2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「死の欲動 - 春日武彦」私家版精神医学事典 から

「死の欲動 - 春日武彦」私家版精神医学事典 からドイツ語でTodestrieb、死の本能と訳されることもある。フロイトが1920年の論文「快楽原則の彼岸」ではじめて用いた言葉で、人を自己破壊や自己処罰、その究極としての死へ突進させてしまう悪魔的な力を指す。…

(巻三十五)墨堤に返す波間の都鳥(鳥飼しげを)

(巻三十五)墨堤に返す波間の都鳥(鳥飼しげを) 10月30日日曜日 朝家事。言いたい放題云われながらシーツを洗い、風呂の椅子と桶を洗う。風呂の椅子が汚れていて手間がかかった。 生協に行き、赤飯パック、マスク、納豆、牛乳、ヨーグルトを買う。パスコの…

「かたちのレビュー(抜書:サントリーオールド、団地、蚊取り線香) - 鷲田清一」生きながらえる術 から

「かたちのレビュー(抜書:サントリーオールド、団地、蚊取り線香) - 鷲田清一」生きながらえる術 からサントリーオールド(ダルマ)憧れのボトルだった。高度成長期と呼ばれた時代に「青春」を生きた男性諸氏にとって、それは「上昇」のしるしだった。「出世魚」…

(巻三十五)その裏は蜘蛛が囲を張るネオン街(柴田佐知子)

(巻三十五)その裏は蜘蛛が囲を張るネオン街(柴田佐知子) 10月29日土曜日 秋日和。朝家事は毛布干し、布団干し。細君は生協に行き、ついでにドラッグストアで化粧品を仕入れてきた。いくつになっても小綺麗にしていただくのはよろしいことだ。 今朝、細君…

「猫に学ぶ - 原田宗典」楽天のススメ

「猫に学ぶ - 原田宗典」楽天のススメ珍しく子供二人を連れて、吉祥寺に出た時のことである。カミサンが野暮用を済ませる三、四時間の間ぼくが面倒をみる約束だったのだが、やけに暑い日だったので家の中に閉じ籠もっているのもどうかと思われ、気分転換も…

(巻三十五)ストレスの強きものより紅葉す(佐藤文子)

(巻三十五)ストレスの強きものより紅葉す(佐藤文子) 10月28日金曜日 朝家事。拭き掃除、洗濯、昼飯は昨日細君が買ってきた肉マン餡マンに焼売。袋に入ったまま電子レンジでチンする“画期的”な方法で饅頭を温めて食した。 昼寝せずに床屋へ行く。その途中…

「田沼武能写真集『文士』序 - 山口瞳」

「田沼武能写真集『文士』序 - 山口瞳」田沼さんと知り合ったのは、昭和二十九年から三十年のことで、だから、ずいぶん長い交際になる。その頃、彼は年齢を偽っていた。というより、そのことをアイマイにしていた。私は、長い間、彼のほうが年長だと思って…

(巻三十五)トーストにのせるもろもろ暮の春(服部早苗)

(巻三十五)トーストにのせるもろもろ暮の春(服部早苗) 10月27日木曜日 銀行のATMに月詣り出かけた細君が崎陽軒の肉マンと焼売を買って帰宅した。崎陽軒のオバチャンが云うにこの肉マンは革命的な肉マンだとのことだそうだ。何が革命的かと云うとそのま…

「寿命というもの - しりあがり寿」人並みといふことから

「寿命というもの - しりあがり寿」人並みといふことからはっきりいって、自分がいつ死ぬかなんてのは、大地震から各種の事故やらの可能性もあるし、わかるはずがないんだけどね。でも世の中なんでも「納期」というものがないと予定が立てられないでしょ「人…

(巻三十五)年の暮眼鏡ずらして見る世間(清水れい子)

(巻三十五)年の暮眼鏡ずらして見る世間(清水れい子) 10月26日水曜日 朝家事、特になし。ICレコーダーに抜けていたBBCの番組を落とす。 昼飯喰って、昼寝せず。角川俳句が届いていると連絡があったので、散歩がてら受け取りに参る。図書館から都住3に回…

