2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「涙ぼろぼろ廃線旅行 - 嵐山光三郎」日曜日の随想二〇〇八 から

「涙ぼろぼろ廃線旅行 - 嵐山光三郎」日曜日の随想二〇〇八 から ここ一年間、日本全国の鉄道廃線跡を旅してきた。廃線旅行というと、「いよいよ廃墟めぐりの心境ですか」と同情されるが、なに、若いときから廃墟願望があった。 廃線になると、みるまに軌道…

The Art of Fiction - David Lodge  - Preface

The Art of Fiction - David Lodge - Preface For twelve months between 1990 and 1991, the poet James Fenton contributed a weekly column to the book pages of The Independent on Sunday entitled “Ars Poetica”, the title of a famous treatise o…

(巻二十八)蜻蛉の行く先々の勘違い(渡辺美代子)

(巻二十八)蜻蛉の行く先々の勘違い(渡辺美代子) 1月30日土曜日 毛布カバーをはずして洗濯をした。洗濯をするのは洗濯機で、毛布カバーを外して、洗濯機に入れて、洗い終わった毛布カバーを干して、乾いた毛布カバーに毛布を入れるのは私の仕事で、ああせ…

Waterfront Weekly

Waterfront Weekly 関税局―特別緊急関税の発動―(第19.05項のベーカリー製品製造用の混合物及び練り生地) 2月1日発動 1月29日 CTB decides triggering special emergency duty on some bakers’ ware MOF-CTB announces as under that the tentative duty …

「コンパクトなものが好き - 赤瀬川原平」随想二〇一一 から

「コンパクトなものが好き - 赤瀬川原平」随想二〇一一 から カメラでも車でも、コンパクトなものが好きだ。昔のイギリス車のミニクーパーなんて、見ているだけでも楽しそうで、欲しくなる。 コンパクト願望のいちばんわかりやすい例だ。でもミニクーパーは…

(巻二十八)敬老日昔の人と言はれけり(菊地潔)

(巻二十八)敬老日昔の人と言はれけり(菊地潔) 1月29日金曜日 午前中は白鳥生協への御供を致した。その後洗濯をする。 午後は散歩とドラッグストアでトイレルックのお買い物。ここでボケが出た。詰め替え用を間違えて買ってしまい、帰宅して叱られた。しゅ…

「まして悪人をや - 植松一信」93年度新鋭随筆家傑作撰から

「まして悪人をや - 植松一信」93年度新鋭随筆家傑作撰から つい三、四年前から、うちのお寺で何か行事があるたびに、住職から手伝い要請の電話がかかってくる。たとえば、 「○月○日に報恩講法要を営みますので、また手伝ってくれませんか?」とか、「永…

(巻二十八)刈りてゆくほどに晩稲の穂のたわわ(中川萩坊子)

(巻二十八)刈りてゆくほどに晩稲の穂のたわわ(中川萩坊子) 1月28日木曜日 細君のガラケイからガラホへの移行作業が続いています。今朝はSDカードの引越しをしたのですが、ガラホの方ではSDカードへのアクセスが分かり難く苦戦です。サービス・センターの…

「甲武線 - 島崎藤村」河出文庫 むかしの汽車旅 から

「甲武線 - 島崎藤村」河出文庫 むかしの汽車旅 から 甲武線に添うて市内にある小停車場は、建物としては簡便を主にしたようなものだが、位置に変化があって、通り過ぎるたびに飽きないここちがする。飯田町の停車場から改札口を出て石段を上ろうとするとこ…

(巻二十八)言い訳のように夫のシャツも買う(西野恵子)

言い訳のように夫のシャツも買う(西野恵子) 1月27日水曜日 朝のお勤め: 四部屋の掃除、洗濯、風呂と洗面台の排水管の掃除でありまして、ほぼ一時間で終りました。 散髪: 気温が15度を超えると云うので午後床屋さんに出かけた。考えることは同じようで…

