればよい、と言った。その頃、時々心臓発作を起こし、また左半身不全麻痺もあったか…

(巻二十五)正一合屋台に春を惜みけり(橋本栄治)

(巻二十五)正一合屋台に春を惜みけり(橋本栄治) 3月23日月曜日 朝方雨の残るなかを両国まで出かけた。 このお相撲の街に女子大があったのか?袴姿のお嬢さんたちがウヨウヨといらしゃった。 昼飯に一本付けようかと思ったが、どうも飲欲が湧かない。その…

「平成版聖なる結婚 - 原田ひ香[か]」文春文庫 09年版ベスト・エッセイ集 から

「平成版聖なる結婚 - 原田ひ香[か]」文春文庫 09年版ベスト・エッセイ集 から「紅茶、二百五十円なんですけど?」という男の声がして、私は原稿から顔を上げた。集中力がないので、毎日喫茶店でパソコンをひろげて原稿を書いている。私が行くような店…

(巻二十五)親方の親切に泣き夜なべかな(高浜年尾)

(巻二十五)親方の親切に泣き夜なべかな(高浜年尾) 3月22日日曜日 親分に面倒を見てもらっていた頃今日の句を書き留めたなあ。 細君が生協に買い物に行き、七枚入り三百五十円のマスクを迷ったうえで買ってきた。少しは出回り始めたのだろうか? マスクし…

「四十二の感動 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から

「四十二の感動 - 出久根達郎」文春文庫 朝茶と一冊 から私が古本屋が好きで、いまだにやめずに続けているのは、本を売ることが好きだからである。本と名がつくものは、なんでも売ることができる。その自由さが好きだからである。敗戦前(もう五十年も前だ)…

(巻二十五)尾頭に分けて二人に足る秋刀魚(尾亀清四郎)

(巻二十五)尾頭に分けて二人に足る秋刀魚(尾亀清四郎) 3月21日土曜日 昨晩はFM葛飾の渡辺ミカさんの番組を聴きながら寝酒を致した。寝酒をすると寝付きはよいのだが、三時間から四時間後に目覚めてしまい、寝直しに苦労する。 やはり寝酒は止めよう。酒よ…

2/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から

2/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から児玉には宿屋は一つしかないが、これは田島旅館という。部屋は二、三十はある立派な旅館である。前の時は無理して日帰りにしたので、こんな旅館があることは知らなかった。三階建てで、三階の眺…

(巻二十五)復唱の英語かたまりとぶ夜学(大橋敦子)

(巻二十五)復唱の英語かたまりとぶ夜学(大橋敦子) 3月20日金曜日 (顔本) セヤップ84から御承認をいただきメンバーになりました。 キャシーさんとイマーさんから早速メッセージを頂きました。 しかしITの流行も変化が激しいようで管理者アンドリューから…

(巻二十五)穴まどひ今日が明日でもよい立場(佐伯虎杖)

(巻二十五)穴まどひ今日が明日でもよい立場(佐伯虎杖)3月19日木曜日(顔本)お二人様がご加入下さりました。都合22人。更にお一人加わり23人になりますた。投稿はなし。(散歩)今日は学校があったようで下校中の小学生を見掛けた。中学の卒業式も行われ…

1/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から

1/2「或る田舎町の魅力 - 吉田健一」中公文庫 汽車旅の酒 から何の用事もなしに旅に出るのが本当の旅だと前にも書いたことがある。折角、用事がない旅に出掛けても、結局はひどく忙しい思いをさせて何にもならなくするのが名所旧跡である。極めて明快な一例…

3/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

3/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から いつだったか、古本屋に、戦前に出版されたヒトラーの『我が闘争』か一冊あって、なにげなく頁を繰ってみたら、全頁ことごとくといってゆいほど赤鉛筆で線が引いてあったり、書きこみがしてあったりだ…

(巻二十五)木の匙に少し手強き氷菓かな(金子敦)

(巻二十五)木の匙に少し手強き氷菓かな(金子敦) 3月18日水曜日 家事は風呂場の排水口の掃除から始めた。続いてベランダの手摺に毛布掛けて干し、洗濯とこなした。洗濯や布団干しに絶好の天気である。 湯を落とす小さき渦の寒夜かな(村上鞆彦) 散歩日和で…

2/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

2/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から本の“匂い”のことについて考えると、いつも、いったいあれはどこからくるのだろうかと、不思議な気がする。著者が全力投球している場合、その球が空を切って飛んだあとにのこる谺[こだま]のようなもの…

(巻二十五)楪(ゆずりは)や和菓子屋辞める決意して(町田敏子)

(巻二十五)楪(ゆずりは)や和菓子屋辞める決意して(町田敏子) 3月17日火曜日 雲は多いが穏やか朝であった。洗濯物をベランダに出してみた。散歩日和ではなかったが駅前まで歩き六千歩強であった。駅前は普段と変わらぬ人盛りでした。日高屋もマックも混ん…

1/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から

1/3「続・読む - 開高健」角川文庫 白いページ2 から子供の頃のことをふりかえってみると、腺病質でなくなったとか、偏食癖がなくなったとか、どこでも寝られるようになったとか、夜中に一人でトイレにいけるようになったとか、いろいろな変化が数えられる…

(巻二十五)邪魔なれば暇出されたる枇杷の種(中原道夫)

(巻二十五)邪魔なれば暇出されたる枇杷の種(中原道夫) 3月16日月曜日 終日北風が吹きまくる。竜巻警報が出た地域もあったとの由-外出せず。洗濯をしたが外に出せず。 (俳壇) 細君が朝日俳壇を持ってきた。 己が死を己れが泣くや春の夢(宇津木玲華) とい…