本日の句歌

句歌控帳「立読抜盗句歌集(巻七)」


豆を煮る妻よ厨の灯を消してこの月夜見のひかり浴ぶべし(由田欣一)


親戚筋の墓参りに細君と一緒に西浅草にあるお寺に出掛けた。
実は墓はない。
遺骨は、その寺が運営する四階建ての最新式納骨霊堂に収められている。
一階の受付で、施主の名前を告げ、四階の待合室にエレベーターで上がる。
四階には、電子掲示板があり、なになに家の骨壷がどの仏壇に用意されたかが表示される。

保管状況は解らないが、ご対面は銀行の貸金庫と同様の仕組みで、骨壺入りの箱がコンベアで運ばれてくる。
貸金庫と骨壷システムのちがいといえば、利用者がその都度中身の確認をするかしないかである。
緑ボダンを押すと、観音開きが開き、ガラス張りの仏壇に置かれている、家紋入りの骨壷入れと対面する。
合掌・焼香が済めば、赤ボタンを押して扉を閉める。

年輩者の利用を想定しているので、操作は簡単である。

普通のお寺だと、花だ、線香だ、手桶だと、包まなければならないが、そういうお金を求めないところは明朗である。

鳥葬も散骨も、現実的な選択肢ではないし、お寺と檀家という縁はお断りであるから、
貸金庫型骨壷保管(三年間管理費が滞れば、適当に合葬)方式も悪くないという結論に達した。


春風や凡夫の墓の御影石(岸本尚毅)


細君も一緒の貸金庫に入ってくれるそうだ。


お参りのあとは、折角浅草まで来たので、仲見世裏の蕎麦屋で早めの昼飯を食べ、雷おこしを買って帰路についた。


浅草の 赤たつぷりと かき氷 (有馬朗人)


外国人もたっぷりといらっしゃった!