2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

(巻二十八)大正のロマンが好きと色の足袋(尾畑悦子)

(巻二十八)大正のロマンが好きと色の足袋(尾畑悦子) 12月31日木曜日 大晦日につき、今年のうちに掲載致しました。 毎年大晦日はこの句にしている。 大晦日定めなき世のさだめ哉(西鶴) 今年は本当にそんな大晦日になってしまった。この先どうなるのだろう…

句集

令和二年 大樟に極まる今年見しものの 現世に強き妻いて懐手 在宅のたまに出ていく歳の暮 木枯しや後は野となれ山となれ 血圧の上がる寒さとなりにけり 天高く寺の掲示や出来不出来 柿色になつたかしらと抜ける路地 読書妻君の偏差値十高し 息吹きて虫を退治…

1/4「四畳半襖の下張 - 金阜山人戯作」

1/4「四畳半襖の下張 - 金阜山人戯作」 今年曝書の折ふと廃?の中に二三の??を見出したれば暑をわすれんとて浄書せしついでにこの襖の下張と名づけし淫文一篇もまたうつし直して老の寝覚のわらひ草と(は)なすになん 大地震のてうど一年目に当らむとする日…

(巻二十八)ストレスは吐き出すものと鵙高音(物江晴子)

ストレスは吐き出すものと鵙高音(物江晴子) 12月30日水曜日 細君は生まれ変わるつもりのようで、小鳥に生まれ変わりたいとか言い出した。(生まれ変わるとすれば鵯だろうと思う。百舌鳥かな。) 小鳥も楽じゃないと思うよ。雀の巣なんかはしょっちゅうカラ…

2/2「鍵(郁子・四月十七日) - 谷崎潤一郎」新潮文庫 鍵・瘋癲老人日記 から

2/2「鍵(郁子・四月十七日) - 谷崎潤一郎」新潮文庫 鍵・瘋癲老人日記 から 十時半に風呂が沸いたことを二階へ知らせた。夫が入浴したあとで私も浴びた。(私は今日は二度目である。さっき大阪で浴びたので、浴びる必要はなかったのであるが、夫に対する体裁…

(巻二十八)糸電話古人の秋につながりぬ(摂津幸彦)

(巻二十八)糸電話古人の秋につながりぬ(摂津幸彦) 12月29日火曜日 散歩: 今日は駅前の肉屋で牛肉を買って来いと云う。生協にも牛肉はあるが、気合いが入っている。とは行っても、長崎、山形、三重(松坂)のなかの長崎のすき焼き用を買って来いというのだ…

1/2「鍵(郁子・四月十七日) - 谷崎潤一郎」新潮文庫 鍵・瘋癲老人日記 から

1/2「鍵(郁子・四月十七日) - 谷崎潤一郎」新潮文庫 鍵・瘋癲老人日記 から 夫に取って重大な事件の起った日、私に取っても重大な日であったことに変りない。事に依ると今日の日記は生涯忘れることの出来ない思い出になるのではないかと思う。従って今日一…

(巻二十八)鳥雲に身は老眼の読書生(松本たかし)

(巻二十八)鳥雲に身は老眼の読書生(松本たかし) 12月28日月曜日 散歩: ドラッグ・ストアに寄って洗剤やキッチン・ペーパーを買って来いとのことであった。ついでにちょうどメモ帳もほぼ使い切ったので新年用のものを買った。 専ら買い物メモに使ってい…

「両親の静かな死が僕に悟りを - 安部譲二」死をめぐる50章 から

「両親の静かな死が僕に悟りを - 安部譲二」死をめぐる50章 から そんなことを絶対に相手に気取られまいとして、ことさら豪気に振る舞っている僕ですが、正直なところは、人並み外れた臆病者なのです。 今までの人生を、ずっと「怖いもの知らず」のポーズ…

(巻二十八)体型に合はぬ外套文語文(前田半月)

(巻二十八)体型に合はぬ外套文語文(前田半月) 12月27日日曜日 寝起きに顔本を開くと英日俳句が入っていた。 don't judge me, old crow I’m not part of your murder and my aim is good I usually don't like crows but one day somehow on the snow の…

「金田一家をめぐる誤解 - 金田一秀穂」ベスト・エッセイ2006から

「金田一家をめぐる誤解 - 金田一秀穂」ベスト・エッセイ2006から 金田一というのは名前がいけないと、ずっとおもっている。 これが鈴木とか田中であればどんなにいいだろうと思ったことは数知れない。 銀行や、病院で「キンダイチさ~ん」と名前が呼ば…

(巻二十八)夜長なほ長かれともの書きしころ(鷹羽狩行)

(巻二十八)夜長なほ長かれともの書きしころ(鷹羽狩行) 12月26日土曜日 今日から巻二十八です。この巻が終わるころはもう春でしょう。 If Winter comes, can Spring be far behind? - Shelly 子供電話相談室を聴きながら昼飯をいただいた。科学者が「なぜ…

Waterfront Weekly

Waterfront Weekly 植物検疫―オーストラリアの植物検疫情報表更新12月25日 Plant Quarantine updates Australia’s quarantine conditions information Plant Quarantine office has been collecting information on other countries’ plant quarantine requi…

「随筆かエッセイか - 向井敏」傑作の条件 から

「随筆かエッセイか - 向井敏」傑作の条件 から 「随筆とエッセイという用語を人によって使い分けているね。北條秀司、井伏鱒二、それに丸谷才一の文章に対しては随筆、林達夫、安藤次男、奥本大三郎の文章についてはエッセイ、と。伊藤整の場合もエッセイ…

