2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「面白さに拘り続けた人 - 筒井康隆」新潮社 不良老人の文学論 から

「面白さに拘り続けた人 - 筒井康隆」新潮社 不良老人の文学論 から昭和四十二年、丸谷才一は貝殻一平の名で読売新聞に大衆文学時評を連載していた。この頃から彼は日本の私小説的な暗い近代文学を嫌っていた。ここでわが「ベトナム観光公社」が山田風太郎…

(巻二十六)去りがたし話題きりなし春炬燵(田原和之)

(巻二十六)去りがたし話題きりなし春炬燵(田原和之) 7月30日木曜日 九時半ころ緊急地震速報が着信し、区の拡声器が“大地震、大地震”とわめいた。 ついに地震でとどめを刺されるのかと身構えたが、揺れを感じなかった。この場合はヒットするより空振りがよ…

3/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 から

3/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 からその文章は、つづく。この人は、科学的思考法につき両極端があると設定する。一方の極端は「実証されていない物事は一切、信じない」という考え方である。まことににべもない態度を、多く…

(巻二十六)噴水の向かうに回つてみても夏(小松生長)

(巻二十六)噴水の向かうに回つてみても夏(小松生長) 7月29日水曜日 定事 月に一度の検診で駅前まで出かけた。採血し、結果待ちです。CTを撮れと何回か言われていたが、仕方なく撮ることにした。 お忙しいところでしたが、少々お話をさせていただき、ホス…

2/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 から

2/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 からとくに五大明王とよばれる五体の明王像は、遠い天平や近い鎌倉の救済的な仏像からみれば、とても容れられるものではない。五体明王のうちの降三世明王[ごうさんぜみようおう]にいたって…

(巻二十六)梅干しでにぎるか結ぶか麦のめし(永六輔)

(巻二十六)梅干しでにぎるか結ぶか麦のめし(永六輔) 7月28日火曜日 角川俳句7月号が借りられた。 書き留めた句は 難しく考えないで麦青む(深町明) 春の夜の吊るもの多き金物屋(藤岡勢伊自) 死を畏れ死を恋ひ枝垂桜かな(おぐまふさこ) あんパンをいつも買…

1/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 から

1/3「魚の楽しみ - 司馬遼太郎」岩波書店 エッセイの贈りもの4 から-『湯川秀樹著作集』が出ることをきいて-よくいわれることだが、湯川さんがノーベル物理学賞を授与されるという外電ほど、占領下の日本をあかるくしたことはなかった。昭和二十四年(一…

(巻二十六)秋の夜の時計に時計合せ寝る(波多野爽波)

(巻二十六)秋の夜の時計に時計合せ寝る(波多野爽波)7月27日月曜日アイロンの調子が良くないという。私も使っているが、そうでsky?でも言い出したら言い出して後には引かず古団扇(吉井よしを)ですから、買うことになり駅前の家電量販店にお供した。選択の…

「臨終徒然草 - 山田風太郎」ちくま文庫 半身棺桶 から

「臨終徒然草 - 山田風太郎」ちくま文庫 半身棺桶 から私が「人間臨終図巻」という本で、古今東西の有名人の死の様相を書きつらねて見せたのは、実はただ伝記的興味からであったが、それでも千人近くも書けば、結果として、「どんな死に方が望ましいだろう…

(巻二十六)浅蜊掻く五尺四方にとどまりて(山田和夫)

(巻二十六)浅蜊掻く五尺四方にとどまりて(山田和夫) 7月26日日曜日 散歩: 水戸街道沿いにある今風の八百屋の店先で見事な西瓜を見かけた。バスケットボールよりも大きい。 もてあます西瓜一つやひとり者(永井荷風) という句があるが、一家族四人でも食べ…

「義経の梅干 - 水上勉」ちくま文庫 あさめし・ひるめし・ばんめし-アンチ・グルメ読本 から

「義経の梅干 - 水上勉」ちくま文庫 あさめし・ひるめし・ばんめし-アンチ・グルメ読本 から梅干について何か書けということだが、格別にいまこれといったことがあるわけではないので、心ひけるのであるけれど、むかし、大河内さんが、私の梅干に関する雑…

(巻二十六)遠足を入れてふくらむ電車かな(藤森秀子)

(巻二十六)遠足を入れてふくらむ電車かな(藤森秀子) 7月25日土曜日 散歩: 傘を開いたり閉じたりしてRコースを散歩した。 本日は三千四百歩で階段二回でした。 昨日昼寝をやめてみたら夜中グッスリ目覚めず寝られた。今日も昼寝を我慢してみた。 朝方目…

「喜劇的猥褻論(一部抜き書き) - 井上ひさし」中公文庫 パロディ志願 から

「喜劇的猥褻論(一部抜き書き) - 井上ひさし」中公文庫 パロディ志願 から『法定犯』と『自然犯』という、対[つい]になったコトバがある。またしても法律用語について書くことになり恐縮だが、なにしろ連中の兵器は法律なので、敵の正体を見破るためにも…

(巻二十六)雨蛙ふと振返る柳腰(古今亭志ん輔)

(巻二十六)雨蛙ふと振返る柳腰(古今亭志ん輔) 7月24日金曜日 散歩: お願いしていた『お金がない!-河出書房新社』が届いているとの連絡が入ったので五百歩の所にある図書館に立ち寄った。 この便利な図書館も9月から来年の2月まで空調工事で閉館にな…

「ある有料老人ホームの風景 - 山崎正和」ベスト・エッセイ2015 から

「ある有料老人ホームの風景 - 山崎正和」ベスト・エッセイ2015 から縁あって有料老人ホームというものに入居して、日常の半ば以上を過ごすようになって数年が経った。自宅から車で二〇分ほどの場所にあることも選んだ理由だが、たまたま旧友の谷沢永一…