「冬日 - 高浜虚子」日本の名随筆20冬 から

「冬日 - 高浜虚子」日本の名随筆20冬 からけふも非常にいい天気で、枯れた柳の枝も真っ直つすぐに垂れて少しの風もなく、それに小春日和のいい天気が此間から続いて居てぶらぶら歩いて居ても少しの寒さをも感じない。けふは七宝会の忘年句会で、不忍池畔…

(巻三十五)作品としては未熟の入道雲(濱上こういち)

(巻三十五)作品としては未熟の入道雲(濱上こういち) 10月25日火曜日 朝家事。掃き掃除、洗濯。曇天、やや強風で迷ったが外干しにした。 顔本に甲府にお住まいと思われるおじさんから友達リクエストが入った。プロフィールの限りでは悪い人ではなさそうな…

「私の乗物恐怖症歴 - 横溝正史」日本の名随筆45狂 から

「私の乗物恐怖症歴 - 横溝正史」日本の名随筆45狂 から私が乗物恐怖症というやっかいな病気にとりつかれてから、もうかれこれ二十年になる。最初にその発作を自覚したのは、昭和八年ごろの夏のことだった。そのころ博文館の編集部にいた私は、家族一同を…

(巻三十五)物指しの違ふあなたと心太(平野みち代)

(巻三十五)物指しの違ふあなたと心太(平野みち代) 10月24日月曜日 氷雨とは云わぬが小雨が降るなかを買い忘れのミカンほかを買いに生協へ出かけた。雨ながら人出そこそこ。冬支度なされなされと、一角に手袋、襟巻き、冬帽子とカイロが置かれていた。 昼…

「猫の墓 - 夏目漱石」にゃんこ天国 から

「猫の墓 - 夏目漱石」にゃんこ天国 から早稲田へ移ってから、猫がだんだん痩せて来た。いっこうに小供と遊ぶ気色がない。日が当ると縁側に寝ている。前足を揃えた上に、四角な顎を載せて、じっと庭の植込を眺めたまま、いつまでも動く様子が見えない。小供…

(巻三十五)手に届く身近な願ひ星祭(萩庭一幹)

(巻三十五)手に届く身近な願ひ星祭(萩庭一幹) 10月23日日曜日 公団の賃貸住まいだ。保証人は要らないが緊急連絡先を家主に申告しなくてはならない。家主が店子ではない人に緊急連絡するというのだから、つまり死んでいたら連絡する先ということだろう。…

「陸海空 旅する酔っぱらい - ラズウェル細木」もう一杯、飲む?新潮文庫

「陸海空 旅する酔っぱらい - ラズウェル細木」もう一杯、飲む?新潮文庫旅といえば、まずはその土地での飲食が何より楽しみである。というより、私など飲食が旅の目的のすべてであるといっていい。旅先の土地の食べ物とそれに合う酒との出会いは本当に楽し…

(巻三十五)三門をくぐれば仏徒風青し(石田阿畏子)

(巻三十五)三門をくぐれば仏徒風青し(石田阿畏子) 10月22日土曜日 昨日一撮した空の写真を“Nothing. Just want to show the sky I awe this after.”とだけcaptionをつけて昨晩顔本に投稿したが、意外とreactionがあった。その写真です。 朝家事は特にな…

「退屈な日 - 東海林さだお」ヒマつぶしの作法から

「退屈な日 - 東海林さだお」ヒマつぶしの作法からつい、五年ぐらい前までは、だれにでも、退屈な日というものがあったと思う。なんにもすることがなくて、終日、ぼんやりと、ウロウロと過ごしてしまう、そういう日があったと思う。灰皿とタバコを持ち出し…

(巻三十四)立読抜盗句歌集

(巻三十四)立読抜盗句歌集 白日傘首ゆるやかに肩になる(山口優夢) 雪降るや人行き交ひて相触れず(山田露結) 割かんの男許さじ心太(岡田史乃) 割箸を祭の端に捨てにけり(小野あらた) 長き刃をいよいよ受くる鮪かな(鈴木総史) 花の昼そつなく紙を折れば鶴(小鳥…

