(巻十四)父は子に家持という名を付けた旅人という名の錘のように(星ひかり)

3月30日木曜日

衣食住を親掛かりで年間の小遣いが二、三百万円というバラサイト貴族なのだから、遊び心なのだろうが、息子がビット相場に手を出しているのが判り、細君と二人でお諌めした。先物空売り信用取引などと発展されたら大変なことになってしまう。

相場師がじつと見ている蟻地獄(木俣正幸)

しかし、思い出せばバブルの頃千株単位の売り買いで調子のいいにときは月に十万くらい小遣いを稼いでいた。弾けて製薬会社の千株が塩漬けになり八十万の損をしたが、結局のところ損得なしで株は止めた。

志ん生のびんぼう自慢梅漬ける(望月秀子)

僅かな金額であっても、世間様を相手にして“頭”だけで金を稼ぐという所業はちょっと自惚れの強い若者にはやってみたいことなのであろう。それにしても世界初の先物というシステムを編み出したのが堂島とは。

証券に長けたる女西鶴忌(田島もり)