2016-10-13から1日間の記事一覧

丸谷『文章読本』第六章言葉の綾、引用名文、谷崎潤一郎 「陰翳禮讃」から

もし日本座敷を一つの墨絵に喩へるなら、障子は墨色の最も淡い部分であり、床の間は最も濃い部分である。私は、数寄を凝らした日本座敷の床の間を見る毎に、いかに日本人が陰翳の秘密を理解し、光りと蔭との使ひ分けに巧妙であるかに感嘆する。なぜなら、そ…

(巻十二)涼風に晒して残る薄き自我(北原喜美恵)

10月12日水曜日 上着を羽織る人が増えてきた。同年輩のセミ・リタイア組は制服のように紺の上着とグレーのズボンが多い。 冬服の紺ネクタイの臙脂かな(久保田万太郎) 私もそれであるが、時々ベージュのチノパンにすることがあり、そのときは細い柄入りの…