(巻十一)長袖を離さずにいる走り梅雨(馬場美智子)

6月15日水曜日

過日古い家計簿の細断を頼まれ、破っておりましたら、25年ほど前の今頃の家族旅行の費用明細メモが出てまいりました。
息子が三才くらいで、8月から私が比国に単身赴任する前の思い出作りの家族旅行でした。行き先は鎌倉で、私学共済の宿に二泊という質素な家族旅行でした。

大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて 裂けて散るかも (実朝)

そのメモを見ながら細君と思い出を振り替えりましたが、船橋から鎌倉までの往復をグリーン車に乗ったとの記録がありました。「そのくらいは贅沢ではなかったわよね?」と細君は呟いておりました。
このように、慎ましく所帯回しをしてくれたお蔭でなんとか自立した老後に出来そうです。

今日、昔の野球仲間と船橋で飲むのですが、旅と思い品川から船橋までグリーン車に乗りそんな昔を思い出しました。770円の贅沢を反省しながら行く末など考えてなどいたしました。


野球チームの飲み会にはチームメート十二人が集まりした。同窓会とかクラス会は苦手な私ですが今宵は楽しいお酒が呑めました。
72歳になるリーダーは癌を克服したそうで、相変わらず内股で、「俺はちがいぞ!」と硬式経験者であることを誇示されていましたし、捕手兼マネージャーだった豆ちゃんは宴会を仕切ってくれていました。チームメートとして江戸川の河川敷で遊んでから四十年弱が過ぎましたが、全員生存です。

菜の花や渡しに近き草野球(三好達治)