2020-05-13から1日間の記事一覧

「梓川 - 浦松佐美太郎」文春文庫 教科書でおぼえた名文 から

上高地へ入る少し手前、焼岳の煙を背にするあたり、林の中の道を幾曲り、川瀬の音が急に高くなって来る。梓川は、ここのところで急にくびれて、力強い流れとなる。岩の上を乗り越えて、落ちてゆく水は、滑かに早い。目にも止まらない早さで落ちてゆく水を眺…

(巻二十五)仮の世の真理に触れて卒業す(木田琢朗)

(巻二十五)仮の世の真理に触れて卒業す(木田琢朗) 5月12日火曜日 朝方、霧雨のなかを細君は医者に薬をいただきに出かけた。 あたしは机で居眠りなどして静かな時間を過ごした。 死に際にとつて置きたき春の雨(高野ムツオ) 昼前に細君はサンドウィッチを買…