(巻十七)一樹のみ黄落できず苦しめり(穴井太)

イメージ 1

2月8日木曜日

消防博物館のあと、日比谷図書館にまわり俳句界2月号を閲覧した。
今日はちゃんとお休みを戴いての図書館通いなので俳句収集も良心の呵責なしにのびのびといたした。

書き留めた句は:

亀鳴くや普通の人の普通の日(亀田虎童子)

金沢の見るべきは見て燗熱し(西村麒麟)

イマジンを聴くたび孤独雪の夜(中尾公彦)

仕方なささうな貌して鴨流れ(仙田洋子)

夕鰺を妻が値切りて瓜の花(高浜虚子)

紅梅はおづおづと咲き未知の老(鍵和田)

春なれや綻び始む隠し事(宇野順二)

湯豆腐のをどり始めが掬い時(野澤星彦)

役割を果たして晴れて落し水(萩原昇風)

日比谷公園には霞門から入った。その池の淵に紳士が佇みときどき手元のメモをチラリチラリと見ている。

スピーチを寒き池辺に諳んずる(潤)

と拝察いたした。
このあたりの方であろうから、偉いお役人さんか、一流会社の偉いさんであろう。時間は四時を過ぎていたから結婚式ではないだろう。レセプションか祝賀会か?しくじるわけにはいかない大仕事なのであろう。

雪の日や雪のせりふを口すさぶ(中村吉右衛門)

やはり、見せるために置いてあるものではだめだ。歩いて、ふと目に止まるものに見るものがあるな。

歩かねば芭蕉になれず木下闇(吉田未灰)