(巻八)隅田川簑来てくだす筏士に霞むあしたの雨をこそ知れ(加藤千蔭)

前の会社のN先輩から、久しぶりに一杯どうか?とお誘いをいただき、
来週、新鎌ヶ谷で呑むことにした。
九月末をもって後進に道を譲ることになったようだ。

もう行けぬ通勤途次の柿の木と銀杏しずかに浮びくる秋(清水峻)

私より五つ歳上であられるから、隠居適齢期に達したと言ってもよいのではないでしょうか?

仮の世の真理に触れて卒業す(木田琢朗)

隠居とは、なんと羨ましい言葉でしょう?
落語「茶の湯」のような隠居処を構えての隠居など無理な話ですが、

茶の湯とは只湯をわかし茶をたてて呑むばかりなるものと知るべし(利休)

せめてひと部屋いただいて、金の心配、役所手続き、近所付き合いなどの世事はみな細君に押し付けて、悠々自適と参りたい。

鈍感を楽しむやうに春の亀(石川昇)

世界のご隠居さま、ジミー・カーターアメリカ大統領の御加減が芳しくないようで、
ナショナル・パブリック・ラジオ
“Jimmy Carter Completely at Ease despite cancer diagnosis.”
と報じている。

過ぎ去つてみれば月日のあたたかし(山田弘子)