(巻十四)五十なほ待つ心あり髪洗ふ(大石悦子)

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3月20日月曜日

三連休といっても勝手気儘にできる時間はない。そんな中お昼過ぎにお暇を頂き床屋に行き、序でに時間をかすめて昼の酒を一合頂いた。
自宅で簡単ではあるが午飯は食べてしまったので、定番の海鮮丼では重すぎる。揚げ物は食いたくたいし、煮物は付だしで出てくる。今日は手羽先の煮付けであった。初鰹だけが鰹ではあるまいと季節感無しに鰹の刺身にしてみた。確かに切り身は他の魚の刺身より厚い。

鮪より分厚く降ろす初鰹(上田信隆)

結論から言えば、やめておけばよかった。鮪や鰹といった高級魚の刺身より、我輩は鯵、秋刀魚、鰯の刺身の方が好きであるし、こはだ酢、しめ鯖などもなかなかよろしい。それにあの値段では水っぽい鮪や鰹しか出せぬのも分かる。値段の妥当な大衆魚の方が物として美味いのではなかろうか。。

子鰯も鯵も一ト塩時雨かな(山口瞳)

今日は周囲の話に耳を傾けず、酒を舐めながら岡本綺堂の随筆「火に追われて」を筆写した。関東大震災の体験記である。コチコチと書き写していくが、つっかえずにスラスラと進む文章である。
実は、綺堂の前に八雲の随筆「草雲雀」の筆写を試みたが中盤の文体が嫌になり、途中で放棄した。漱石荷風、潤一郎、綺堂と江戸・東京風と言うのがあるのかないのかは知らないが、我輩としてはこれら大家の文章を写すのが楽しい。

北向の貸家のつづく寒さかな(岡本綺堂)


そして、明日は病院のあと、菅野・中山に荷風の終焉の居を訪ねようと考えている。ところがどうも天気が味方してくれないようだ。

稲妻や世をすねて住む竹の奥(永井荷風)