句歌控帳「立読抜盗句歌集(巻七)」
大きな木大きな木陰夏休み(宇多喜代子)
お仕事で東西線の木場駅に降りた。折しもどしゃ降りで、出口横にある珈琲店に入り待ち合わせまでの時間を潰した。
改札の先に道なし大夕立(丸山清子)
その珈琲店は、チェーン店ではなく、独立系のようであった。
新涼の固くしぼりし布巾かな(久米正雄)
木場は懐かしい土地であり、夏の大会四回戦で退いた母校も三ッ目通り沿いにある。
グロウブを頭に乗せて蝉時雨(今井聖)
雨の降りかたが中途半端だったのか、雨上がりの爽やかさがなく、むし暑さだけが残ったなあ。
何もせず坐つてをりて玉の汗(島本よし絵)
この会社に来て、三度目の席替えとなった。居候だからどうでもいいようなもんだが、面倒くさい。
成り行きに任す暮らしの返り花(鯨井孝一)