本日の句歌

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句歌控帳「立読抜盗句歌集(巻七)」


風鈴をはずし虚空に風還す(梶原ひな子)


朝の山手線で女子学級委員長に統率された、白シャツ、白セーラー服の中学生修学旅行集団といっしょになり、委員長さまから席など促していただいた。
「男子!次で降りるのよ!」との指示が出て、白い集団は整然と東京駅で下車して行った。


更衣 駅白波と なりにけり (綾部 仁喜)


小笠原に旅している、文ちゃんからメールが届いた。
天気が良くないようだ。
ネットで小笠原の天気を見ると、二三日は曇雨と予報されている。

船窓の さみだれている 帰航かな (杉山加織)

となるのかな?

こちら、都内は好天で、薫風にさそわれて午後はズル休みすることにした。
かねて、訪れたいと思っていた向島百花園を目指した。

地下鉄浅草線の大門駅は冷房が効いていて心地好い。
ここから、京成曳舟までは二十分くらいであろう。
この地下鉄路線に峠はないが、隅田川をくぐるので上り下りは感じる。


地下鉄にかすかな峠ありて夏至(正木ゆう子)


京成曳舟駅からは歩いて十分くらいである。
百花園までの表通り、明治通り、沿いにマンションがいくつかあるが、どれにも尻か頭に“百花園”と入れている。
ある程度はブランド力があるのだろう。

百花園の入り口に通じる脇道に入ると、少し昔を感じる家並みになる。
少し昔とは、バブル以前の墨東のことである。

入園料金は百五十円である。六十五歳以上は七十円とあった。

この前の江戸川ゴルフ場では、先に身分証明の呈示を求められたが、
ここでは、何も聞かれず、百五十円の切符を切られたが、喜んでいいのか?


三時前の園内には、七十円で入園したと思われる方々がポツポツとみとめられるが、皆さん棚の下の日蔭でゆるりとされている。
鳥の囀りは賑やかであるが、まだ飛行時間帯ではないようだ。

園内のところどころに俳句短歌を記した立て札がある。
第一札は山上憶良秋の七草の歌である。

秋の野に咲きたる花を指折(およびお)りかき数うれば七種の花


ほか、芭蕉の一句を除けば、江戸期の風流人の句のようである。


書き留めた句は

朧夜やたれをあるじの墨陀川(其角堂永機)

水や空あかり持あう夜の秋(北元居士)

限りなきそらの要や望の月(最中堂秋耳)


4時近くなり、早番の雀と椋鳥をみとめる。
電線に止まっている鳥ばかり見てきたので、木に隠れる本物を見つけるのは難しい。
雀さんで練習させていただいた。

4時半の閉園直前にヒヨドリを見られた。


青葉して木みて鳥見ず双眼鏡(潤)


帰りは、東武鉄道東向島駅に出た。徒歩五分であった。
味気ない新駅名の下に、括弧書きで(旧玉ノ井)と加えられていた。
これでいいのだ!

玉ノ井の次は鐘ヶ淵だ。そのまま残った。

そして間もなく北千住に到着し、旅は終わった。