巻二十七立読抜盗句歌集

巻二十七立読抜盗句歌集 古き家の柱の色や秋の風(三島由紀夫) 油揚げ一枚だけであとは秘儀(木村聡雄) 一振りのセンターフライ夏終る(八木忠栄) 葡萄熟れ火種のような婆がいる(下山光子) 戦死せり三十二枚の歯をそろへ(藤木清子) いちにち物いはず波音(種田山…

(巻二十七)よろこべばしきりに落つる木の実かな(富安風生)

(巻二十七)よろこべばしきりに落つる木の実かな(富安風生) 12月25日金曜日 本日の句をもちまして巻二十七の読み切りでございます。巻二十七はこのあと一挙掲載いたします。 血圧の薬、「アムロジピンOD錠2 5mg」と云うのを服用しているが、細君が持っ…

「「不注意にも深い嘆息」 - 藤原智美」ベスト・エッセイ2007

「「不注意にも深い嘆息」 - 藤原智美」ベスト・エッセイ2007 オオサンショウウオを無性に見たくなる。ちょっとした発作のようなもので、ごくたまにその奇妙な欲望がわき起こる。先日も雨の中を上野動物園に出かけた。引き金になったのはあるニュースだ…

(巻二十七)残る蚊をかぞへる壁や雨のしみ(永井荷風)

(巻二十七)残る蚊をかぞへる壁や雨のしみ(永井荷風) 12月24日木曜日 雨にもならず、雪にもならず、ただ曇り。 細君は細やかなクリスマス・イブ・ディナーの食材を仕入れに生協へ出かけた。二人になっても三十年来の料理を量を減らして作ってくれる。 尻…

4/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

4/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 荷風の老人趣味は、庭いじりだけではなく、日常のさまざまなところに見ることが出来る。たとえば荷風は原稿を筆で書いた。従って硯や墨を大事にした。 昭和三年二月十五日、「空澄みわ…

(巻二十七)老残のこと伝はらず業平忌(能村登四郎)

(巻二十七)老残のこと伝はらず業平忌(能村登四郎) 12月23日水曜日 顔本句会さんも承認してくれましたが、投稿作品を拝見するにちっと早まったかの感はございますなあ。時々送られてくるコミュニティー誌や金融機関の広報誌に投稿俳句の欄があり、勉強さ…

3/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

3/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 今日、荷風というと、やはり「老人」のイメージが強い。帽子にコートに雨傘を持った少し寂し気な老人が隅田川べりの町や、下町の路地を歩いている。それは読者の方が勝手に作り上げた…

(巻二十七)陰に生る麦尊けれ青山河(佐藤鬼房)

(巻二十七)陰に生る麦尊けれ青山河(佐藤鬼房) 12月22日火曜日 細君が金策に出かけたので午前中はお暇をいただいた。 現世[うつしよ]に強き妻いて懐手 (駄楽) 一人になって自由になるとろくなことをしない。ネットで“ 陰に生る麦”なんかを観賞してまし…

2/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

2/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から なぜ荷風は「余生」とか「万一の準備」「余命いくばくもなき」と、大仰とも見えることを書いたのか。なぜいつも死を自分の近いところに置いたのか。 まず、荷風が本当に身体が弱かった…

(巻二十七)其人の名もありさうな春野哉(正岡子規)

(巻二十七)其人の名もありさうな春野哉(正岡子規) 12月21日月曜日 とにかく午前中は意のままにならない。今日は洗濯の後、窓の敷居の砂払いを仰せつかり、郵便局に息子宛の特定記録郵便を出しに行き、ついでに細君のクリニーングをアップして、戻ってか…

1/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

1/4「「老い」の見立て - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 荷風が「断腸亭日乗」を書き始めたのは、大正六年九月、三十七歳、数え年三十九歳のときである。大正六年といえば、荷風はすでに「あめりか物語」(明治四十一年)、「ふらんす物語」(明…

(巻ニ十七)聞き耳をたてしが秋の声ならず(相生垣爪人)

(巻ニ十七)聞き耳をたてしが秋の声ならず(相生垣爪人) 12月20日日曜日 昨晩の弁当が重すぎて今朝の朝食を食べる気になれず。紅茶だけにしておいた。弁当は塩加減がキツいのでどうしてもお茶を飲む。夜中にトイレは嫌だなと思いながら寝床に入ったが幸い…

「ほんのりと匂うもの - 岡井隆」ベスト・エッセイ2006から

「ほんのりと匂うもの - 岡井隆」ベスト・エッセイ2006から 死を歌った歌としては、斎藤茂吉の、 暁[あかつき]の薄明に死をおもふこともあり除外例なき死といへるもの がしばしば話題になる。読者の共感しているのは「除外例なき(例外なくすべての人…

(巻二十七)消防も野次馬も去り守宮(いもり)鳴く(内藤一漁)

(巻二十七)消防も野次馬も去り守宮(いもり)鳴く(内藤一漁) 12月19日土曜日 部屋の掃除、ダクトのフィルターの張り替え、エアコンのフィルター掃除、読まない新聞の片付け、が午前中の作業でした。 年つまる終りは速き砂時計(これまつみつを) 散歩: 寒い…

Waterfront Weekly

Waterfront Weekly 関税局―英日CEPAのFAQを公表、EU日の公開資料を改定 12月18日 CTB publishes FAQ for UK-JP CEPA and reviews the published materials for EU-JP EPA. UK-JP CEPA FAQ 日英EPAに関する資料(2020年12月4日国会承認) : 税関 Japan Customs…

「行政調査を求める通報文の真偽と偽計業務妨害の成否 - 早稲田大学教授杉本一敏」

「行政調査を求める通報文の真偽と偽計業務妨害の成否 - 早稲田大学教授杉本一敏」 大阪地裁平成30年2月26日判決 【論点】 法令違反があったとする通報に基づいて行政機関による調査が実施されたが、法令違反の事実が認められなかったという場合に、通…