(巻十四)如月の小便小僧渇き切る(常見知生)

2月6日月曜日

電気ビル裏のプロントが改装休業に入った。日課である朝の大黒様参拝があるので有楽町駅での途中下車は外せない。
有楽町駅高架下にもプロントがあるので河岸をそちらに変えてみた。

近松忌響(とよ)む高架を上に酌む(秋元不死男)


この店も煙草を吸いたい客で繁盛していて、レジで注文のときには二階の喫煙席は満席であると言われた。“喫煙フロアーの立ち席カウンターでちょっとお待ち頂ければ空き次第ご案内します。”と云うことなので待つことにした。すぐに空いたとのことで今朝は無事着席できたが、毎朝煙草が吸えるかどうか不確実性が残る朝食の一時になりそうだ。

他郷にて駅の煖炉にすぐ寄らず(桂信子)

公の場所で喫煙処があるのは新橋駅前の汽車の横と日比谷公園の有楽門そばくらいしか知らない。“ここを出たら一日煙草は吸えない。”と皆さん一生懸命に吸うものだから、天井が低い高架下の二階はもうガス室に近い状態である。

たばこ屋の葦簀囲ひの喫煙所(鳳信子)

いずれは喫茶店を含めてどこでもタバコは吸えなくなるだろうから、そろそろ観念いたすか。土日は吸わないんだし、会社辞めれば吸えないんだし。

熟柿皆承知年貢の納め時(高澤良一)

角川俳句二月号投稿句から:

箸で食ふ体育の日のパスタかな(田中喜翔)

書を読みて夫婦語らぬ夜長かな(大内純子)

方言の滑りよろしき新酒かな(中原伸二)

を書き留めた。