(巻九)ラッシュアワー押し屋に押さえしあの頃は電車は運びき人でなく夢(西出和代)

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12月5日土曜日

何事にも用心深い細君は墓と葬式のことをいい始め、ある寺のパンフレットを取り寄せた。昨今流行りの集合・骨壷保管型の墓所のものである。

この先を考えている豆のつる(吉川英治)

そのパンフレットには、
永代使用墓(子孫のある方)十八体まで百万円

永代供養墓(子孫のない方)三体まで百万八十万円
の二種類が用意されているようである。
永代使用墓に入れる場合は葬儀をその寺で行うことが前提のようであり、お寺としてはそこで稼げることと、年間管理費が一万五千円が子孫から入る仕組みになっている。管理費を三年間滞納すると無縁仏にして合葬になるとのことだ。
永代供養墓は、永代供養してくれるそうである。後から金が稼げないので、割高なのであろう。

極月や父を送るに見積り書(太田うさぎ)

細君はもしこの“倉庫”にするのなら、息子もいるし、火葬から葬儀までの手配をしてくれるので永代使用墓を選択したいと言っている。
少なくとも、私の葬式はしてくれるつもりのようだ。

最晩年身を焼く火事も思し召し(平川陽三)

私としては、永代供養墓ですっぱりとお寺との金銭関係を切っておくのもよいのではないかと考えている。
そもそも、寺でも教会でもなくていいのである。むしろ宗教色はいやなのである。私は灰の置場所と言うか捨て場所を用意し、残った方に迷惑をかけず、物として消滅し、ただそれだけですべてが終わるということを願っているのである。

物として我を夕焼に染めにけり(永田耕衣)