(巻十)世事はみな人にまかせて花と鳥(井上井月)

4月29日金曜日

今日はみどりの日から昭和の日に名称が変わった“天皇誕生日”ですが、

天皇(オオキミ)の白髪にこそ夏の月(宇多喜代子)

この日を詠んだ句は多いようです。最近書き留めた一句、

ふらここや昭和駆けしは五里霧中(小池溢)

も昭和を生きた方々の感慨ではないでしょうか?

私は戦後派でして、私たちの世代の直前が団塊の世代、先般のNHKラジオアーカイブスに登場した野坂昭如さんたち、焼け跡闇市派がいて、戦中派、戦前派と辿るのでしょうか?

耐えて貯めて昭和一桁霜枯るる(北山寛山)

われら粗製濫造世代冬ひばり(高野ムツオ)

私達より後は、高度成長期世代、バブル世代、バブルの破裂で昭和の終焉となったということでしょうか?

行秋の波の終焉砂が吸ふ(伊藤白潮)

昭和世代は戦争とバブルという虚栄・激変・凋落をまさに五里霧中で駆けたのですが、どの時代でもその場では手探りで生きて行くのでしょう。
この先、畳の上で(白いシーツの上で)眠るが如く“砂に吸われるが如く”世を去るには余程慎重にことを運ぶことと、まさに“運”にも恵まれなければなりませんね。

日がな碁をうちて晩酌ほろ酔いで風呂に入りて父逝きにけり(石川義倫)