「新旧東京雑題 - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り から

「新旧東京雑題 - 岡本綺堂」旺文社文庫 綺堂むかし語り から 祭礼 東京で著しく廃れたものは祭礼[まつり]である。江戸以来の三大祭りといえば、麹町の山王、神田の明神、深川の八幡として、ほとんど日本国じゅうに知られていたのであるが、その祭礼はむ…

(巻二十八)身に入むや是清の書の「不忘無」(神蔵器)

(巻二十八)身に入むや是清の書の「不忘無」(神蔵器) 1月26日火曜日 午前中、細君は金策に出かけて一人で読書して過ごす。ただし選んだ本が悪かった。 「メスをめぐるシビアな競争が脳を大きくする - 澤口俊之」知恵の森文庫 脳がわかれば世の中がわかる …

3/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

3/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 「断腸亭日乗」の初期には、こういう単身者の静かな生活が淡々と記述されている。清々しい孤独である。大正十二年五月二十九日には、「終日家に在り。風呂場を掃除す」とある。後期、晩年…

(巻二十八)涼しさや右から左に抜ける耳(岡本久一)

(巻二十八)涼しさや右から左に抜ける耳(岡本久一) 1月25日月曜日 今日も午前中に白鳥生協への買い物に同行致しました。 午後は散歩に出て、ドラッグストアで寝酒用の安酒と柿ピーを仕入れた。ついでに亀有生協の様子を覗いて一撮致した。 本日は六千八百…

2/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

2/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 荷風は、自分が単身者であることにつねに自覚的だった。そして単身者だから出来るひそかな楽しみごとの世界に入っていった。大正から昭和のモダン都市東京には、そういう匿名の個人が身を…

(巻二十八)才無くて鶴女房と夜なべかな(星野石雀)

(巻二十八)才無くて鶴女房と夜なべかな(星野石雀) 1月24日日曜日 外出せず。午前中に掃除機かけ、ガス台上の換気扇のフィルター取り換えなどを致す。 外を見て障子を閉めてをはるなり(今井杏太郎) 細君の朝の話は坂本スミ子さんの逝去と学芸大の準教授の…

1/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から

1/3「単身者の文学 - 川本三郎」岩波現代文庫 荷風と東京(上) から 「持てあます西瓜ひとつやひとり者」 随筆「西瓜」(昭和十二年)の冒頭にかかげられた荷風の「駄句」である。「日乗」昭和八年十一月十一日の記述にもこの句がある。 「或年の夏、友達から…

(巻二十八)貧しきは貧しきなりに赤い羽(堀川雄次郎)

(巻二十八)貧しきは貧しきなりに赤い羽(堀川雄次郎) 1月23日土曜日 今夜から明日にかけて雪との予報だ。この場末でも3センチくらい積もるかもしれないという。 年寄れば雪一寸で備蓄かな(駄楽) 氷雨の中を生協が休店中なのでバスで駅前まで肉、パンなど…

Waterfront Weekly

Waterfront Weekly 東京税関―成田・羽田二空港貨物取扱量統計2020年分及び12月分 1月22日 Cargo handling volume at two airports in Tokyo area Tokyo Customs shares cargo handling figures at Haneda and Narita Airport for 2020 calendar year and Dec…

2/2「木かげの径 - 小塩節」こころを言葉に(エッセイのたしなみ)-日本エッセイスト・クラブ編 から

2/2「木かげの径 - 小塩節」こころを言葉に(エッセイのたしなみ)-日本エッセイスト・クラブ編 から 日本の神社は必ず大きくて堂々たる木々に囲まれ包まれている。鎮守の杜[もり]というように、森に包まれていると言っていいだろう。コンクリート砂漠にな…

(巻二十八)不景気の風の吹き込む慈善鍋(岡本佐和子)

(巻二十八)不景気の風の吹き込む慈善鍋(岡本佐和子) 1月22日金曜日 細君と白鳥生協に買い物に出かけた。方向音痴だからなかなか道を覚えられないようだ。 道も覚えられないが、スーパーの中の売り場も覚えられないので野菜、魚、肉、卵、乳製品、雑貨とご…

