(巻十三)投げられて返せぬ言葉暖炉燃ゆ(みどり)

1月11日水曜日

今朝早くリックを背負った男子児童と父親が駅に向かっていた。私立中学校のお受験が始まったようだ。

受験子やちからになれぬ父連れて(潤)

我輩も三校ほど付き合ったが、校門前の塾応援団の幟と檄はちょっと異様なものと感じた。15年以上前でそうであったのだから今はさぞかしであろう。

鯉幟影のじたばたしていたり(山田真砂年)

受験予備校といえば、代ゼミが消えて、老舗で続いているのは駿台くらいのものですか?有名中学には四谷大塚でしたが、あまり聞きませんね。

10歳から試験人生に入り、

まだ夫に試験のありて夜食かな(萩谷幸子)


今日は席を譲られないように気をつけて、反対側のドアにへばりついた。座るのが楽かといえば山手の7駅くらいなら立っている方がよい。着膨れている両隣りが肘を張ってコチコチやっていると肩身が狭く疲れる。それに、“てめえ”が場所を取りすぎているのに睨む奴までおる。

隣席を一切無視し毛糸編む(右城暮石)