(巻十三)一瞬の涼し美人とすれ違ふ(稲木款冬子)

12月28日水曜日

今日が仕事納めですので、有楽町駅の大黒様に一年の御加護をお礼申し上げた。

大黒に一年を謝し五百円(潤)

いつもは、お腹を摩り、頭を摩り、小槌を摩り現世利益をお願いするのであるが、今朝は両手を合わせてただただ無事に一年を過ごせたことを感謝いたしました。


会議室で乾杯のあと、神田のコーラクで軽く呑んだ。警視庁鑑識課足跡班の活躍を扱ったテレビを見ながらの楽しい一人酒である。いつもはコップ酒二杯であるが、年末スペシャルで三杯いただいた。鑑識課足跡班を隠語では“ゲソ”と言うそうだが、なかなかのものである。京都府警では四発全弾を足に命中させた部長がいたという。

交番はいつもからつぽ花曇(半田陽生)

では困る浮き世となってきたのだ。

呑んでの帰り道、奢ってグリーン車にしたが、後ろの席の老人二人が相続の話を始めた。
『A老人の知り合いが独居死して六千万ほどが残ったがその独居老人には妻も子もいない。兄弟はいたがいずれも他界しているので、相続人は兄弟の子供たち、つまり甥や姪になる。相続人は総勢15人になる。やはり、ゴタゴタや面倒が起こっている。』
が話の趣であった。

ちびちび酒を啜りながら浮き世の話に耳を傾けた。

登場人物多く疲るる秋燈下(高崎公久)