1/2「木かげの径 - 小塩節」こころを言葉に(エッセイのたしなみ)-日本エッセイスト・クラブ編 から

1/2「木かげの径 - 小塩節」こころを言葉に(エッセイのたしなみ)-日本エッセイスト・クラブ編 から 先ごろ、信州長野市に小さな旅をした。久しぶりのことだった。近頃は国内の幹線交通が便利になってしまって、北海道や九州でさえ私の住む東京から日帰りが…

(巻二十八)医者のいふ諸悪が好きで梅雨ごもり(佐治朱港)

(巻二十八)医者のいふ諸悪が好きで梅雨ごもり(佐治朱港) 1月21日木曜日 今日も好天でほぼ無風でありました。この季節当地では衣類に黴が生えるということはないがタンスから礼服などを出して風通しをした。 散歩: いつもの高校コースを歩いたが静かで変…

「滝田ゆうと玉の井と - 吉行淳之介」日本の名随筆 色街 から

「滝田ゆうと玉の井と - 吉行淳之介」日本の名随筆 色街 から 現在、私の机の上に、玉の井界隈の精細をきわめた地図があって、これは滝田ゆう手描きのものである。「コクヨ」の原稿用紙の裏を全面使ったものだが、学校や神社や稲荷や交番はもちろん、カドの…

(巻二十八)巴里は夏マダムの犬の躾け良し(春田珊瑚)

(巻二十八)巴里は夏マダムの犬の躾け良し(春田珊瑚) 1月20日水曜日 細君は歯医者さんに出かけた。歯磨きの指導だそうだ。昼前に帰ってきた。夫婦共々外出は医者通いだけだ。行楽だなんぞと出歩くと金が掛かるだけでろくなことはない。閑居して書に親しみ…

「親と子 - 沼口満津男」93年度新鋭随筆家傑作撰から

「親と子 - 沼口満津男」93年度新鋭随筆家傑作撰から 私には二人の男の子がいる。 将来のことを考えると、私は医者になることが最善であると思った。そのことを私は二人の子供にいいきかせ、医者になるための教育をうけさせて、育てあげてきた。 一人は小…

(巻二十八)蚊喰鳥ネオンは語りはじめたる(山田弘子)

(巻二十八)蚊喰鳥ネオンは語りはじめたる(山田弘子) 1月19日火曜日 近所の亀有生協が改装で来週一週間休業する。駅前に行くという選択肢もあるが、歩いて七、八分のところにある白鳥生協に細君と様子見に出かけた。ほぼ一本道であるが車道と歩道の分離が…

「楽天家と厭世家 - 小此木啓吾」00年版ベスト・エッセイ集 から

「楽天家と厭世家 - 小此木啓吾」00年版ベスト・エッセイ集 から 厭世家というと、寒々としたどんよりと曇った空のもと、あまり太陽の明るい輝きに恵まれない、北欧の人々が浮かぶ。たとえば、コペンハーゲンの哲学者、ゼーレン・キルケゴールは『死に至…

(巻二十八)文弱の亭主の好きな貝割菜(澤木欣一)

(巻二十八)文弱の亭主の好きな貝割菜(澤木欣一) 1月18日月曜日 泌尿器科の定期検査で駅前に出かけた。医者に行くときはバスに乗ることにしている。バス停で待っていると僅かではあるが雪のらしいのが舞ったような気がした。 風花の一片にして遠ながれ(皆…

「引札 - 井伏鱒二」日本の名随筆23 天野祐吉編 広告 から

「引札 - 井伏鱒二」日本の名随筆23 天野祐吉編 広告 から 私は引札を蒐集する趣味を持つやうになつた。この点、人間五十すぎると蒐集癖が出て来るといふ説に符合する。 引札、すなはち披露の招帖である。私が子供のころ田舎では、引札のことを散紙の略で…