(巻二十六)道なりといふはあいまい秋の暮(佐藤博美)

(巻二十六)道なりといふはあいまい秋の暮(佐藤博美)7月23日木曜日家事洗濯を済ませ、古新聞紙を整理して袋に詰めた。新聞はたたんで袋に詰めて集積場へ運ぶだけで私は読まない。着古したパジャマを裁断して掃除用の概ね10センチ角の端切れを作った。こ…

4/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫

4/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫しかしながらいかほど歎[なげ]き候ても、もともとわが身の手にて隠し候金子[きんす]。わが身の手にて取出す力なくなり候事なれば、誰も怨むにも及ばざる事に候間、月日を経[ふ]るに従ひ、これぞ正しく因果…

(巻二十六)レモン切る月のうすさと思ひけり(宮崎夕美)

(巻二十六)レモン切る月のうすさと思ひけり(宮崎夕美) 7月22日水曜日 大暑だそうですが、まだ梅雨です。 大暑には頭使はぬコップ拭き(高澤良一) 散歩と買い物 お寺と教会のRコースにした。買い物は米二キロ。 本日四千三百歩で階段二回でした。 顔友: …

3/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫

3/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫しかしながら始めより国許へ立帰り候所存とては無之事[これなきこと]に候間、東海道を小田原まで参り、そのまま御城下に数日滞在の上、豆州[ずしゆう]の湯治場を遊び廻り、大山へ参詣いたし、それより甲州路…

(巻二十六)願ふことただよき眠り宝船(富安風生)

(巻二十六)願ふことただよき眠り宝船(富安風生) 7月21日火曜日 雑事: 高齢者の二割、三割負担のことで 区役所の国民健康保険課資格係に電話で相談した。テキパキとした対応で、確めたかったことは理解できました。その時なって手続きをすれば大丈夫らし…

2/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫

2/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫その辺に血にても流れをり候哉と見廻し候へども、これまたそれらしき痕[あと]も相見え申さず候。さては両人共崖に墜ち候が勿怪[もつけ]の仕合にて、手疵も負はず立去り候もの歟[か]など思ひながら、ふと足…

(巻二十六)十団子も小粒になりぬ秋の風(許六)

(巻二十六)十団子も小粒になりぬ秋の風(許六)7月20日月曜日『榎物語』を読み終えた。私ごときが感想を述べたても仕方がないので、さっさとコチコチしたものを貼り出しました。酔うほどにたぎり来るもの宥めつつ僧なれば僧の影引きて行く(大下一真)BBC:先…

1/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫

1/4「榎[えのき]物語 - 永井荷風」岩波文庫市外荏原郡世田ケ谷町に満行寺[まんぎようじ]という小さな寺がある。その寺に、今から三、四代前とやらの住職が寂滅[じやくめつ]の際、わしが死んでも五十年たった後でなくては、この文庫は開けてはならない…

(巻二十六)すこしづつ死す大脳のおぼろかな(能村登四郎)

(巻二十六)すこしづつ死す大脳のおぼろかな(能村登四郎) 7月19日日曜日 久しぶりに日が射した。散歩はBコースにしたが汗をかいた。この季節はなかなか快適な散歩にならない。 四千百歩で階段二回でした。 箪笥を開けて背広を出して黴の点検を致した。早…

「老人と自殺 - 松田道雄」日本の名随筆8 から

「老人と自殺 - 松田道雄」日本の名随筆8 から有名な人が自殺すると、おなじように有名な人がその死について解説することが、現代の儀礼になった。自殺者が老人であってもだ。けれども有名な人が、ガンとか事故とかで死んだときは、だれも死については解説…

(巻二十六)何もかも何故と聞く子と夕焼見る(今井千鶴子)

(巻二十六)何もかも何故と聞く子と夕焼見る(今井千鶴子) 7月18日土曜日 洗濯物が乾かない。仕方がないのでパンツ、シャツ、パジャマをストーブで乾かした。室内温度が24度だったのでストーブも動いた。 五月雨や暖器に翳すサルマタケ (駄楽) 本日は買い…

2/2「女子高生制服ウォッチング - 森伸之」ちくま文庫 路上観察学入門 から

2/2「女子高生制服ウォッチング - 森伸之」ちくま文庫 路上観察学入門 からそこで最初の問題 ー 「女子高生は鳥類なのか昆虫なのか」に話を戻してみたい。鳥類と昆虫を観察する際、最も大きな違いとなるのは「距離」ではないかと思う。たとえばバードウォッ…

1/2「女子高生制服ウォッチング - 森伸之」ちくま文庫 路上観察学入門 から

1/2「女子高生制服ウォッチング - 森伸之」ちくま文庫 路上観察学入門 から女子高生は鳥類なのか昆虫なのか、という問題がある。といっても、いくら大胆な最近の女子高生でも空をばさばさ飛びまわったり六本足で歩いたりということは滅多にしないから、もち…

(巻二十六)みちのくの夜長の汽車の長停り(阿波野青畝)

(巻二十六)みちのくの夜長の汽車の長停り(阿波野青畝) 7月17日金曜日 散歩と買い物 雨シトシトと降り最短のCコースと致した。随分と濃い紫色の朝顔と出逢う。 本日三千歩階段二回でした。 朝顔や期待の色と違へども(柿坂伸子) 細君が義妹に電話を掛けて…

「三人の人類 - 藤原智美」光村図書 ベスト・エッセイ2010 から

「三人の人類 - 藤原智美」光村図書 ベスト・エッセイ2010 から「足跡」と書いてアシアトと読めば、廊下の濡れた足形や、犯罪の捜査活動に使う靴跡のように、そのイメージは具体的である。しかしソクセキと読むと、がぜん言葉が深い広がりをもってくる…