(巻三十四)水飲んでいざ獅子舞のうしろ脚(内海良太)

(巻三十四)水飲んでいざ獅子舞のうしろ脚(内海良太) 10年21日金曜日 巻三十四は本日をもちまして読み切りです。追って一挙掲載いたします。 秋晴れの朝、4か月ぶりのお召しで会社へ出かけた。それも9時から打合せとのことで四年ぶりに朝の通勤電車に乗…

「校正について - 澁澤龍彦」増補版誤植読本から

「校正について - 澁澤龍彦」増補版誤植読本から かつて岩波書店で社外の校正係をやっていたことがあるので、校正に関して私はベテランのつもりであり、近ごろの編集者の校正の下手さ加減が目について仕方がない。「校正の神様」として有名なのは神代種亮で…

(巻三十四)この浜を知りつくしたる日焼かな(山本素竹)

(巻三十四)この浜を知りつくしたる日焼かな(山本素竹) 10月20日木曜日 3ヶ月に一度の泌尿器科検診のために平成立石病院へ出かけた。バスで葛飾区役所まで行きそこから5分ほど裏道を歩くだが、その途中にヤクルトの営業所があり、スワローズの試合日程が…

「余が言文一致の由来 - 二葉亭四迷」

「余が言文一致の由来 - 二葉亭四迷」言文一致についての意見、と、そんな大した研究はまだしていないから、寧[むし]ろ懺悔話をしよう。それは、自分が初めて言文一致を書いた由来-も凄まじいが、つまり、文章が書けないから始まったという一伍一什[いち…

(巻三十四)亀のせて石の日永のはじまりぬ(石川渭水)

(巻三十四)亀のせて石の日永のはじまりぬ(石川渭水) 10月19日水曜日 細君は美容室に出かけてくれて独り居を楽しむ。ちょっと前まではAVを楽しんだのだがここのところ体も心もそれを楽しまなくなってしまった。見過ぎとマンネリだろう。 男といふ性は峠…

「人の首 - 高村光太郎」

「人の首 - 高村光太郎」私は電車に乗ると異状な興奮を感ずる。人の首がずらりと前に並んでいるからである。人間移動展覧会と戯れにこれん称[たた]えてよくこの事を友達に話す。近代が人に与えてくれた特別な機会である。このところに並んでいる首は、美術…

(巻三十四)引き返すならこの辺り大花野(田中朋子)

(巻三十四)引き返すならこの辺り大花野(田中朋子) 10月18日火曜日 朝家事。明日、明後日と洗濯ができないので雨模様ではあったが中一日で洗濯を致す。 その後英聴し、一句捻る。 BBC耳順はぬ夜長かな https://www.bbc.co.uk/programmes/m00187xg を聴い…

「球場の雰囲気 - 池澤夏樹」読書癖 から

「球場の雰囲気 - 池澤夏樹」読書癖 からテレビが野球を変えたという説は正しい。たしかに中継のおかげで野球人口は格段に増えたし、球場に足を運ぶ人も多くなった。その一方で野球そのものがテレビっぽくなった。テレビ野球の特徴は、第一にボールを映して…

(巻三十四)何の鮨あるか見ている生身魂(西村麒麟)

(巻三十四)何の鮨あるか見ている生身魂(西村麒麟) 10月17日月曜日 朝家事。拭き掃除とエアコンのフィルター掃除。 小雨のなか、明日、明後日、明明後日(「しあさつて」と発音するとのこと。この歳まで「ひあさって」と云ってきた。)と買い物ができないので…

「江戸前の釣り - 竹内始萬」日本の名随筆4釣 から

「江戸前の釣り - 竹内始萬」日本の名随筆4釣 から秋になると毎年何回か江戸前のハゼ釣りに出ます。ハゼ釣りも数を競うような釣りになると、のんびりしたところなど、なくなってしまいますが、五、六人の同船で世間話をしたり、戯談をいったりしながら、ほ…